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井上ゼミ 実態調査報告

調査日:2016年9月13日~15日
参加学生数:3年生14人、4年生9人
調査先:Homedoor(大阪)

調査報告

大阪府大阪市にある「特定非営利活動法人Homedoor」(以下、Homedoor)を訪問し、理事長の川口加奈氏からお話を伺った。Homedoorは2010年に設立され、ホームレスをはじめとする生活困窮者への就労支援と生活支援を行っている。生活支援事業としては、居場所の提供や炊出しなどの食事提供、就労支援事業としては、仕事の提供や、Homedoorの主力事業の1つである、シェアサイクル事業「HUBchari」を行っている。
HUBchariは、ホームレスの方々の、ほぼ共通の特技である自転車修理を活かしたもので、放置自転車に修繕を加えてきれいな状態にし、利用者の都合に合わせて、返却するサイクルステーションを自由に選べる、進化型レンタルサイクル事業である。Homedoorは、この自転車修理と修繕、さらにはサイクルステーションの管理運営に、生活保護受給者やホームレスの方々を採用することで、彼らに対する就労支援を行っている。
非正規労働者が増加し、格差と貧困化が進んでいるといわれるなか、中間的就労支援事業への注目が高まっている。講演当日は、川口氏からHomedoor設立の経緯やその理念、Homedoorの形態やこれまでの活動について、詳しくお聞きすることができ、またお二人のスタッフからもお話を伺うことができた。講演の後、若年ホームレスへの対策や、就労の現状、今後の就労の形について質問をし、川口氏からご回答をいただいた。さらに、HUBchariサイクルステーションも見学させていただき、じっさいに使われている自転車に触れ、修理・修繕の様子なども、ちょくせつ伺うことができた。
講演の最後に川口氏が言われた、「知ったからには、知ったなりの責任がある」という言葉が大変印象的だった。ホームレス問題という大きな社会問題を目の当たりにした今回の調査を活かして、中間的就労支援事業の現状や課題、さらには就労支援に取り組む社会的企業について、より一層理解を深めていきたい。