学部・大学院・専門職大学院

井上 義朗 ゼミ 国内実態調査報告

調査日:2015/09/16-2015/09/18
参加学生数:3年生14名、4年生6名
調査先:NPO法人北海道グリーンファンド

調査の趣旨

社会的企業としての役割を果たすNPO法人北海道グリーンファンドの理事長である鈴木亨氏に講演していただき、事業を始めた経緯や事業内容を知り、社会的企業に対する理解を深める。

調査結果

北海道札幌市にある「NPO法人北海道グリーンファンド」を訪問した。北海道グリーンファンド(以下HGF)は2001年に全国で初めて市民出資による風力発電事業を開始した企業である。今回は理事長である鈴木亨氏に講演をしていただき、設立に至った経緯や資金調達、市民風車が担う役割を教えていただいた。特に資金調達に関しては学ぶことが多くあった。一般的にNPOは資金調達が非常に難しいとされているが、HGFは2つのユニークな資金調達により多くの収益を得ることに成功している。まず、会員に対し「グリーン電気料金」という通常の電気料金に5%上乗せした料金を北海道電力に代わり徴収することで、5%分を市民風車建設のための費用に充てることに成功した。5%という数字は少し意識すれば節電によって帳消しになるほどのものであるため、誰でも気軽に市民風車建設に貢献できるだけでなく、市民の節電意識や環境保全意識を高めることにもつながるという、1石2鳥の効果がある。また、北海道グリーンファンドは小口に匿名組合型出資を利用することで、多くの市民から出資を得ることに成功した。講演に先立ち、前日の夜は夏休みに各自学習した内容を踏まえ様々な視点から質問を考えた。講演当日は、特に匿名組合出資とクラウドファンディングとの共通点や相違点、さらには固定価格買取制度及び電力の自由化がHGFに与える影響について質問し、鈴木氏から詳しいご回答をいただいて、大変勉強になった。講演の後は、HGF事務局次長である小林ユミ氏にご案内をいただき、石狩市にある市民風車を見学させていただいた。私たちにとって風車を間近で見る体験は新鮮であり、その風車を実際に見ながら、風車建設に至るまでの苦労や課題などを改めて伺うことができたため、HGFについての理解を一層深めることができた。今後も今回の調査で学んだことを活かし、電力の自由化に伴うHGFや電力会社の動向及び他の社会的企業についての理解を深めていきたい。