総合政策学部

【総合政策学部】行政学Ⅰ(川口康裕特任教授担当)において、元衆議院法制次長 伊藤和子氏をお招きし特別講義を行いました

 6 月21日(金)2時限に行われた行政学Ⅰ(担当:川口康裕特任教授)において、元衆議院法制次⾧伊藤和子氏を講師としてお招きし、「議員立法」について講義をいただきました。
伊藤氏は、建設省に入省した後、衆議院法制局に出向し、そのまま法制局で⾧く活躍され、衆議院国土交通調査室⾧を経て、衆議院法制次⾧を務められました。

 川口特任教授が担当する行政学Ⅰでは、内閣の下で運営されている我が国の「行政」を動かす基本要素(ヒト、カネ)と組織、内部の意思決定等の諸原理、国民の権利義務を規定する法律を立法(立案及び審議)する過程における立法府と行政府の「協働」などを実態に即して議論しています。
 立法には、議員提出法案(議員立法)と内閣提出法案(閣法)があり、本日は、担当教員による閣法の立法過程の講義に先立って、議員立法について講義をいただきました。

 議員立法は、閣法に比べると成立する法案の数は少なめですが、法制度の隙間に落ちた人を救い、社会問題に国民目線できめ細かく対応するという意義があります。成立しない野党案も政府の対応を引き出し、閣法に対する対案として問題点を浮き彫りにし、与党の対応を引き出して委員⾧提案として成立し、あるいは、将来の立法を先取りする先見性を示すなどの意義があります。
 多くの府省に横断的な課題で、国民生活や今後の日本の権益の観点から重要な課題はあっても、閣法では提出しにくいテーマについては、議員立法として法案が提出され、審議されています。そうした法案がどのように立案され、審議されて法律となっていったかについて、与野党の議員同士の真摯な協議をベースに、場合によっては関係省庁も一部関与して法案が練られ、国会における熟議のもとに成立していくダイナミズムを、わいせつ教員対策法、LGBT理解増進法など具体的な法案を例にあげながら説明いただきました。
 伊藤氏が法制次⾧を務めた衆議院法制局は、個々の議員が本当に法律として実現したいという「想い」に「寄り添い」サポートをする重要な役割を果たしていますが、国民にはその存在がほとんど知られておらず、また、中央省庁で法案の立案をする公務員でさえ、その実務の内容をまとめて聞く機会はありません。出席した学生はもちろん、担当教員にとっても大変貴重な機会となりました。

総合政策学部特任教授 川口康裕は、行政官としての実務経験を活かし、行政学Ⅰ・Ⅱ、パブリックインターンシップなどの講義や演習を担当しています。

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