総合政策研究科

総合政策研究科委員長挨拶

VUCAワールドにおける新たな挑戦:自律型学習者の重要性

小林 勉 総合政策研究科委員長

 総合政策研究科は、1997年に前期課程が設置され、1999年に後期課程が設置されました。本学では比較的新しい研究科ですが、今までに448名の修士学位取得者、90名の博士学位取得者を輩出しています(2021年3月末現在)。「総合政策」とは、法学や経済学といった単一の学問にとどまることなく、複数の学問の方法論を使ってテーマにアプローチすることです。これは、一つの「学問分野」(discipline)に固執するのでなく学際的(inter-disciplinary)であることを意味します。学際的な視点で、問題を発見・定義し、それを解決するための方法論を考え、提言や政策にまとめ、社会に貢献していこうというものです。

 近年、変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)の4つの頭文字で特徴付けられる「VUCAワールド」という言葉が使われて始め、既存の枠組みにとって未知な状況が次々と生起し、従来の延長線上では予測できない事態が世界各地で生じてきていますが、こうしたVUCAワールドにおいては、自分自身で考え判断し、その判断材料から自身で決断して行動に移していく力が強く求められます。現下のコロナ禍の状況はまさにその典型例といえますが、こんな時代だからこそ、学生自らが課題解決方法を発見・獲得していこうとするスタンスを「総合政策」というアプローチを通じて習得していくことが以前にも増して重要になってきています。

 本研究科が擁する多彩な教員は、各分野におけるエキスパートです。研究テーマに合わせて複数名で指導体制を編成し、ひとりひとりの学生の目標達成に向けて全力で支援していきます。大切なことは、興味のアンテナを高く上げ、現実社会で観察される現象をクリティカルに分析することで、これまでの常識的なアプローチにとらわれない領域に踏み出す「勇気」を持つことです。専門化が進む数多くの学問領域や、多種多様な国家的・文化的背景を区切る伝統的な境界線を超越した高次の視点から、グローバル社会への貢献を行える「自律型学習者」の人材の育成を目指すわれわれと一緒に、VUCAワールド時代における新たな挑戦を始めませんか?