総合政策研究科
研究科TOPICS
グローバル社会の複雑な問題を解明し、政策と文化の視点からこれからの時代を切り開く
グローバル時代の到来とともに人は多様であり、世界は流動的かつ多層的に構成されている認識が広がっています。もはや人や社会を均質的・固定的にとらえていくような視点は複雑化した社会を解明することができません。学問分野においても、領域横断的な学際的研究が次々と誕生しています。私が専門とする歴史社会学や移民研究の分野では、グローバル・ヒストリーやトランスナショナル移動史などの歴史的叙述が台頭し、地域に焦点を当てるときも環太平洋研究や東シナ海域研究などの国家横断的な枠組みからの検討が進んでいます。世界の動きと連動しながら学問分野も変わっていく中、今の時代に求められるのは複雑化した社会を読み解く能力とこれからの時代をつくりだしていく実践的提案力です。
この能力を獲得するために、総合政策研究科では政策分析能力と異文化間リテラシーをもった人材を育成しています。いまの社会が抱える問題を解決するためには、政策に注目しながら、人びとがどのようなリアリティをもって生きているのかについても想いを馳せることができなければ実行力ある政策を提言することはできません。また地域ごとに異なる思考様式や価値体系についても十分に理解していくことが今のグローバル時代において不可欠となりました。本学科では、政策と文化の理論を学びながら、実際に政策と文化がどう連動しているのかについて具体的事例を通して検討します。また、研究を遂行するにあたって政策と文化のエキスパートである本学科の教員がチームを組んで指導にあたります。必要に応じて他学科や交流・協力校の授業も受けることができます。この学問的トレーニングを通して、これからの時代を切り開いていく思考能力と実践的提案力を獲得してください。皆さんの入学をお待ちしています。
総合政策研究科
准教授
李 里花
専門分野:
歴史社会学、移民研究、環太平洋地域研究、コリアン・ディアスポラ研究
主な担当科目:
文化研究方法論、英語プレゼンテーションの技法、演習(総合政策セミナー)、学術研究
主要著書等:
『「国がない」ディアスポラの歴史-戦前のハワイにおけるコリア系移民のナショナリズムとアイデンティティ』かんよう出版, 2015年、「今なぜ〈トランスナショナル〉なのか-日本における移民研究を考える」『移民研究年報』26号(2020年)、『朝鮮籍とは何か-トランスナショナルの視点から』(李里花編著)明石書店、2021年