総合政策研究科
総合政策研究科委員長挨拶
篠木 幹子 総合政策研究科委員長
現在の社会は、少子高齢化、格差や貧困、環境、災害、ジェンダーなど、さまざまな問題が生じています。国際情勢に目を向けると、国家間の緊張が高まり政治状況が不安定化しており、これまで当たり前であった価値観が当たり前ではなくなる状況が生じています。私たちはこのような中で、自然や日常の不思議さや問題に気づく「センス・オブ・ワンダー」を磨き、自らの価値観を問い直しながら、これらの課題に真正面から向き合っていく必要があります。
しかしながら、上記に挙げたどの課題も、一つの学問領域だけでは解決できません。総合政策研究科は、これらの複雑で相互に絡み合う現代社会の課題に対して、法学や経済学、経営学、政治学、社会学といった社会科学と、文化人類学、哲学、宗教学、歴史学といった人文科学の多様な知を統合し、新たな解決策を導き出すために、理論と実践を往復しながら社会に貢献できる人材の育成を使命としています。
総合政策研究科で教育・研究の中心に据えているのは、院生自らが課題を見出し、仮説を構築し、調査や分析を通じて検証し、政策提言などの成果を社会へと還元する力です。そのために、さまざまな領域を専門とする複数の教員による指導体制、実地調査やフィールドワークの機会など、学際的で実践性の高い学びの環境を整えています。また、本研究科は、異なる背景をもつ大学院生同士のコミュニケーションも重視しています。価値観の異なる他者との対話や多様な視点から問題を捉える柔軟な思考こそが、新たな政策や社会の仕組みを創造する原動力となります。研究は一人で完結する営みではなく、他者との議論や分析の試行錯誤の中から深化するといえるでしょう。本研究科での学びが、皆さんの研究への情熱をさらに高めるとともに、社会の未来を形づくる力となることを心から期待しています。
教職員一同、知的探究心に満ちた皆さんと共に新たな知を創造し、望ましい社会の実現に向けて歩むことを楽しみにしています。







