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新たなビジョンを創造する 人と社会の探究

変化の激しい現代社会。皆さんは、報道等を通して「想定外」という言葉を耳にすることも多いと思います。現代社会の常識は、過疎化や少子高齢化等の社会問題、また地球温暖化や風水害・地震等の自然災害といった直面する数々の課題に対して、通用しなくなりつつありますが、今まさにこれらに対応するため、常識を客観的・論理的に見直し、未来に向けたビジョンの創造が求められています。この際、例えば自然災害の発生を前提とした日本中世の土地利用のように、私たちの社会とは異なる価値観が宿る歴史や多様な文化等を学び究めることが、現代社会への視点を相対化し、新たな価値観を生み出すきっかけとなるでしょう。

現代社会の最先端技術として注目されるのが、AI(人工知能)です。将来、AIにより人そのものが淘汰されると危惧する声もありますが、豊かな多様性を持った社会に対応するには、知識や情報の蓄積・吸収から得られる「正解」のみならず、結論に至るプロセスの分析が重要です。その過程において、「正解」=定説に捉われない、人ならではの思考力や経験力がますます不可欠となるのではないでしょうか。

かつて、イギリスの歴史学者にして外交官のE.H.カーが、歴史家の機能とは現在を理解する鍵として過去を理解することであると述べ、また経済史学者の大塚久雄が、歴史の教訓とはある程度長期の戦略レヴェルでものを考える時に意味を持つと発言したとおり、歴史や文化の探究は、現代そして未来の人や社会を分析・構想することにつながっているのです。

文学研究科には、人文、社会、教育、心理といった多様な学術分野を学び究めるステージが用意されており、中央大学の「知」の結集によって、広い視野と高度な専門性を有した数多くの人材を育成し、世に送り出してきました。現代から未来へ。人と社会の探究を通して、新たなビジョンの創造をめざす皆さんの挑戦を期待します。

文学研究科
准教授

西川 広平

専門分野:

日本中世史(開発・環境史、武家由緒論)

主な担当科目:

日本中世史演習ⅢA・B、日本中世史特殊研究A・B

主な図書論文等:

「戦国期東国の地域社会と水資源」『歴史学研究』990号, 2019年、(編著)『甲斐源氏 武士団のネットワークと由緒』,戎光祥出版,2015年、「甲斐源氏─東国に成立した もう一つの『政権』─」『中世の人物 京・鎌倉の時代編 第二巻 治承~文治の内乱と鎌倉幕府の成立』(野口実編),清文堂出版,2014年、『中世後期の開発・環境と地域社会』,高志書院,2012年、「戦国期における川除普請と地域社会─甲斐国を事例として─」『歴史学研究』889号,2012年