経済学研究科

経済学研究科委員長挨拶

瀧澤 弘和 経済学研究科委員長

 現代の経済社会は,格差や貧困,金融不安定性,急速な情報化の負の影響,気候変動問題等々,数多くの困難な課題を抱えています.現在,政府や企業はもちろんのこと,私たち個々人のレベルでも,こうした社会課題の解決に貢献していくことが求められつつあります.
 現代社会が抱えるこれらの課題は,複数の主体や問題が絡みあった複雑な構造を持っていることが特徴で,その解決のためには生起している現象をシステムとして理解する思考が必要とされます.経済学はまさにそのようなシステム的思考を提供する学問であると思います.経済学を学び,経済学的観点から特定の問題を分析することで,データを扱うセンス,人間心理を捉えるセンス,モデルをもとに推論するセンス,実験を設計するセンス,国際関係に関するセンス,歴史から物事を捉えるセンス,制度の視点から考えるセンスなどが磨かれるからです.どのセンスも現代社会が抱える問題の解決に必要なセンスだと思います.
 中央大学経済学研究科は,1951年(昭和26年)以来,その時々の要請に応えて進化し続け,これまで多くの研究者や高度な専門性を持つ職業人を輩出してきました.2019年以降は,博士前期課程において,研究者になることを目指す学生のための研究者コース,高度で専門的な知識やスキルを要求される職業に就くことを希望する学生のための高度職業人コース,税理士の資格取得を目指す学生のための税理士コースという3つのコースを設置し,それぞれの目的に沿ったカリキュラムの充実につとめてきました.2024年度からは3コース制のさらなる実質化のために,それぞれのコースごとの入試を行うこととしました.また,仕事の上でデータを扱うスキルを学ぶ科目など,高度職業人コースの特色を反映した基本科目の設置が行われます.今まで以上に,それぞれのコースの中で,目的意識を持って,必要なスキルや専門性を磨くことが出来るようになるでしょう.
 また,大学院の醍醐味は何と言っても,プレゼンテーションやディスカッションを通して,自分の問題意識を明確化し,お互いに切磋琢磨しあうことです.このために,演習(ゼミ),研究科内のセミナーなどの場など,指導教員や他の大学院生とのディスカッションの場が用意されています.
 現代社会を理解し,社会を少しでも良くしていくために求められる高度な専門性を身につけたいと思っている皆さん,是非,中央大学経済学研究科の門を叩いてみてください.そして,中央大学経済学研究科で一緒に楽しく研究していきましょう.経済学研究科の多様な教授陣が皆さんをお待ちしています.