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知識創造戦略論おいて、エーザイ株式会社ナレッジクリエーション・フェロー高山千弘氏による講演を実施

2024年10月10日

2024年6月26日(水)、中央大学ビジネススクール(CBS)MBAプログラム発展科目「知識創造戦略論」(担当:遠山亮子教授)において、エーザイ株式会社ナレッジクリエーション・フェロー高山千弘氏をお招きし、ご講演をいただきました。

●概要

「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」を理念として掲げるエーザイでは、共感に基づく患者との共同化から始まる知識創造プロセスに本気で取り組むことで、認知症治療薬など患者にとっての価値が生まれました。こうして理念が実現される結果、エーザイの価値を高めることにもなるというお話を、高山氏ご自身の経験談や具体例を交えながら、熱意と迫力を持って語っていただきました。そうした活動はエーザイだけに留まらず、他業種の様々な企業と協働しエコシステムを築いていくという、hhc理念+エコシステム (hhceco)への進化についてもお話頂きました。

「知識創造戦略論」は平日開講科目のため通常はオンライン開講ですが、この日は高山氏が来校しての講演ということで、受講生の半分は教室で対面受講、半分はオンライン受講という「ハイブリッド開講」となりました。対面・オンラインの区別なく、参加した受講生との質疑応答も活発に行われ、受講生にとっては多くの気づきを得るとともに、自身が所属する組織と自分自身のパーパスについて深く考える機会となりました。

●受講生の感想

エーザイの一貫した取り組みの講演内容がたいへん勉強になりました。市場拡大を目指すのではなく目の前の患者さんに向き合い、共同化することを起点として組織的な創造性を発揮する仕組みについて、具体例を通して勉強になりました。そしてエーザイではあらゆる場面でSECIモデルの考え方をベースにした取り組みが具現化されており、再現性の高い事例として多く学びがありました。

SECIモデルの学びの導入部分で、「デジタルでできるのは売り手よし・買い手よしまで、縁をつないでいく世間よしのアナログ力がこれからの時代のキーワードになる」とのお話が心に刺さりました。

SECIモデルの基礎となる、患者様が第一であり売上は結果であるとする理念が、株主やその他のステークホルダーとの「対話」を通じて「共感」を生んでおり、その結果、資本市場の中でエーザイが支持され、長期的視野での経営を可能にしていると思いました。サステナビリティがテーマとなる今日の経営に対して、多くの示唆があると感じました。

エーザイのケースを読んだ後、実際の知創部の責任者であった高山先生の生の声をお聞きすることができて充実した時間でした。

最初はパーパス経営の一種で一部の特殊な企業や従業員のみ該当すると思っていたのですが、さまざまな実例から顧客(患者)に寄り添い利益より社会貢献を重要視していることがわかり、世の中にはこんな会社があるんだなとたいへん勉強になりました。

高山さんの講義を通じてどのようにしてエーザイが製薬企業からヘルスケア業界に転換をしてきたのかを根の部分から学ぶことができました。

利益は社会貢献の後についてくるというのは理想論だと思っていましたが、その考えを通じて実際に成功している会社の話であり、興味深く拝聴しました。

●CBSについてもっと知りたい方へ

「知識創造戦略論」は、現在「もっとも重要な経営資源」と考えられている「知識」という視点から企業経営をとらえ、知識とは何か、その獲得、創造、蓄積、活用にはどのような組織と戦略とリーダーシップが必要かを学ぶ科目です。講義においては知識創造経営を行っている企業としてエーザイ株式会社のケースを取り上げており、高山氏の講演はケースについてさらに深く学び、知識創造経営の実践について考える機会として受講生に提供されています。

 

CBSのカリキュラムの全体像は、以下のリンクをご覧ください。
https://www.chuo-u.ac.jp/academics/pro_graduateschool/business/mba/