ビジネススクール

知識創造戦略論にてエーザイ株式会社ナレッジクリエーション・フェロー高山千弘氏による講演を実施

2023年12月22日

●概要
2023年12月16日(土)、中央大学ビジネススクール(CBS)MBAプログラム発展科目「知識創造戦略論」(担当:遠山亮子教授)において、エーザイ株式会社ナレッジクリエーション・フェロー高山千弘氏をお招きし、講演を実施しました。

「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」を理念として掲げるエーザイが、理念を単なる美しい言葉で終わらせず、共感に基づく患者との共同化から始まる知識創造プロセスに本気で取り組むことで、認知症治療薬など患者にとっての価値が生まれ、それが結果としてエーザイの価値を高めることにもなるというお話をご自身の経験談を含め様々な具体例を交えながら、熱意と迫力を持って語っていただきました。さらにその活動はエーザイ1社に留まらず、他業種の様々な企業と協働しエコシステムを築いていくという、hhc理念+エコシステム (hhceco)への進化についてもお話頂きました。質疑応答も活発に行われ、受講生にとってはこれまで学んだ理論を現実の企業のケースに当てはめて考えることで、多くの気づきを得るとともに自組織についても深く考える機会となりました。

●受講生の感想

経営が変わっても、企業としてのブレないものの持ち方。数年で出来るものではありませんが、重要性を再認識し、自社において、何を行うべきか、改めて考える機会をいただきました

ライフパーパスの考え方は目から鱗でした。パーパスについて、これまでは企業目線で企業のパーパスを個人がどう自身のパーパスにつなげるかという方向性で考えていたが、エーザイ社の共同化を通して自己のライフパーパスを呼び覚ます考え方は本質的なパーパスの考え方と感じました。それを高山様が信念をもってお話しされている姿も感銘を受けました。

ご講演の内容が首尾一貫しており、高い説得力があった。また、エーザイの活動は、知識創造を企業活動において実践に応用する模範事例であり、一つの理想形をみることができたのは自身にとって大きな刺激となった。

実際に患者に寄り添い共感することで、暗黙知的な課題を抽出しその課題を解決することで結果的に利益に繋げていくという考え方がとても共感しました。どうしたら儲かるかではなく、どうしたら良くなるかで考え、それが価値に繋がる様な考え方に自信も変換していく必要があると気付ける講義でした。

心に沁みる講演内容から、当事者の思いに立ち戻る「共同化」の意義深さを感じ取ることができた。「共同化」のプロセスは、いわば「当事者不在」を回避するということであり、人間が人間として人間のために何かを行う上で、ある意味で最も基本的なプロセスであるように感じた。そしてその過程で得られた強烈な思いが自己を奮い立たせ、人を動かし、事業を成し遂げていくのだと感じた。当事者のいないところで当事者を本当に喜ばせることはできない。実務に埋没するとこのことをつい忘れてしまうが、実はこれこそが最も重要であるということを、本講演を通じて知ることができた。

エーザイ社員が患者様の気持ちに少しでも近づく努力に、目頭が熱くなりました。共同化とは、みずからの製品・サービスを受け取るヒトに共感することであると知りました。

SECIモデルが、企業活動の実戦で実践されていることを改めて痛感し、より深くSECIモデルを学ぶとともに自身の職場で周囲を巻き込んで実践していきたいという志を強くしました。

エーザイ社のhhcはとても有名ですが、定款に企業理念を入れた世界で初めての企業であることは知りませんでした。また、医薬品ですべてが解決できるわけではないからこそ、医薬品を売るという姿勢ではなく、患者さんがよりよい生活ができるようにソリューションを提供するという姿勢を持つことが必要である、という考えはどの製薬会社にとっても大切なことだと思いました。

お話を伺っていてプロセスよりも信念や価値観、哲学のようなものが、会社全体のカルチャーに広がりを見せ、その上でSECIモデルをまわすための仕組み(ビジネス時間の1%を共同化のために使う)があるという壮大な経営がなされて、売上や利益などの結果だけでなく、目的を果たすために全社一丸となって動かれているから、社会から必要とされ続けるのだなと改めて思いました。ありがとうございました。

●CBSについてもっと知りたい方へ
「知識創造戦略論」は、現在「もっとも重要な経営資源」と考えられている「知識」という視点から企業経営をとらえ、知識とは何か、その獲得、創造、蓄積、活用にはどのような組織と戦略とリーダーシップが必要かを学ぶ科目です。講義においては知識創造経営を行っている企業としてエーザイ株式会社のケースを取り上げており、高山氏の講演はケースについてさらに深く学び、知識創造経営の実践について考える機会として受講生に提供されています。

CBSのカリキュラムの全体像は、以下のリンクをご覧ください。
https://www.chuo-u.ac.jp/academics/pro_graduateschool/business/mba/