経済学部

経済学部准教授 吉見太洋の共同研究論文がトルコにて最優秀論文賞を受賞しました

トルコの国際貿易ネットワーク協会(UTrader)が主催するUTraderアカデミー賞2025において、本学経済学部の吉見太洋 准教授とAkdeniz大学のKemal Türkcan 教授、滋賀大学の吉田裕司 教授による共同論文が最優秀論文賞を受賞しました。205の研究者、89大学、7組織から応募があった中での受賞です。

表彰式が11月6日にイスタンブールにて執り行われ、吉見准教授はビデオレターを寄せました。

論文について

■タイトル

Exporter’s Productivity and the Cash-In-Advance Payment: Transaction-Level Analysis of Turkish Textile and Clothing Exports (輸出業者の生産性と前払い決済:トルコの繊維・衣料品輸出の取引レベル分析)

 

■概要

国際貿易取引における前払い決済方式に焦点を当て、輸出業者の生産性が決済方法の選択にどのような影響を与えるかを、2009年から2017年までのトルコの繊維・衣料品輸出の取引レベルのデータを使用して調査分析したものです。本研究では、生産性の高い輸出企業ほど、代金回収リスクの低い前払い決済を導入していることが明らかにされました。また、理論分析に基づき、生産性の高い企業であるほど、前払い決済を採用する上での交渉費用を上回るような利潤をあげる蓋然性が高いために、このようなことが起きているというメカニズムも明らかにしました。

 

吉見准教授 コメント

トルコを対象とした研究でしたので、同国において研究を評価して頂けたことを本当に嬉しく、光栄に思っています。また、科研費(課題番号20H01518および20KK0289)の補助を頂いたことにも感謝を申し上げます。

この研究成果は、後払い決済を受け入れざるを得ない状況にある発展途上国の貿易円滑化に対して重要な示唆を持つものです。また、日本のような先進国を考えても、中小企業は貿易間に対する交渉力が弱いことが多く、決済手段の選択を通じてどのように貿易にまつわるリスクを管理できるかというのはとても重要な課題です。さらに、企業がどのような決済手段を選択するかは、マクロ経済政策の国際波及効果にも関わる重要な問題です。

今後も研究を通じて、企業活動や経済政策運営に関わる有益な情報提供をできるように努めていきたいと思っています。