2025年6月23日(火)の「交通経済論(担当:後藤 孝夫)」にて、トランコム株式会社(以降、トランコムと表記)の小暮さまをお招きしての特別講演がありました。小暮さまは不動産業界からトランコムに中途入社され、人事・採用分野でキャリアを重ねてこられたということで、この日は物流業界の概要、トランコムの事業内容から就職活動に関するアドバイスまで多岐にわたりお話くださいました。

三択クイズを交えながら、現在日本に約5万8千もの物流関連企業があること、うち8〜9割が中小零細企業であることや、国内物流の90%以上がトラック輸送である一方その積載効率は38%程度にとどまっていることなどの説明がありました。
続いてネットショッピングの市場規模や宅配便の件数の、いずれも右肩上がりのグラフも並べられ、そこから「物流クライシス」と呼ばれるとおり、現状がいかに厳しい状況にあるかが浮き彫りとなりました。
トランコムは、そうした課題に対して独自のアプローチをしている企業です。社名の由来はトランスポートとコミュニケーションを掛け合わせたもので、BtoB物流企業として事業を展開しており、まずはその規模など会社概要の説明がありました。
運輸業中心だったビジネスモデルから2000年頃に事業転換し、運び手の見つからない貨物と空車トラックを人がコーディネートする「輸送マッチングサービス」と「物流センター運営」に注力した結果、売上をかつての10倍以上にまで伸ばしているとのことです。IT技術の導入にも積極的で、自社システムを開発。日々蓄積される膨大なデータを可視化し、効率的な輸送手配を実現していることが動画で紹介されました。
しかし小暮さまのお話では、情報の規格化・標準化ができない輸送条件が多いため、「人」だから実現できる柔軟な提案や判断を電話で直接会話することで、きめ細やかなサービスとなり、顧客の安心にも繋がるということでした。こうした「人とITのハイブリッド」によるオペレーションが、トランコムの大きな強みであるといいます。
そのほかモーダルシフトや物流センターについても、最新の取組みを時間を多く割いて教えてくださいました。倉庫作業を自動化するロボットの紹介動画では、感嘆の声を漏らす学生もいました。
講演の最後には就職活動についてのお話となり、小暮さまは「仕事は常に順風満帆ではないため、どんな会社に入っても、後悔することがある」、「だからこそ自分の人生は自分で探し、決断することが大切」と学生たちに語りました。
昨今当たり前となっているオンライン面接についての具体的なアドバイスをくださったほか、企業選びでは可能な限り実際にオフィスを訪れ、職場の雰囲気を自分の目で確かめることも大切だと強調されました。
小暮さまは最後に少しオープンカンパニーのお話もされましたが、本講演では物流の現状と課題、そして変革のチャンスが案外多いことが示されており、物流業界に興味を持った学生も少なくなかったのではないかと思われました。