経済学部

LSEG (ロンドン証券取引所グループ)日本代表の富田秀夫氏ご講演、経済学部「金融論Ⅱ」にて

2023年11月21日、経済学部の「金融論Ⅱ」(担当:近廣昌志(ちかひろ・まさし)准教授)に、今期4人目のゲストスピーカーとしてLSEG (ロンドン証券取引所グループ)日本代表、リフィニティブ・ジャパン代表取締役社長の富田 秀夫様がお越しになり、特別講演が行われました。

富田様は慶應大学法学部卒業後、共同通信にて国際金融情報分野を中心にご活躍。金融情報/システム企業の役員を歴任したのちにトムソン・ロイター・ジャパン株式会社(後のリフィニティブ・ジャパン株式会社)の代表取締役社長に就任というご経歴です。日本金融学会、経済同友会の会員でもあり、近廣准教授とは金融学会で知り合ったそうです。

2021年2月にリフィニティブがロンドン証券取引所グループ(London Stock Exchange Group =LSEG、エルセグ)と経営統合しました。講演テーマは「証券取引所ビジネスの変容 〜Coffee House to Cyber Market〜」でした。副題にあるcoffee houseとは、ロンドン証券取引所の起源である「the course of the exchange, and other things」(1698年にロンドンのコーヒーハウスで史上初めて発行された株価と商品価格のリスト)のことで、そこから現在、その先に至るまでの、証券取引所ビジネスの変遷についてのお話でした。

「証券取引所とは」の解説から入り、富田様はロンドン証券取引所の起こりをご説明。続いて欧米における証券取引所の統合の動きを図示しながら、取引所によって、ビジネスモデルが大きく異なってきたと指摘されました。また「金融とDXの波が証券取引所にも押し寄せている」と、今後の変容の方向性の概略をお話しされました。

 

株式上場のメリット・デメリットを話していく中で、学生から「なぜ上場を選択しない、または取りやめる企業が現れているのか」と質問の手が挙がり、富田様は「上場して株式で資金を集めずとも、内部留保(手金)で十分設備投資ができるケースや、そういった企業は、銀行融資を受けやすい環境にあり、非常に安い金利で貸してくれるといった事情がある。また近年盛んなIT系のスタートアップなどは、これといった設備投資は要らないという面もある」と、“企業と市場の溝”と言える実情を説明してくださいました。

最後に、リブランディングを図るLSEGの動画が流され、冒頭のコーヒーハウスに端を発するロンドン証券取引所と、伝書鳩の活用から始まり為替市場の情報伝達に取り組み続けてきたロイター(リフィニティブ)、そしてLSEGへと、それぞれの歴史・統合の流れやグループの事業ポートフォリオの解説があり、講演が締めくくられました。

 

富田様は国際金融情報分野での長い経験から「理論を知っているということが、自分の意思決定の自信につながる」と、学生たちの学びを応援するメッセージをくださいました。