ビジネススクール
知識創造戦略論にてエーザイ株式会社ナレッジクリエーション・フェロー高山千弘氏による講演を実施
2026年08月06日
2026年7月30日(木)、中央大学ビジネススクール(CBS)MBAプログラム発展科目「知識創造戦略論」(担当:遠山亮子教授)において、エーザイ株式会社ナレッジクリエーション・フェロー高山千弘氏をお招きし、講演を実施しました。
●概要
「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」を理念として掲げるエーザイが、理念をどのように実現したのか、「善く生きるとはどのようなことか」という哲学的な議論も交えながら、ご自身の経験談を含め様々な具体例と共に、熱意と迫力を持って語っていただきました。エーザイの社員一人一人が、共感に基づく患者との共同化から始まる知識創造プロセスに本気で取り組むことで、認知症治療薬など患者にとっての価値が生まれ、それが結果としてエーザイの価値を高めることにもなり、さらにその活動はエーザイ1社に留まらず、他業種の様々な企業と協働しエコシステムを築いていくという、hhc理念+エコシステム (hhceco)への進化についてもお話頂きました。質疑応答も活発に行われ、受講生にとってはこれまで学んだ理論を現実の企業のケースに当てはめて考えることで、多くの気づきを得るとともに自組織についても深く考える機会となりました。
「知識創造戦略論」は平日夜に開講される科目であるため普段はオンライン開講ですが、この日は高山氏が来校しての講演ということで、受講生の半分は教室で対面受講、半分はオンライン受講というハイブリッド開講となりました。対面・オンラインの区別なく、参加した受講生との質疑応答も活発に行われ、受講生にとっては多くの気づきを得るとともに、自組織がどのように価値を創造し理想を実現していくか深く考える機会となりました。
●受講生の感想(一部抜粋)
・エーザイ様が、患者や家族に寄り添い喜怒哀楽を第一に考える「hhc」という理念を経営の中心に置いていることがわかりました。お薬を売るのではなく、患者さんに寄り添い、患者さんや家族さんとともに感じることに重要視していることに感銘を受けました。社員が患者と接することで得た気づきを言葉にし、医学的知識や研究データと結び付け、医薬品やサービスの開発に生かしていること、患者さんファーストであることが、結果、知的創造を生み出すこと、すなわちSECIモデルを活用して、個人の経験を組織の知識へ変える取り組みを促進できることが理解できました。今回のご講演は私自身の明日からの医療への取り組みとして、色々な思考の種を頂けた貴重な時間でした。ありがとうございました。
・エーザイは常に挑戦していて、カオスを引き入れているというお話も大変感銘を受けました。人は変化を好まず安定に流れる傾向があると言われますが、外から自社に敢えてカオスを引き入れることにより変化を起こすというのは、まさに会社として挑戦を体現しているように感じました。現状維持は後退であるという言葉もありますが、敢えて変化を引き起こしていく姿勢が、永きに亘り医療業界で多くの患者に受け入れられ、信頼されている企業たる所以だと感じました。
・お話は哲学から始まり、人・社会の善い在り方から、エーザイという企業が目指す姿、SECIモデルの愚直な実践など大変示唆に富むお話ばかりで、多くのことを学ばせていただきました。内在的自己(セルフ)と外在的自己(エゴ)の話は初めて聞きましたが、腹に落ちる内容でした。エゴがある世界の中で、内在的自己に気付けるか、いかに「共通善」を持ち続けられるか。自分自身のリーダーシップに対しての問いかけに類似しており、今後も内在的自己の考え、場の考えについて取り入れていきたいと感じました。
・これまでのCBSの講義を通じて、エゴとセルフ、自己実現、内発的動機といった概念に触れ、考える機会を得てきました。しかし、それらが実際の企業の中でどのように活かされているのか――すなわち「経済ロジックの中に人間性原理を稼働ロジックとして埋め込む」とはどういうことなのか――その具体例を、昨日のご講義で明確に示して頂きました。
ご講義後半でご紹介いただいた、貴社の数々の活動・実践のダイナミクスには圧倒されました。こうした貴社の取り組みに感動したCBS生が、それぞれ自社へ持ち帰ることで、企業の枠を超え、「利益ではなく、善きものを目指す」社会への一歩につながっていくのだと強く感じました。
・エーザイの経営が優れている点は、理念を本気で経営の中心に据え、それを制度や行動、組織文化にまで落とし込んでいる一貫性にあることが理解できた。多くの企業が掲げる理念経営とは次元が違うと感じた。
・SECIモデルの“共同化”の重要性が講演を通して強く印象に残りました。“共同化”により内在的な自己に気が付く、本当に自分がやりたいことに気付き、それが人生の目的(ライフパーパス)であることにも気付けるという流れを学ぶことができました。また、内在的自己に気付くためには、「対話」の中で、「何で」「なぜ」との発言や感情なのかを、その言葉や感情の奥の想いを知ろうとすることを通じて、自身で気が付くということだと理解しました。先ずは私の大切な周りの人に寄り合って、もっと真剣に人と対話をしていきたいと思います。このつながりの集合体が“場”になるのだと強く感じることができました。
●CBSについてもっと知りたい方へ
「知識創造戦略論」は、現在「もっとも重要な経営資源」と考えられている「知識」という視点から企業経営をとらえ、知識とは何か、その獲得、創造、蓄積、活用にはどのような組織と戦略とリーダーシップが必要かを学ぶ科目です。講義においては知識創造経営を行っている企業としてエーザイ株式会社のケースを取り上げており、高山氏の講演はケースについてさらに深く学び、知識創造経営の実践について考える機会として受講生に提供されています。
CBSのカリキュラムの全体像は、以下のリンクをご覧ください。
https://www.chuo-u.ac.jp/academics/pro_graduateschool/business/mba/