ビジネススクール

知識創造戦略論において、エーザイ株式会社ナレッジクリエーション・フェロー高山千弘氏による講演を実施

2025年02月19日

2025年1月11日(土)、中央大学ビジネススクール(CBS)MBAプログラム発展科目「知識創造戦略論」(担当:遠山亮子教授)において、エーザイ株式会社ナレッジクリエーション・フェロー高山千弘氏をお招きし、講演を実施しました。

●概要

「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」を理念として掲げるエーザイが、理念を単なる美しい言葉で終わらせず、共感に基づく患者との共同化から始まる知識創造プロセスに本気で取り組むことで、患者にとっての価値が生まれ、それが結果としてエーザイの価値を高めることにもなるというお話を様々な具体例を交えながら、熱意と迫力を持って語っていただきました。さらにその活動はエーザイ1社に留まらず、他業種の様々な企業と協働しエコシステムを築くことで人々の憂慮を取り除き価値を提供していくという、hhc理念+エコシステム (hhc eco)への進化についてもお話頂きました。質疑応答も活発に行われ、受講生にとってはこれまで学んだ理論を現実の企業のケースに当てはめて考えることで、多くの気づきを得るとともに自組織や自身のリーダーシップのあり方についても深く考える機会となりました。

●受講生の感想

・今日の講演の中で、SECIモデルを回す上において、とくに「共同化=共感=個人のライフパーパスへの気づき→動機づけ」が大事というお話がとても印象に残りました。「ヒューマン・ヘルスケア」という目的を第一とし、“時と場を共有する”という共感(共同化)がなければ、「アルツハイマー新薬」も「てんかん治療のためのシステム作り(アプリ開発・てんかん専用薬局)」も実現不可能なものだったと思います。まさに「薬」という“モノ”ではなく、「患者および患者に関わる家族・社会というヒューマン・ヘルスケア」という“コト”を意識しているからこそ生まれた事業だと思います。
薬は、自分の病気を治すために自分で購入(あるいは服用)するものという思い込み、病気を治せるのは医者と薬だけという思い込み、それを「ヒューマン・ヘルスケア」の共同化を通じて“本質”を見つめ、患者および患者に関わる家族・社会を俯瞰する視点を得たことで、とくに意識せずとも、いとも簡単に超越することができるという良い実例だと感じました。

・理念と知識創造の実践を30年間SECIモデルのサイクルを回して認知症薬を開発し、実務で知識創造を体現されていて素晴らしいと思いました。hhcのブレない信念とトップの内藤さんの覚悟があってこそ、自社の利益追求ではなく、共同化して患者さんのために社員と企業全体でSECIモデルを回すことができたのだと感じました。

・エーザイ株式会社の高山様のお話を伺い、自社とは異なる取り組みについて学ぶことができました。特に、徹底されたSECIモデルの活用について具体的な事例を知り、大変参考になりました。自社以外の取り組みを学ぶ機会はとても新鮮で、非常に分かりやすい内容でした。

・とにかく圧倒されました。知識創造の理論を活用し、共同化を進めることにより、世界中の多くの方々の健康福祉に寄与する成果や価値を創出している。エーザイ社の心に刺さる素晴らしい取組みをお聞かせ頂いた、この貴重な機会に感謝いたします。自社でもこの理論を活かせるよう、しっかり考えて行きたいと思います。

・エーザイの認知症への取り組みが単なる薬剤の提供ではなく、hhcの理念に基づいた根本からまわりを巻き込んでゼロからトータルでアンメットニーズに対するSECIをまわして実施されていたということを知って驚きましたし、自社でもまねることができるのではないかと気付きになりました。

 

●CBSについてもっと知りたい方へ

「知識創造戦略論」は、現在「もっとも重要な経営資源」と考えられている「知識」という視点から企業経営をとらえ、知識とは何か、その獲得、創造、蓄積、活用にはどのような組織と戦略とリーダーシップが必要かを学ぶ科目です。講義においては知識創造経営を行っている企業としてエーザイ株式会社のケースを取り上げており、高山氏の講演はケースについてさらに深く学び、知識創造経営の実践について考える機会として受講生に提供されています

CBSのカリキュラムの全体像は、以下のリンクをご覧ください。
https://www.chuo-u.ac.jp/academics/pro_graduateschool/business/mba/