経済学部
経済学部「国際公共政策」において、株式会社レオパレス21人事部 Well-being推進課の黒川様をお招きし、特別講義が行われました
2026年10月20日
2026年9月28日(月)、経済学部の講義「国際公共政策」において、株式会社レオパレス21人事部 Well-being推進課の黒川様による特別講義が行われました。黒川様は佐々木ゼミで学ばれた2017年の本学部の卒業生であり、「これからの『良い会社』は、働く人のWell-beingで決まる。」をテーマにご講演いただきました。
講義の導入では、「健康経営」「Well-being経営」「SDGs」「健康経営銘柄」という4つのキーワードが紹介されました。とりわけ「Well-being経営」は、単なる心身の健康にとどまらず、仕事へのやりがいや人との関係までを包括する概念として示されました。
同社が社員のウェルビーイングを重視する背景として、自社の施工物件における施工不備が2018年に発覚し、お客様と社会の信頼を大きく損なう事態を招いたことを挙げていました。お客様やオーナー様への対応に現場で誠実に向き合い続ける中で、信頼回復の原動力となったのは、社員一人ひとりの存在でした。
この経験を通じて、同社は「人こそが企業の最大の資産である」という考えに至り、社員のウェルビーイングを経営の中心に据えるようになったといいます。
社会全体の動向に目を向けると、2030年を目標年とする「SDGs(持続可能な開発目標)」に続く新たな枠組みとして、「SWGs(Sustainable Well-being Goals:持続可能な幸福目標)」をめぐる議論が本格化しています。経済的な指標だけでは捉えきれない「豊かさ」をどう定義し、数値化していくのかという課題に対し、講義内では「自身の幸福度を測る基準は何か」という問いが投げかけられました。人とのつながりや睡眠、ストレス、趣味、学業、アルバイトなど、身近な要素を例に挙げながら学生同士で意見を交わす実践的なワークも実施されました。
SDGsの主語が主に「国」であったのに対し、ウェルビーイングは日々の「職場」から生まれるものであり、企業自身が主役となって体現していくことが求められます。 従業員個人の心身の健康管理を目的とした従来の「健康経営」から、組織や社会全体へと対象を広げる「Well-being経営」へのシフトは、社員を大切にすること自体を目的とした経営戦略であるという新たな視点が示されました。この視点は、企業や社会のあり方を見つめ直す機会となりました。
また、新卒採用担当の関家様からは、同社の社会貢献の取り組みについてお話をいただきました。 同社は単に物件の建築や部屋の提供をする会社ではなく、「住まいを通じて、社会や企業が抱える課題の解決に取り組む会社」であるとの紹介があり、その社会貢献性として3つの取り組みが紹介されました。

関家様の講演の様子
1つ目は、「安心して暮らせる賃貸住宅の提供」です。同社は全国に約54万戸(2026年3月末時点)の賃貸住宅を展開し、家具・家電付き物件を活用した企業の寮・社宅の提供に加え、奨学制度による若者の未来支援、災害時の住まいの提供、外国籍人材の受け入れに向けた住環境の整備などに取り組んでいます。また、上場企業の72%が同社のアパートを寮・社宅として利用した実績があることも紹介され、同社の住まいが企業活動を支える重要なインフラとなっていることが示されました。
2つ目は、「DX推進による顧客体験の向上と業務効率の最大化」です。特に印象的だったのが、WEB契約の仕組みです。お部屋探しからスタッフへの相談、部屋の見学、契約手続き、鍵の受け渡しまでをデジタル化することで、入居者の利便性を高めるだけでなく、法人顧客の社宅関連業務の効率化にもつなげています。
講義では、法人顧客の実例として社宅関連業務を21%削減していることが紹介されました。資料でも、DXを顧客体験の向上だけではなく「業務効率の最大化」と結びつけて位置づけている点が特徴的でした。
3つ目は、「持続可能な未来のための環境マネジメント」です。
家具・家電付き物件を提供することで、引っ越しのたびに家具・家電を買い替えたり処分したりする必要がなくなり、環境負荷の低減に大きく寄与しています。このような背景から、年間約4万トンのCO₂排出を抑制しており、環境負荷の低減に貢献していることも紹介されました(※1)。また、業務のペーパーレス化など、事業活動そのものから環境負荷を減らす取り組みも進められています。
質疑応答ではWell-beingに関する質問だけでなく、就職活動への向き合い方や女性のキャリア・活躍について活発な議論が行われました。
住宅という一つのサービスを起点として、入居者だけでなく企業や社会が抱える課題まで解決しようとしている点が印象的でした。企業の社会貢献とは、本業とは別に社会貢献活動を行うことだけではなく、自社の事業そのものを通じて社会課題の解決と企業価値の向上を両立させることでもあると気づく機会となりました。
(佐々木創ゼミ 八木聡美、牧野友香)

