2026年7月17日(金)、経済学部の「交通経済論(担当教員:後藤孝夫)」に日本貨物鉄道株式会社(JR貨物)の経営企画部より和泉さまと北谷さまがお越しになり、特別講義が行われました。登壇されたのは和泉さまで、機関車の検査の仕事からキャリアをスタートし、勤続20年目になるとのことでした。また、北谷さまは乗務員をされていた経歴をお持ちです。
最初に会社説明として、JR貨物のPR動画が放映されました。和泉さまは「全体的に夜中の映像なので暗くて見づらいが…」と前置きしつつ、貨物が主に夜間に動いていることをお話しされました。
続いて、資本金や社員数、保有機材数、貨物駅数といった基本情報のほか、発足の背景としての国鉄改革や客貨分離の仕組みについて説明がありました。また、旅客会社が保有する線路設備を借りて運行するJR貨物の事業構造や、運行に必要な保守費用を負担する「アボイダブルコストルール」が適用される中でも線路使用料が年間経費の1割強を占めていることについて解説がありました。
コンテナ輸送と車扱い輸送の違い、出荷依頼から納品までの流れ、専用列車の種類やコンテナのラインナップ、貨物駅等での情報管理システムについての説明もあり、普段なかなか知り得ない情報に多くの学生が非常に興味深そうに耳を傾けていました。
次に、貨物鉄道を取り巻く環境と役割についてのお話がありました。最初に国内貨物輸送量の推移を示すグラフが提示され、コロナ禍での減少から完全な回復には至っていないものの、輸送機関別で見ると内航海運と自動車輸送が減少する中、貨物鉄道のみが伸びていることが示されました。
これからの社会に多くの貢献が期待される貨物鉄道輸送ですが、その特長として、運転士1人でトラック65台分の輸送が可能という高い労働生産性や、すべての輸送機関の中で最も環境負荷(CO2排出量)が少ないという優れた環境性能が挙げられました。さらに、801km以上の長距離輸送に優位性があることや、今後は300~600kmの中距離帯でもシェアが拡大する見込みである点も示されました。
また、危険品輸送にも優位であり、内陸県への石油輸送によってライフラインを支えていること、特に群馬県と栃木県は県内に供給される石油のほぼ全量を鉄道輸送が担っているとの説明がありました。和泉さまは、多摩キャンパスへ向かう途中の立川駅でタンク車を見かけたことを話題に挙げ、「長野に行くのかも」とお話しされました。
講義の終盤では、JR貨物グループの「長期ビジョン2030」について解説されました。このビジョンでは、「総合物流事業」のさらなる推進していくことを重点方針として掲げています。ここでいう「総合物流事業」とは、“荷主に対し、物流を効率化するためのコンサルティングを行い、その課題・ニーズに基づいて、サービスを組み合わせた最適なソリューション提案を行う事業”と定義されています。そして、全国をつなぐ「鉄道ネットワーク」と「物流結節点となる貨物駅」、そして「グループ会社が有する豊富な物流機能」の組み合わせにより実現するというものです。
和泉さまはすでに実現している事例をいくつか図示しながら、物流施設や倉庫立地を決定する考え方、お客様の課題解決を図った物流ソリューション事例、さらには自然災害などで起きうる輸送障害への対応策についても説明されました。
さらに少し未来の話として、脱炭素に関連する次世代省エネ型車両の導入や次世代バイオ燃料の活用、未来のスマート貨物ターミナル構想についても触れられるなど、非常に盛りだくさんな内容の特別講義となりました。
最後に和泉さまから、「日本の鉄道をどうしていくのか?をぜひ皆さんにも考えていただきたい」というメッセージが贈られ、学生たちは大きな拍手で感謝を伝えました。