経済学部

インターンシップ20周年記念行事「インターンシップ・サミット2014」を開催しました

2014年12月06日

開会式の様子 会場いっぱいのスーツ姿の学生たち

2014年12月6日(土)、多摩キャンパス8号館にて、インターンシップ20周年記念行事「インターンシップ・サミット2014 -ニッポンの今、世界の今を知る。激動の時代、学生は何を志すべきか―」を開催しました。
本イベントは、経済学部における正課授業としての「インターンシップ」開講20周年記念として企画され、学生による体験報告、講演とパネルディスカッションなどを通じ、本学、学員会南甲倶楽部、企業、自治体、学生および関係者等がパートナーとして相互に成長し、成果を上げる機会を共に創り出す場となることをねらいとして実施されました。
開会式に続く第一部「パネルディスカッション」では、小説家で国際開発コンサルタントの松村みかさんのコーディネートで、松村さんを含む6名の卒業生によるパネルディスカッションが行われました。

左からキムさん、真坂さん、松村さん

トップバッターの真坂淳さんは、とにかく実力社会の中で仕事がしたくて、金融業界の中でも当時厳しいと呼ばれていた銀行に敢えて身を投じた。現在は、BNPパリバ銀行投資銀行において、日本を代表する企業が世界と競合するなかでいかに日本を勝たせるか、という仕事をしている。また、学生と社会人を結び付ける仕事にも積極的で、JSBN(日本学生社会人ネットワーク)代表を務める傍ら、文部科学省が推進する「トビタテ!留学Japan」についても、立ち上げから携わっており「世界を目指そう」というメッセージを学生に送ってくださいました。
韓国人留学生として1997年に経済学部を卒業したジョン・キムさんは、慶應義塾大学にて約10年にわたり教壇に立っていたが、現在はフィレンツェで作家活動をしている。当初サムエル的人間をめざし、理性と頭を磨くことに終始していたが、2011年3月の東日本大震災以降は、人生について考えるようになり、学問よりも「一番大切なものを先送りしない人生」を歩むことを心がけているそうです。
彼が学生に送った言葉は、「未完の自分は美しい(完成に向かう自分はもっと美しい)」――未熟な学生時代に限って壮大な長期計画を立てたがるが、5年以上の計画を立ててはならない。5年後には、未熟な現時点の自分では想像すらできない未来が待っているかもしれない。そのためには、マイノリティーに耳を傾け、できるだけ自分にとって居心地の悪い場所――アウェイに身を置くことがお勧めだということでした。
次なるパネリストの松田江利子さんは、現在、茅ヶ崎市常勤保健師で、小学生の子供を持つ母親である。仕事と家庭を両立させながら、出版社や介護老人施設など、様々な仕事を経験して、41歳にして保健師という天職に巡り合ったそうで、現在は障害者や高齢者、ケアの必要な人たちが個々に持っている力を引き出し、支援しているそうです。
楽天執行役員で現シリコンバレー在住の本間毅さんは、中央大学在学中に起業し、WEBインテグレーションを行うイエルネットを設立。その後、2003年にSONY入社。品川本社をはじめ各事業所、アメリカ勤務を経て2012年に楽天執行役員に就任し現在に至っている。「英語では苦労したが、35歳までなら問題ない(英語が話せるようになる)。自分がその例だ」と、現在は、日本の時価総額トップ企業50社以上のIT企業が集まるシリコンバレーで、海外と日本を繋ぐ仕事に携わっています。
最後は2013年卒業で、現在福島県庁勤務の佐藤千紘さん。最若手のパネリストだ。去年1年は総務省、今年から地元の福島県庁で働いている。学生時代は、ジュネーブの国際機関を含む4か所でインターンシップを経験した。公務員を選んだ理由は、インターンを経験して興味が広がり職種を絞れないでいたところ、公務員が全部の業種をカバーし、あらゆる分野を網羅できることに気付いたから。佐藤さんからの学生へのメッセージは「天邪鬼(あまのじゃく)になる」。群れないで、天邪鬼になる勇気を持ってほしいとエールを送ってくだいました。

講演する門田隆将さん

続いて、第二部の記念講演会では、ジャーナリストの門田隆将さんがNHKの山本哲也アナウンサーの紹介で登壇し、「『歴史の転換点』をどう捉え、どう生きるか」のテーマで、これから就活を迎える学生に、熱く、エネルギッシュに語りかけた。門田さんは常に、「毅然とした日本人」を書くことを心がけているノンフィクション作家だ。時勢に遅れた企業とはどういうものか、生き残る企業にあって潰れる企業にないものは「本義」であり、その「本義」を失ってしまったら、企業もジャーナリズムも、家庭ですら終わりであることを、朝日新聞の吉田調書問題に端を発する原発問題を例に講演した。
『私の大先輩で、中央大学の「惜別の歌」を作った人に、藤江英輔という人がいる。彼は今、肺が小さくなってしまいボンベを付けてしか会話ができないが、その人が、「人間は揺れこそが美しい」と言っていた。反原発の人に話を聞くと、確かにそうだ、一理ある。原発推進の人に聞くと、毎日原発が動いていないために、1日100億、年間3兆6千億が支出され、日本の財政を圧迫しているという。いろんな議論があるし、あっていい。両方の意見に一理あり、どちらも正しい。人は揺れていい。人間は揺れてこそ美しい。それを言論の自由を封じ、事実をねじ曲げてしまっては、「本義」が立たない』その一本筋の通った、「本義」のある話に、会場の学生は息をのんで、真剣に聞き入っていました。
その後、第一部で進行役を務めた松村みかさんと山本哲也アナウンサーが加わり、門田さんを含めた鼎談が行われ、名残惜しくも時間に押される形で、第三部の、学生によるインターンシップ報告会に移りました。
報告会は、分野により5会場に別れて実施され、各会場とも、インターンシップを経験して一回りも二回りも大きくなった学生が、生き生きと、自分たちの体験を報告した。海外インターンシップに参加した学生の発表は英語により行われ、聴衆一同は感心した様子を見せていました。
閉会式では、全国の大学に先駆けて本学にインターンシップを導入し、日本インターンシップ学会顧問でもある、金田昌司名誉教授のメッセージがインターンシップ20周年記念行事実行副委員長の鳥居伸好教授によって代読された後、学生のインターンシップの報告・思い出ビデオが上映され、「インターンシップ・サミット2014」は、大盛況のうちに閉会しました。