法学部

【活動レポート】星野 公哉 (2003年入学・国際企業関係法学科)

活動データ

・2004年2月7日から4月4日(アメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストン)

・2004年3月30日から4月2日(アメリカ合衆国ワシントンDC)

・2003年度後期選考(英語分野)

活動日程

・2/7 ボストン・ローガン空港到着

・2/9 Boston School of Modern Languagesの授業がスタート

・3/17 NBAの試合を観戦

・3/30 ワシントンDC観光

・3/31~4/2 ワシントンDCで開かれたInternational Law Students AssociationのSpring Conferenceに参加

・4/5 成田国際空港到着

活動概要

ボストン・ローガン空港到着

渡航費:$0(マイレージを利用したため)

東京からボストンへの直行便がなかったためシカゴ経由の飛行機でボストンを目指しました。入国審査は、予想してはいましたが、非常に厳重なものでした。指紋の採取、スーツケースのチェック、靴までX線に通されました。また空港の職員は決して親切とは言えず、むしろ無愛想でしゃべり方も非常に早かったのが印象的でした。

Boston School of Modern Languages

期間:2004年2月9日~2004年3月26日(7週間)
授業料・ホームステイ代:$3,460

2月9日から3月26日までの7週間の間Boston School of Modern Languages(BSML)にて英語を勉強しました。この語学学校は創立75年以上というボストンにある語学学校の中でも比較的長い歴史を持つ学校です。この語学学校を選んだ理由は①アメリカの中でも歴史が古く、また有名大学が数多くあるボストンにあり、②日本人が少なく、③ボストンの語学学校の中でも比較的長い歴史を持っているため、この学校の評判は他校に比べて良いと予想したためです。 授業は午前9時から午後3時までで45分授業が6コマありました。最初の3コマ(Structure、Idiom、Vocabulary)は必修で残りの3コマは好きな授業を選択できるというシステムでした。毎週金曜日には必修科目の試験がありました。生徒はラテン・アメリカ出身者が多く、次いでヨーロッパ、アジアです。12月から3月は冬で非常に寒く、生徒数じたいも合計30数名と少なかったのですが、日本人の数も私を含めて3名と日本語を使う機会が非常に限られていた点も英語を学ぶ上で好都合でした。生徒は5~7名のクラスに入学試験の点数によって分けられ、BSML独自のテキストを使い英文構造、熟語、語彙を勉強しました。選択の授業には教師から出されるトピックについて話し合う「Conversation」やTOEFLの問題を実際に解く「TOEFL」、熟語の知識を増やすための「Super Idiom」、生徒がドラマを実際に作り演じる「Drama」クラス、映画を鑑賞し、その内容や感想を話し合う「Film Study」等様々な種類がありました。私は「Conversation」や「Super Idiom」、「TOEFL」、「Speaking Drill」クラスを選択しました。クラスは4週間ごとにレベルが変更になり、クラスの構成員は変わらずに一つずつレベルが上がります。
先生方は好意的で授業も楽しかったが、そのしゃべり方は生徒に分かりやすいものであるため実践的ではなく、自分の求めていた日常会話を超えたレベルのリスニング理解力やディスカッションに使えるスピーキング能力を身につけることはできませんでした。またテキストは学校設立以来あまり変わっていないらしく、ボキャブラリーや表現が古いものが多く、その意味でも実践的ではないと感じました。私にとって非常にいい経験だったのが、ラテンアメリカやトルコなど今まで会ったこともない国の友人といろいろな話をすることができた点です。ベネズェラ出身の友人は自国の独裁政権と悲惨な市民の生活について、トルコの友人はイスラム教について語ってくれました。どの話も彼らが体験してきたことや彼ら自身の生活の一部であるため、現実的で真にせまっていました。今でも忘れることはできません。
休日には学校の友人とダウンタウンに出かけました。ボストンはアメリカの中でもっとも長い歴史を持つため、町並みも古く趣のある建物やモニュメント、ミュージアムが多く、また世界的に有名な大学も数多くありました。

・Museum of Fine Arts
ギリシャや中国、エジプトをはじめとして世界各国の歴史的・文化的展示物を見ることができる。

・Harvard University
ハーバード大学の敷地に入り、図書館をはじめとした施設の見学することができた。大学の周りはレストランや小さな店でにぎわっていた。想像以上にアジア系の人々が多かった。

・Boston Common & Public Garden
2つの大きな公園が通りをはさんで向かい合っていた。Boston Commonはアメリカ最古の公園として知られている。Public Gardenには初代大統領ジョージ・ワシントンの銅像がある。

滞在先は21歳以上でないと語学学校所有のアパートに住むことができないため、ホスト・ファミリーを選択しました。最初のホスト・ファミリーはファミリーではなく一人暮らしの女性の家でした。彼女は仕事が忙しく休日にはどこかに一人で出かけるというように当初予想していたネイティブ・スピーカーとの会話をほとんどできなかったため、語学学校の事務員に相談し、1週間で最初のホスト・ファミリーをやめ、飲酒をしないという条件のもとアパートに住むことにしました。ハウス・メイトは国際弁護士を目指すイタリア人の弁護士でした。アパートでは、毎週語学学校の友人を招いてパーティーを開くなど楽しむことができましたが、英語力の向上にはむいていませんでした。そこで3週間を区切りに再度語学学校に相談し、ホスト・ファミリーに再度移らせてもらうことにしました。イタリア人の友人には伝えづらかったのですが、自分の滞在期間は2ヶ月間しかないことや自分の英語力について説明し、ホストファミリーに移ることが英語力を短期間に上げるのにもっとも効果的だと考えていることを話し、彼も理解してくれました。次のホスト・ファミリーも一人暮らしの男性でしたが、仕事を引退し生徒と時間を過ごすことを大切にすると評判の方であるとの情報を事務員の方が教えてくれたので、そのホスト・ファミリーを選びました(ホスト・ファミリーに要求する一定の条件を語学学校側に提示し、その条件に適応した家族を選ばせてもらった)。新しいホスト・ファザーは評判どおり常に生徒との交流をもってくれました。彼は1991年以来3000人以上の留学生を受け入れているそうで、様々な国の文化や歴史を知っていて生徒の思い出とともに語ってくれました。また料理がとても上手で毎日食べきれないほどの料理を作ってくれました。「学校では英語を勉強しなさい。この家では料理を勉強しなさい」が彼の口癖で、その言葉どおりイタリア料理や中国料理など定番のものからギリシャ料理やポーランド料理、ドイツ料理など今まで食べたことのないような国の料理をも作ってくれ、その食べ方やその国について教えてくれました。
新しいホスト・ファミリーに移ってから1週間後にはマサチューセッツ州立大学の中国人の交換留学生が3人来ました。その3人とも、ボストンを案内したり、一緒にご飯を食べながら会話する過程ですぐに仲良くなり、お互いの国の政治的な話題からプライベートなものまでいろいろな話をしました。当初中国人の日本人に対するイメージが悪いことを予想していたので、うちとけることができるか不安でしたが、3人ともそのような偏見を持ち合わせておらず、4人一緒にいるときは中国語を使わないことを自分たちから約束してくれるなど、非常に幸運でした。
ボストンを離れる前日にはホストファザーの友人約10名を呼んでのホーム・パーティーが開かれました。彼には弁護士の姪がいて、このパーティーにも来る予定であったが急遽来ることができなくなり残念ではありましたが、彼の友人たちと話す機会を持つことができました。興味深かったのが、ホストファザーの友人たちがみな一度はアメリカの政治の話をし、時にはディスカッションをしていたことです。彼らの中には理系の科学者が数人いたが他の人と同じかもしくはそれ以上に熱心に話していました。アメリカ人の政治への関心の高さと、アメリカが「民主主義の国」であることを肌で感じました。私もそのディスカッションに混ざってイラク戦争や大統領選、同性愛結婚など新聞の一面にのるようなトピックを話し合いました。

NBAの試合を観戦

チケット代:$60
場所:Fleet Center (Orange Line “North Station”)

3月にはNBAの試合(Celtics vs Nugetts)を観戦しました。ホームページからチケットを購入しようとしましたがクレジットカードの関係で手続きが複雑だったので、Boston CelticsのホームコートであるFleet Centerに直接行きチケットを手に入れました。値段は$60だったがコートに近く、臨場感を思う存分味わったという感じでした。同時多発テロの影響から会場内への手荷物の持込は禁止されていて、またロッカー等荷物を預ける場所もないので注意が必要です。
「NBAの試合を生で見る」というのは私の小学生のころからの夢でした。選手の練習→国歌斉唱→選手紹介→試合というテレビを通して、何度も見てきた光景がとても新鮮でした。非常にいい経験をすることができました。
NBAの試合中に一組の夫婦に出会いました。彼らは一人で観戦していた私を気遣い、コートサイドで写真を撮ってくれたり、試合中のイベントについて教えてくれたりしました。帰り際には連絡先を教えてくれ、帰国の前にもう一度会うことを約束し、1週間後に再会しました。はじめにダウンタウンに行き、奥さんがかつて勤めていた保険会社のビルを紹介してくれました。その後彼らの自宅のある町へ行きました。ダウンタウンとは違った雰囲気の海辺の美しい町でした。町をしばらくドライブした後、彼らのお気に入りのレストランへ行き、夕食をご馳走になりました。そのレストランからは夜の海が見渡せ、遠くにはかすかにダウンタウンのビルの光を見ることができました。ご飯の最中、ボストンについての話や将来の夢、彼らの仕事などいろいろな話をし、有意義な時間を過ごしました。ワシントンへ発つ前にももう一度再会することができました。その際には彼らの所属するLion’s Clubのオフィスやボストンで有名なヨットクラブを紹介してくれました。ボストンの思い出にとTシャツや帽子までプレゼントしてくれました。NBAの観客席で出会った見ず知らずの異国の者に対しここまで親切にしてくれることに感銘を受けるとともに、感謝の念でいっぱいでした。

ワシントンDC観光

Amtrak(ボストン―ワシントンDC間):$82~$102(時間帯・曜日による)
地下鉄:$1.20~$3(距離による)
バス:$1

3月29日の夜にワシントンDCに向かいました。AmtrakというボストンからワシントンDCを結ぶ列車に乗り、約10時間かけて目的地に到着しました。ワシントンDCには様々な政府関連の建物や美術館、名所がありました。

・ホワイトハウス
テロの影響からホワイトハウス内の見学はできなかった。屋上には望遠鏡を手に監視する兵士が数人いた。

・連邦最高裁判所
“EAQUAL・JUSTICE・UNDER・LAW”という言葉を冠した建物が非常に印象的だった。裁判所見学ツアーを待つ人々が長い列を作っていた。

・トマス・ジェファーソン記念堂
日本から送られた桜が林立する池の一角に位置する。記念堂内の壁には、独立宣言文が刻印されていた。

・リンカーン記念堂
堂の中央に巨大なリンカーン像があり、壁には彼の有名な演説が刻まれていた。堂の外の地面にはキング牧師の“I HAVE A DREAM”の刻印があった。

・ワシントン記念塔
初代大統領ジョージ・ワシントンを記念して造られた塔で、南北戦争の際一度建設が停止になったため塔の上部と下部で色がにわかに異なっている。

・スミソニアン
自然史博物館やアメリカ歴史博物館、航空宇宙博物館など様々な種類の博物館・美術館が林立する地区。

International Law Students’ Association’s Spring Conference

期間:2004年3月29日~2004年4月3日(航空機の関係で2日まで参加)
会場:Wyndham Washington DC Hotel (1400 M Street NW Washington, DC 20005)
宿泊地・宿泊費:The Carlyle Suites Hotel (1731 New Hampshire Avenue, N.W. Washington, D.C. 20009) $511.80 (3泊4日)
Spring Conferenceプログラム

3/31 Wed 9:00am Registration Opens
2:00pm Welcome ・ILSA President, Chandra Cranmer
2:30pm Keynote Lecture : “Introduction to the Alien Tort Statute” by David Baron
5:30pm ASIL Sixth Annual Grotius Lecture (at Loews L’Enfant)
7:00pm ASIL President Reception (at Loews L’Enfant. Advanced payment and registration necessary)
10:00pm Jessup Run-Off Announcement Party @LuLu’s Club Marti Gras
4/1 Thu 12:00am ABA Section on International Law & Practice  Presents: “Pathways to Employment in International Law”
1:00pm “Erga Omnes Obligations” Paper Presentation   by Wojciech Kornacki
4:00pm “Introduction to Climate Justice: The Prospects for Climate Change Litigation”   by Professor William Burns
7:30pm ILSA/ ASIL New Professionals Mixer   by Judge Stephen M. Schwebel, Former President of the International Court of Justice
10:00pm "Go-National" Dress Ball
4/2 Fri 10:00am "Introduction to Treaties in U.S. Law: New Debates on Old Issues"  by David Quayat
11:00am ILSA Journal Workshop   by Wayne Clark, Editor-in-chief
1:00pm ILSA International Law Internet Portal   by Kirstie Bowling, Editor-in-chief
2:30pm International Student Coalition for the International Criminal Court (ISC-ICC)   by William Lim, ISC-ICC
6:00~
7:30pm
ISLA Panel Discussion: “From Nuremburg to Rome”  by Professors Henry King, Benjamin Ferencz, Former Prosecutors, Nuremburg Militarty Tribunal, M. Cherif Bassiouni., DePaul University College of La
4/3 Sat 9:00pm ILSA/ Jessup/ Shearman& Sterling Party
10:00am ILSA Spring Congress
4:00pm Shearman & Sterling Jessup Cup World Championship  @U.S. District Court
9:00pm ILSA/Jessup Closing Gala

このカンファレンスは、International Law Students’ Association(ILSA)が毎年開いている国際法学生会議で、模擬裁判の参加者を含めると全世界80カ国以上の法学生650人以上が参加する大規模なイベントです。ILSAは世界90カ国以上総勢7000人以上という大規模な国際法に興味を持つ法学生のネットワークを持つ組織です。
このカンファレンスへの参加目的は①アメリカのロースクールに通う学生の実態を知り、②自分の所属するAsian Law Students’ Association(ALSA)と同じ法学生団体でありながら巨大なネットワークを持つILSAに非常に興味があり、将来的な提携の可能性を探り、また同団体間で2年前に結ばれたアグリーメントの履行を要求するためです。
カンファレンスの主なプログラムはロースクールの教授や弁護士、元検察官からのレクチャーでした。レクチャーの内容は先の国際模擬裁判や国際刑事裁判所ICCに関係した国際法の基本やその問題点について、実務家の先生の実体験を絡めた学生へのメッセージなどでした。国際法に関係したレクチャーはロースクール生であれば知っていなければならないというような基礎知識についての内容でしたが、国際法を勉強したことのない私にとっては言わば未知の世界で、レクチャーによってはほとんど理解することのできないものもありました。
カンファレンスと同時進行でJessup International Moot Court Competition(国際模擬裁判)も行われていました。この模擬裁判は国際紛争を扱うもので参加者はICC(International Criminal Court)の法廷で議論を繰り広げることを想定しています。私はハーバード大学対コロンビア大学の試合を見学しました。立論や尋問、結論等の内容は理解することができなかったが、参加者のしゃべり方や様子には驚かされました。しゃべる内容が書かれた用紙があるにも関わらずその用紙を見ることはほとんどなく、一度も躊躇することなく、言い間違えることもなく発表していました。また裁判官は不明な点を明らかにするためや発表者の理解度を測るために唐突に質問をするのですが、発表者は全く焦ることなく質問の後にためらうことなく返答していました。
このカンファレンスを通して、英語力はさることながら法律の知識や論理的思考能力、プレゼンテーションやディスカッションの能力等、自分の現状のレベルとアメリカを始めとした世界各国の法学生との間には非常に大きな差があることを実感しました。

感想

全体を振り返ってみると非常にいい経験をすることができましたが、2つの理由から2ヶ月の短さを感じました。一つ目は語学学校の友人やホストファミリーとのボストンでの生活が非常に楽しく有意義であったため、2つ目は英語力を思うように上達させることができなかったためです。日常会話を超えた英語力を身につけることが今回の留学全体を通した目標でしたが、それを達成することはできませんでした。継続的な努力が不可欠であること、リスニング・リーディング・ライティングをバランスよく勉強していく必要性を改めて実感しました。
英語力の点では飛躍的な向上は成し遂げることができませんでしたが、ボストンでの生活は楽しく、また有意義であったし、ワシントンでのカンファレンスに参加することで、アメリカロースクール生の実態を知ることができました。

今回の活動をどのように自分の将来に生かしていくか

アメリカのロースクールを受験する前に1年間準備としての留学を考えていますが、2ヶ月間の留学でアメリカでの生活リズムに自分を合わせることができたので、アメリカで生活することに自信がつきました。英語に関しては自分なりの学習方法を見出すことができました。「感想」の部分でも書いたようにリスニング・リーディング・ライティングをバランスよく学習し次回の留学に向け、地道に努力していきたと思っています。また法律科目に関しても徐々に知識を深め、ILSAのカンファレンス参加者たちとの差を少しでも縮め、次に参加する機会があれば、その際にはより有意義なものにできるよう勉強していきたいと思っております。

後輩へのアドバイス

英語力を向上させるもっとも効果的な方法はやはりネイティブスピーカーとふれあう時間をできるだけ長くもつことであると考えます。そうすることで日常的な会話に不自由することはなくなります。しかし日常会話と自分の専門分野やビジネス等で使用する英語との間には大きな差があります。そのような英語を身につけるためにはやはりそのような英語を使う場に参加すること、そしてそのレベルにみあった書物にできるだけふれることが効果的でしょう。
短期(1~2ヶ月)でできることは非常に限られていますが、いろいろな人のアドバイスを聞き、できるだけ効率的に、かつ有意義な滞在ができるようにすることがもっとも重要だと思います。