国際情報学部教授 平野晋の専門分野はインターネットの法学研究(サイバー法)、製造物責任法・不法行為法、及びアメリカ法等です。
同教授 須藤修の専門分野は社会情報学、医療情報学、応用経済学です。
このたび、平野および須藤の論稿が『自治体法務研究』2025年冬号に掲載されましたのでご案内いたします。
2025年5月「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」(以下、「AI法」)が成立し、同年6月に公布・一部施行、同年9月から全面施行されました。該当号の特集名は「AI活用の推進と自治体」であり、「AI法」の施行を踏まえ、自治体でのAI活用の展望や今後の課題について考察しています。
平野は「AI法」の制定について、また、須藤は自治体における生成AI活用とリスク対応についてそれぞれ論じています。
平野は近年、AI・ロボット法研究を中心に活動し、日本政府によるAIのルール作り(総務省「AI開発ガイドライン」「AI利活用ガイドライン」及び「AI事業者ガイドライン」)や、国際機関である経済協力開発機構のAIルール(「OECD AI原則」)作りにも貢献してきました。
平野は2024年に、内閣府の「AI制度研究会」の構成員に指名され、政府に対してこれまでAI規制に関する意見を提言してきました。
<参考>
・岸田総理大臣(当時)等への提言
・石破総理大臣(当時)等への提言
本稿では、平野は、「AI法」の基となった「AI制度研究会」に於ける議論と知見等を参考にしながら、同法が「AI制度研究会」第一回会合の際に示された「岸田首相の4つの基本原則」に基づいて構成されている旨を概説し、AIのもたらし得るリスクへの対応の仕組みを中心に解説しています。
須藤は、現在、内閣府「人間中心のAI社会原則会議」の議長や総務省「自治体におけるAIの利用に関するワーキンググループ」座長、OECD Expert Group on AI Futures、Global Partnership on AI (G-PAI)の委員等多くの要職に就任しており、情報技術の発展に伴う国内外の社会変革に向けた施策立案等に取り組んでいます。
生成AIは仕事の業務効率化が期待される一方で、個人情報の漏洩や意図しない著作権侵害のリスク、ハルシネーションへの対応等、生成AIの利用にあたっては今までとは異なるリテラシーが求められます。本稿では、「自治体におけるAIの利用に関するワーキンググループ報告書」(総務省、2025年7月)を踏まえて、生成AIを利用する際の留意点や対応等について解説しています。また、注目すべき生成AI活用の事例として、米国カリフォルニア州サンノゼ市における生成AI導入を紹介し、今後の日本の自治体における生成AI活用検討の縁としています。