水素を重水素に置き換えた試料も用い、赤外吸収や質量スペクトルに現れる同位体シフトを比較することで、生成したラジカルや高次ボランの同定を行いました。
理工学研究科応用化学専攻博士課程2年、理論化学研究室の野上田光織さんが、中央大学の海外協定校である米国ハワイ大学マノア校の Ralf I. Kaiser 教授の研究室への留学中に参画した国際共同研究の成果が、英国王立化学会の学術誌 Chemical Science に掲載されました。
本研究では、低温のジボラン(B₂H₆)氷に電子線を照射し、これまで直接的な分光同定が困難であった二重架橋型B₂H₅ラジカルを捉えました。さらに、B₁₂に至る高次ボランが非平衡条件下で形成されることを明らかにしました。
野上田さんは、理論化学研究室で宇宙推進用燃料を含む高エネルギー物質の反応機構を研究しており、本研究では実験データの解析に貢献しました。理論化学を基盤とする自身の研究を、低温分光実験および国際共同研究へと展開した成果です。
野上田さんのハワイ大学への留学は、科学技術振興機構(JST)の次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)に採択された、中央大学「イノベーションの展開に貢献する人材養成の博士後期課程プログラム(D-CPRA)」の支援を受けて実施されました。D-CPRAは、博士後期課程学生の海外留学・海外派遣研究などを支援する中央大学のプログラムです。
論文名
Non-Equilibrium Formation of the Elusive Dibridged Diboranyl (B₂H₅) Radical and Boranes in Low-Temperature Diborane Ices
著者
Jia Wang, Joshua H. Marks, Chaojiang Zhang, Andrew Martin Turner, Mason McAnally, Miori Nogamida, Ralf I. Kaiser
掲載誌
Chemical Science