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総合政策学部
総合政策学部長挨拶

総合政策学部長 堤 和通

堤 和通
総合政策学部長

総合政策学部は、1993年に開設されました。世界的には、20世紀後半の冷戦構造が終わり、対立したイデオロギーを軸にした歴史の終焉が説かれる一方で、ユーゴ連邦の崩壊に伴う民族浄化をはじめとする地域紛争、内戦が勃発し、国内的には、「55年体制」の終わり、バブル経済の崩壊、戦後まれにみる治安情勢の悪化など、社会の大きな変容と、新たな問い、課題の到来がみられました。この中で、縦割りの学問領域を跨ぐ複眼的思考の養成により、問題を発見解決する人材の育成を目指して、「政策と文化の融合」を理念に学部は出発しました。複数の学問領域に加えて、世界で通じる言語として重要性を増す英語と、地域研究に並ぶ各言語の習得と、リテラシーを含む情報関連科目を重視したカリキュラムが組まれました。

開設して四半世紀を迎えた現在、以前にもまして、社会の変容と新たな問い、課題の現出がみられます。情報はインターネットで瞬時に地球のどこにでも届き、どこからでも取り寄せることができます。対テロ戦争の引き金になったツイン・タワーへの攻撃は、ニューヨーク・マンハッタンに国境を越えてテロ集団が甚大な被害を与えた点で衝撃的であり、それに引き続く戦争は、従来では例外的であった国家間でない戦争で、責任ある集団をターゲットにして終わることがありません。2008年のリーマンショックは金融が国境を超えることを、2010年に始まるアラブの春は一地域の体制の変革が、混乱や内戦、さらには、難民の流出とそれによる他地域の政治情勢への影響を通した甚大な波及性を備えることを、現前にしました。国内的には、保育園の待機児童から子ども虐待に至る子育てを巡る問題、老々介護や高齢者犯罪の増大など高齢期の問題は人が生まれて生涯をおくる社会環境について、ヘイトスピーチやフェイクニュースの流通は自己を表現し政治の熟議を重ねる場である「言論」空間について、新たな問いがあることを示唆しています。

このような中で、総合政策学部では、次の世代が人間の可能性を最大限に発揮させて、生起している事象を分析し、背景を探り、社会の行く末を見据えて、理性という共通言語で共存のための原理原則について対話を重ね、壁の向こうの他者への共感をもって、解決策を確実に実行し、同時に練り直す営みを自覚的に続ける力をつけてもらいたいと思っています。

事実の探求と価値の発見、確認を不断の姿勢とし、異なるもの同士の対話の担い手を養えるような、系統だった学びを踏まえた複眼思考への志向は、企業、公務員、NPOという活躍の場で、地域文化に応じたコンプライアンスの整備、遠い地域にある製造現場の安全確保の関心喚起と定着、問題の現場と政策展開に至る具体的な姿を跡付けた公共政策の策定実施、関連分野への幅広い目配りと多分野間にわたる実効的な戦略、戦術の試行実施などを通し、貴重な貢献をするでしょう。

社会は流動的で価値観は多様であり、そもそも、単なる懐古主義は非生産的で、自分に合う価値観に囲まれた安心感は常に排外主義と背中合わせです。しかし、そうとはいえ、また、そうであるからこそ、大学での学びがしっかりとした自分の軸を得られるように学業を積んでもらいたいと思います。そのような軸を持つことで、見知らない他者が脅威と映らず、かえって、状況や関連概念の冷静な把握分析と他者への共感による温かい行動力が自分のものとなり、異なる文化、社会、集団、個人の間の生産的な対話の担い手、ファシリテーターになり得るのでしょう。総合政策学部は、開設理念を胸に、このような卒業生を輩出できるようにこれからも具体的な仕掛けを試行実施していきます。