情報工学科・専攻

情報工学科の学生が「さわれるチェス」を開発! ~バリアフリー貢献で感謝状~

左から、太田さん、島田さん、坂口さん。

情報工学科3年配当の授業「画像・映像コンテンツ演習3」でチームを組んだ以下の4名が、「さわれるチェス」を開発しました。

太田凌羽さん(知能・情報制御研究室)
坂口満輝さん(知能・情報制御研究室)
島田優希さん(アルゴリズム理論基礎研究室)
髙田皓輔さん(アルゴリズム理論基礎研究室)

「さわれるチェス」とは、視覚に障害があっても、手の感覚で駒が分かり、ゲームを楽しめるポータブルタイプのブラインドチェスです。

2026年8月30日に開催された「第5回 誰でも囲碁フェスティバル」に参加した、太田さん、坂口さん、島田さんは、積極的な運営支援、および、ユニバーサルデザインを意識した自作プロダクトの展示によるバリアフリー貢献が評価され、2026年9月6日、東京都慰霊堂にて挙行された「第14回首都防災ウィーク記念式典・防災フォーラム」にて、首都防災ウィーク実行委員会から、感謝状が贈呈されました。

感謝状をいただいた3名に、インタビューをおこないました。

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Q. なぜブラインドチェスを開発しようと思ったのですか?

ボードゲームが好きで、純粋に「作りたい!」というところから始まりました。社会課題を探している時に、視覚障害のある人のための、ボードゲームの選択肢として、オセロや囲碁はありましたが、チェスはあまりありませんでした。既存プロダクトは、高価な物や、安価だけど信頼できるか不明な物が目立ち、入手しにくい状況でした。だったら、「自分たちで作っちゃえ!」という発想になり、開発することにしました。

イベント当日に配付したポスターの一部

Q. 経緯を教えてください。

情報工学科3年配当の授業「画像・映像コンテンツ演習3」において最優秀賞を受賞した「触ってわかる!! おりがみチェス」を前身とし、当時のチーム「エレクトロニックゲーミングリンゴ」のメンバーで、更に実用性を高めるべくブラインドチェスのブラッシュアップを行ってまいりました。開発にあたっては、協力関係先である「一般社団法人 日本視覚障害者囲碁協会」様より、「触ってわかる‼おりがみチェス」製作段階からプロダクトに対するフィードバックをいただいておりました。このご縁があり、同協会代表理事の柿島光晴氏が実行委員長を務めるイベント「第5回 誰でも囲碁フェスティバル」への参加の機会をいただき、「さわれるチェス」を展示いたしました。

Q. 「一般社団法人 日本視覚障害者囲碁協会」様とは、どのように繋がったのですか?

インターネットで、「アジアパラ大会で視覚障害者用チェスの種目があったが、日本で視覚障害者用のチェスがほとんど普及していないことが一因で、日本人選手が一人もいなかった」というニュースを見つけました。そこに掲載されていた「一般社団法人 日本視覚障害者囲碁協会」について調べてみると、実際に、安価な視覚障害者用のボードゲームを開発・製作されている協会であることを知り、私たちの製作物に対しても、現場の目線からフィードバックをいただけたら嬉しいと、連絡したことがきっかけで接点を持ちました。

Q. 情報工学科の授業で、役に立った学びはありましたか?

2年配当の「実践プログラミング」や、3年配当の「ディジタル形状処理」の授業で学んだことが、役に立ちました。「触ってわかる‼おりがみチェス」は、ペーパークラフトのプロダクトであることにより、3Dモデリングツールでモデルを作成し、ペーパークラフト用展開図に落とす作業を、手作業で行う必要がありました。この作業に非常に時間が掛かっていたことがボトルネックでしたが、3Dオブジェクトの展開図を自動的に作成してくれるツールを自作することで、このボトルネックは解消されました。このツールを作る際に、「実践プログラミング」や「ディジタル形状処理」の授業で、「シェルスクリプト加工」や「メッシュの形状」、「データ構造」を学んだことが、非常に、役に立ちました。

Q. 大変だったことは、何ですか?

プロダクトのブラッシュアップの過程です。私たちは、視覚に障害がある人の感覚を完全に理解することはできません。そのため、作ったものが伝わるかどうかは、実際に触ってもらわないと分かりません。その感覚の乖離を埋めるのは難しかったですが、日本視覚障害者囲碁協会の方々など、関係者のコミュニティに参加し、実際に触れてもらいフィードバックを得ることで、ギャップを埋めることができ、形状を変えたり、動きを加えたりといった改善に繋がりました。

Q. 最後に、情報工学科を目指す高校生へ、一人ずつメッセージをお願いします。

島田さん:
大学に入る前に、色々なものを触ってほしいと思います。パソコンでもいいですし、ロボットでもいいです。世の中を歩いてみたり、美味しいものを食べてみたり、いろんな感性を豊かにする行動をとってほしいなと思います。勉強は、大学に入ってからいくらでもできます。それまでの間に、自分はどういうことをしたいのか、大事な核となる部分を見つけられると良いと思います。情報工学は、手段でしかなく、それに対して自分は何をしたいのかという感性の部分を、若いうちにぜひ身に付けて欲しいなと思います。

太田さん:
今回、ツールを自作した後にシェルスクリプトで効率化したという技術的な点も含まれていますが、大部分はチェス作りという、一見すると情報工学科とは関係のないプロダクトの製作に携わっていました。ものづくりをすることで、日本視覚障害者囲碁協会や囲碁イベントを通じ、普段関わることができない方々と、実際にお会いすることができ、知見が広がりました。視野を広げてみて、改めて情報工学の力を使ってどう生かすのが良いか考えることが、今後の勉強の指針に繋がっていくのではないでしょうか。

坂口さん:
動いて作ることが、大事だと思います。例えば、ソフトウェア開発もそうですし、チェスもそうですけど、物を作ってみないと分からないことが、たくさんあります。頭の中で、どうこういじって、「こういうふうに考えているんです。」で止まっているのは、もったいないです。今の時代、AIが台頭してきて、物を作るハードルが下がってきているので、「だったら、作ろうよ!」と。作るというのは、情報分野の場合、ソフトウェアなど実際にさわれないものでも良いです。面倒なことは、AIの力を借りれば良いと思います。ただ、最初にアクセルを踏むのは絶対に人なので、その「1回踏む」ということが重要です。もし、A案、B案、C案…と迷うことがあったら、全部作ってみましょう!アイデアを燻らせていないで、まずは動き、そこからフィードバックを得ることが大切です。

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