
7月15日に入門演習(担当教員:野間口隆郎)の授業で株式会社KADOKAWA 顧問 堀内大示氏に「角川映画におけるメディアミックス戦略」について講演いただきました。堀内氏は角川書店常務取締役その後ブランドカンパニー長(社長)、KADOKAWA執行役員元、角川大映スタジオ代表取締役社長 を歴任したエンターテインメント業界の中心人物の一人です。
角川映画は、独自の「メディアミックス戦略」で日本映画界を大きく変えた存在です。角川映画の戦略は、小説、映画、音楽などの異なるメディアを組み合わせて、横断的な消費を促進しました。例えば、映画化した作品の原作小説を出版し、映画公開後はサウンドトラックを販売するといった形で、一つの作品を多角的に楽しめるようにしました。
その結果、「読んでから観るか、観てから読むか?」というキャッチコピーが話題となった「人間の証明」など、斬新な宣伝手法が多くのヒットを生み出しました。
さらに、テレビCMを効果的に活用したのも特徴の一つで、テレビを通じて映画予告編を広めた最初の映画会社である。それにより、幅広い視聴者層にアプローチしてきました。角川映画のこうした革新的な戦略は、当時斜陽だった日本映画を再生し、エンターテインメント業界全体を活性化しました。
堀内氏は世界的なジャパニーズホラーブームを巻き起こした火付け役です。堀内氏が手掛けた作品にリングがあります。リングは1998年に公開された角川映画のホラー傑作です。原作は鈴木光司さんの小説で、監督は中田秀夫さんが務めました。この作品は、呪いのビデオをめぐるミステリーと貞子が登場しました。テレビ画面から這い出してくる貞子のシーンは、日本のみならず海外でも大きな話題となりました。ハリウッドでもリングは製作され世界で上映されることとなります。現在ではメディアミックス戦略をとる映画産業はエンターテーメント産業と認識されるようになりました。
学生からは非常に多くの関心・質問が寄せられ、活発な意見交換ができエンターテーメント産業の戦略について理解を深める機会でした。