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(1)ウィリアム・ホガース(Hogarth,William)(1697-1764)

ホガースはその生涯に銅版画、肖像画、歴史画等様々なジャンルの作品を数多く手がけ、その名声により「海外から賞賛された英国生まれの画家としては最初の人」(Britanica)とされているが、歴史上パイオニアとして最も大きな足跡を残した分野は何といってもカリカチュアであり、彼によって近代英国のカリカチュアが確立されたと言っても過言ではない。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Hogarth,William The complete works ofWilliam Hogarth : in a series of one hundred and fifty superbengravings on steel, from the original pictures 6 [1880] London Printing
and Pub.Co.,
貴重書庫
759.2/H71

*『ホガース作品集』(全6冊)。 ホガースの主要作品150点を鋼版画として制作した作品集で、 ホガースの妻ジェーン夫人と交流のあった文筆家J.トラスラー(Trusler,John)とE.F.ロバーツ(Roberts,Edwin F.)による詳細な解説が付されている。 6冊完本としては国内所蔵館は当館のみ。

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著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Hogarth,William The works of WilliamHogarth : containing one hundred and fifty-eight engravings,by Mr. Cook and Mr.Davenport 2 1824 Printed for
T.Tegg
貴重書庫
759.2/H71

*『ホガース作品集』(全2冊)。ホガースの主要作品158点を銅版画として制作した作品集で、彼の主要作品を網羅しており、①同様J.トラスラーの解説付きである。

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著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Hogarth,William The works ofHogarth  1 [n.d] J.Dicks 準貴重書
759.2/H71

*『ホガース作品集』。ホガースの銅版画中68点を収録した作品集。出版年不明。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Hogarth,William A harlot's progress 6 1822 Baldwin,Cradock 貴重書庫
759.2/H71

*『娼婦一代記』(全6枚.額装)。ホガースの残した数多くの作品の中でひときわ評価の高いのが連作風俗画である。『放蕩一代』(1735),『当世風結婚』(1745),『選挙』(1755)など後に続く連作風俗画の最初のもので、彼の出世作となったのが本作である。全6点すべて手彩色。国内所蔵館は当館のみ。(原画は1732年作)

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Hogarth,William Industry and idleness   1795 [n.d] 準貴重書
759.2/H71

*『勤勉と怠惰』。④『娼婦一代記』も含む「描かれた道徳シリーズ」のひとつで、二人の対照的な徒弟をモデルとした一種の教訓物語(12枚組)(原画は1747年作)である。当館では1795年に制作されたもののうち、Plate3と6のみを所蔵している。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Hogarth,William The analysis ofbeauty : written with a view of fixing the fluctuating ideas of taste 1 1753 Printed byJ.Reeves 貴重書庫
101/H71

*『美の分析』。 ホガースが絵画以外で残した唯一の著作である。 この中でホガースは「美と優美の線」(Theline of beauty and grace)としての 「蛇状曲線」(The serpentineline)の優位性を説き、美学史にその名を残しその後、 ドイツ語、イタリア語等にも翻訳され海外でも広く紹介されている。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Nichols,John Biographicalanecdotes of William Hogarth : with a catalogue of his works chronogicallyarranged, and occasional remarks 1 1782 Printed by andfor J.Nichols 貴重書庫
759.2/H71/B61

*ホガース作品の編年体解説に評伝を加えたものであり、 彼の評伝としては最初のものと言える。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Dobson,Austin William Hogarth 1 1891 Sampson Low,Marston & co.ltd. 貴重書庫
759.2/H71/D63

*第一部Memoirs,第二部Bibliography andcataloguesから成る評伝である。 本資料はこれ以後、何度か印刷・刊行されているが初版の所蔵館は国内では当館のみである。

 

(2)ジェイムズ・ギルレイ(Gillray,James)(1756-1815)

ホガースの後を受け、 英国諷刺画の隆盛期を築いたのがジェイムズ・ギルレイとトーマス・ローランドソンの二人の同い年の画家である。ギルレイは、 1775~1811年の36年間に857点の諷刺画を描き、実に精力的に諷刺画に取り組んだが、 諷刺をより政治的、社会的なテーマに絞る(特に英国王ジョージⅢ世と仏皇帝ナポレオンへⅠ世の諷刺はすさまじい)ことにより、 専門家としてのカリカチュアリストの地位を築き上げ、社会に認知させた功績は大きいと言える。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Wright,Thomas The works of James Gillray, the caricaturist : with the history of his life and times 1 [1873] Chatto and Windus 準貴重書
741.5/G47

*『カリカチュアの歴史』(A history of caricature and grotesque in literature and art)の著者として 名高い古物学者、文筆家のトマス・ライトによるギルレイの作品集(解説付き)、評伝である。

 

(3)トーマス・ローランドソン(Rowlandson,Thomas)(1756-1827)

ギルレイと並んで18世紀後半~19世紀初頭、英国諷刺画隆盛期のもう一方の旗頭がローランドソンである。 素描だけで4000点以上の作品(1/4が銅版画化されている)を残し、早くも1784年には『モーニング・ヘラルド』紙上に おいて“優れたカリカチュアリスト”として紹介されている。ホガース、ギルレイと比べ、 長編詩、パロディ小説など文学作品との関わりが深く、馬の描写を得意とした。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Britton,John
Rowlandson,Thomas
The pleasures of human life : investgated cheerfully, elucidated satiricaly, promulgated explicitly, and discussed philosophically 1 1807 Longman,Hurst,Rees and Orme 貴重書庫
827/P72

*『人生の歓び』(挿絵7点、手彩色)。1806年にベレスフォード(Beresford,James,1764-1840)が著した 『人生の苦難』がベストセラーとなり、その後いくつか刊行されたパロディ作のひとつが本書である。 著者ブリットンは作家であると共に古物学者、地誌学者であり、彼の著作としてはかなり珍しいものと言える。 ローランドソンは本書に7点の挿絵を提供している。見返しが美しいマーブル模様で飾られた美麗本で、国内所蔵館は当館のみ。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Bunbury,William
Rowlandson,Thomas
An academy for grown horsemaen :containing the completest instructions for walking,trotting,cantering, galloping,stumbling, and tumbling 1 1808 Printed for Vernon,Hood, and Sharpe 貴重書庫
798.2/B94

*馬術教本『乗馬学校』(挿絵29点、手彩色)。 ローランドソンとほぼ同時代に活躍したカリカチュアリスト、バンバリーの文章にローランドソンが29点の挿絵を提供しており、 馬を得意とした彼の原型とも言える作品である。リヴィエール工房の装丁(見返しはマーブル)による美本で、国内所蔵館は当館のみ。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Combe,William Rowlandson,Thomas The tour of Doctor Syntax……a poem 3 1812-
1821
Published at R.Ackermann's Repository of Arts 貴重書庫
821.7/C72

Vol.1.The tour of Doctor Syntax:in search of the picturesque-- Vol.2.The second tour of Doctor Syntax: in search of consolation-- Vol.3.The third tour of Doctor Syntax: in search of a wife

*『シンタックス博士の旅』(全3巻、挿絵計78点、手彩色)。 ローランドソンは文学作品に多くの挿絵を提供しているが、彼の生涯の友であり、 パトロンでもあった美術出版人アッカーマン、放浪詩人クームとの三者共作にヒット作が多い。 中でも『シンタックス博士の旅』三部作(第一の旅1812、第二の旅1820,第三の旅1821)は クームの詩にローランドソンが挿絵を提供し大ヒット作となった。刊行当初は「詩集」ではなく 「画集」と見なされたため書評の対象とはならなかった。三部作全点初版での完全所蔵は日本国内では当館のみである。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Engelbach,Lewis
Rowlandson,Thomas
Naples and the campagna felice :in a series of letters, addressed to a friend in England, in 1802 1 1815 R.Ackermann 貴重書庫
914.5/E57

*『ナポリとフェリシア平原』(挿絵17点、手彩色)。③同様アッカーマンとの共作である。美術出版人であるアッカーマンが自身宛てに届いたルイス・エンゲルバックの書簡「イタリアからの手紙:イングランドの友へ」のうち20通を『ナポリとフェリシア平原』と題して出版したものであり、ローランドソンが17点の挿絵を提供している。国内所蔵館は当館のみ。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Combe,William
Rowlandson,Thomas
The English dance of death :from the desings of Thomas Rowlandson, with metrical illustrations 2 1815-
1816
Published at R.Ackermann's Repository of Arts 貴重書庫
760.942/E58

*『英国版死の舞踏』(全2巻)(挿絵72点、手彩色)。中世パリの墓地に描かれた壁画-あらゆる身分の者が骸骨に導かれて墓場へと向かう舞踏行列図-に由来する。ハンス・ホルバイン(16世紀ドイツ)の木版画シリーズとして良く知られているが、本作も③同様アッカーマン、クームとの共作である。ローランドソンは計72点の挿絵を提供している。当館所蔵本はリヴィエール工房の装丁による美本。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Combe,William
Rowlandson,Thomas
The dance of life 1 1817 R.Ackermann 貴重書庫
760.942/D17

*『生の舞踏』(挿絵26点、手彩色)。⑤と対になる作品で、ローランドソンの挿絵26点が挿入されており、⑤と合わせて、大作『シンタックス博士の旅』(三部作③)とほぼ同時期に作られた作品である。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Goldsmith,Oliver
Rowlandson,Thomas
The vicar of Wakefield 1 1817 R.Ackermann 貴重書庫
823.6/G62

*『ウェイクフィールドの牧師』(挿絵24点)。18世紀イギリスの代表的作家のひとりであるオリバー・ゴールドスミスの小説にローランドソンが24点の挿絵を提供したもの。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Burton,Alfred
Rowlandson,Thomas
The adventures of Johnny Newcome in the navy:  a poem, in four cantos 1 1818 W.Simpkin and 
R.Marshall
貴重書庫
821.7/B97

*『ジョニー・ニューカムの海軍での冒険』(挿絵16点、手彩色)。アルフレッド・バートンの長編詩にローランドソンが16点の挿絵を提供したもの。リヴィエール工房装丁の美本。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Rowlandson,Thomas Rowlandson's characteristic sketches of the lower orders, intended as a companion to the Hew Picture of London 1 1820 Printed for Samue Leigh 貴重書庫
323.3/R88

*『下層階級の特徴的スケッチ』(挿絵54点、手彩色)。 掃除夫、旅芸人、貧しい水夫、犬肉売り、きうり売り、プラカード持ち、コソ泥など当時のロンドンで 様々な職業に携わる下層階級の人々を描いたもの。国内所蔵館は当館のみ。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Combe,William
Rowlandson,Thomas
The tour of Doctor Prosody :in search of the antique and picturesque, through Scotland, the Hebrides, the  Orkney, and Shetland isles 1 1821 M.Iley;[etc] 貴重書庫
821.8/C72

*『プロソディ博士の旅』(挿絵20点)。『シンタックス博士の旅』(三部作 ③)に続くいわば「博士の旅シリーズ」の続編であり、③同様クームとの共作である。この作品では、シンタックス博士がプロソディと名を変え、スコットランドその他を巡っている。ローランドソンによる20点の挿絵入り。国内所蔵館は当館のみ。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Egan,Pierce
Rowlandson,Thomas (etc)
Real life in London,or, The rambles and adventures of BobTallyho,Esq, and his cousin, the Hon. Tom.Dashall, through the metropolis 2 1821-
1822
Printed for Jones and Co. 貴重書庫
942.1/E28

*『ロンドンの実生活』(全2巻)(挿絵計33点、手彩色)。 作家・ジャーナリストでスポーツ、競馬等の題材を得意としたピアス・イーガン(と思われる)の文章に ローランドソンほか四名の画家が計33点の挿絵を提供した作品である。トムとボブという二人の人物が首都ロンドンの 様々な生活風景を見聞するスタイルを取っており、競馬場、宮廷宴会、決闘場面、仮面舞踏会、ジン酒場など様々な階層の 人々の暮らしが描かれており、明らかに『ロンドンの生活』(ロバート・クルックシャンク①)の模倣と言える。モーレル工房装丁の美本。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Combe,William
Rowlandson,Thomas
The history of Johnny Quæ Genus, the little foundling of the late Doctor Syntax : a poem 1 1822 R.Ackermann's Repository of Arts 貴重書庫
821.7/C72

*『クエ・ゲナスの物語』(挿絵24点、手彩色)。③⑨に続く旅行記の最後を飾るもので、 シンタックス博士の拾い子が主人公となっている。“introduction”にはTheidea of an English Gil Blasという記述が見られ、 『ジル・ブラース物語』(ルサージュ作)を意識していると思われる。 また、本作はアッカーマン、クーム、ローランドソン三者共作の最後の作品となった。ローランドソンによる24点の挿絵入り。初版の所蔵館は当館のみ。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Green,James
Rowlandson,Thomas
Poetical sketches of Scarborough in 1813 1 1893 F.Fawcett 準貴重書
821.7/P74

*『スカーボローの小詩篇』(挿絵21点、手彩色)。肖像画家であるジェイムズ・グリーンの絵をローランドソンが版画化した共同作品。1893年に出版されたリプリントではあるが、当館所蔵本は260部限定出版の第63番目である。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Rowlandson,Thomas
(Schiff,Gert)
The amorous illustrations of Thomas Rowlandson 1 1969 Cythera Press 準貴重書
741.6/R88

*『ローランドソン50の艶笑画』。 1906年シュテルン書店(ウィーン)刊(600部限定)の再刊である。 ローランドソンはかなりの遊蕩癖の持ち主で、エロティクな艶笑画も数多く手がけていた。 本書はそれらの大半が収蔵されているウィンザー城のジョージ四世コレクションから選ばれた50点の選集である。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Rowlandson,Thomas Oppé,Adolf Paul Holme,C.Geoffrey Thomas Rowlandson : his drawings and water-colours 1 1923 Studio 準貴重書740.942/R88/O62

*『トーマス・ローランドソン:その挿絵と水彩画』。ゲオフリー・ホーム編による「ローランドソン作品選集」(作品数96点)である。200部限定出版のうち182番目。

 

(4)ロバート・クルックシャンク(Cruikshank, Isaac Robert)(1789-1856)

ギルレイ、ローランドソンの最晩年に彼らと入れ替わるようなかたちで登場したのが、 ロバートとジョージのクルックシャンク兄弟である。弟ジョージに比べると、 兄ロバートは決して高名とは言えないが、弟と共に父に従って絵の修行をし、 代表作『英国のスパイ』(②)をはじめとして数多くのカリカチュア、挿絵、肖像画等を残している。また、弟ジョージとの共作も多い。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Egan,Pierce Life in London, or, The day and night scenes of Jerry Hawthorn, Esq. 1 1821 Printed for Sherwood,Neely, and Jones 貴重書庫
823.7/E28

*『ロンドンの生活』。1820年に初版が刊行されたこの作品は大ヒット作となり、 後にReal life in London (ローランドソン⑪)などの続編も出されることになるが、本作は初版のヒットを受け、 急遽クルックシャンク兄弟が計35枚の挿絵を提供した1821年刊のものである。 『オクスフォード人名大辞典』によれば、主人公の一人トムのモデルはロバートであるとされている。挿絵35枚はすべて手彩色。

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著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Westmacott,C.M
Cruikshank,Robert
The English spy : an original work, characteristic, satirical, and, humorous 2 1825-
1826
Sherwood,Jones, and Co. 貴重書庫
827.7/W53

*『英国のスパイ』。作者ウエストマコット自身(作中ではブラックマントル氏)を主人公とするイギリス全土、全社会にわたる漫遊記で、特にパブリック・スクールの描写に特徴がある。ロバート・クルックシャンクは本書に計36枚の挿絵を提供しており、挿絵本としては彼の代表作とも言える。すべて手彩色。モーレル工房装丁の美本。

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著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Cruikshank,George
Cruikshank,Robert
London characters 1 [1906] J.Robins 貴重書庫
391.09421/C95

*『ロンドン人物画集』。1827年刊本を1906年に表紙のみを再制作したもの。ロンドンに暮らす人々(収税吏、水道局員、馬車の御者、市場の野菜売りなど)をロバート(9枚)、ジョージ(15枚)の二人が活写した画集である。24枚すべて手彩色。国内所蔵館は当館のみ。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Cruikshank,Robert Brighton!! : a comic sketch 1 1830 W.Kidd 貴重書庫
827.7/B85

*『ブライトン!!』。イングランド南部の小都市ブライトンを舞台とした一種のユーモア詩(作者不明)である。ロバート・クルックシャンクによる挿絵(6枚)入り。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Egan,Pierce
Cruikshank,Robert
Sears,Matthew Urlwin
Matthews's comic annual, or, The snuff-box and the leetel bird : an original humourous poem 1 1831 A.Miller 貴重書庫
827.7/E28

*『マシューズさんのコミック本』。①の著者ピアス・イーガンによるユーモア詩集。ロバート・クルックシャンクによる挿絵8枚入り。表紙(表・裏)、見返しのすべてがマーブル模様で飾られた美本。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Cruikshank,Robert The lady and the saints : In three cantos 1 1839 E.Bull 貴重書庫
821.8/P31

*『淑女と聖者』(挿絵10点)。淑女と聖者のやりとりを描いた長編詩(作者不明)にロバートが10点の挿絵を提供したもの。1830年代後半以降、ロバートの残した仕事は眼に見えて少数となる。国内所蔵館は当館のみ。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Daniel,George
Leech,John
Cruikshank,Robert
Merrie England in the olden time 2 1842 R.Bentley 貴重書庫
390.942/D18

*『昔なつかしきイングランド』。詩作、散文、戯曲など多方面で活躍した作家ジョージ・ダニエル(1789-1864)による古き英国を描いた一種の風俗紀行。ロバート・クルックシャンクが計26枚の挿絵を提供している。国内所蔵館は当館のみ。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Cruikshank,Robert
Cruikshank,George
Seymour,Robert,ca.
Gallery of comicalities, embracing humorous sketches 1 [1890] Reeves and
Turner
準貴重書
741.5/C95

*『おかしな展覧会』。 クルックシャンク兄弟および同時代の挿絵画家ロバート・シーモア(1800-1836)三人による共作スケッチ集。 国内所蔵館は当館のみ。

 

(5)ジョージ・クルックシャンク(Cruikshank, George)(1792-1878)

ホガースによって確立され、その後ギルレイ、ローランドソンらの手で継承された英国諷刺画の輝かしい黄金期を創り上げたのが 「19世紀のホガース」と呼ばれるジョージ・クルックシャンクである。 Albert Cohn作の書誌によれば、生涯に一枚ものの版画と挿絵本を計2114点(うち挿絵本は863点)残し、 諷刺画もさることながら、新聞、雑誌、小説、児童書など出版メディアの多様化と大衆化の時代に、 その後半生を挿絵画家として自らの地位を確立し、“子供の本にユーモアと活気あふれる挿絵を提供した最初の画家” (Britanica)とも呼ばれ、また、この時代の大ベストセラー作家C.ディケンズの作品に多くの挿絵を 提供したことでも広く知られている。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Cruikshank,George Metropolitan grievances, or, A serio-comic glance at minor mischiefs in London and its vicinity 1 1812 Printed by Charles Squire for Sherwood, Neely, and Jones 貴重書庫
827.7/M59

*『ロンドンのぼやき』。クルックシャンクの諷刺の対象は(1)当世の社会、世相、風俗 (2)英国王ジョージⅣ世 (3)仏皇帝ナポレオンⅠ世の三つに大別されるが、本作は(1)の初期のものである。 ロンドンとその周辺の市民生活を諷刺し雑多に詰め込んだものでクルックシャンクによる挿絵は扉絵一点(手彩色)であるが、 副題の「ロンドンとその近郊のささやかな害毒を真面目で滑稽に眺める」に本書の内容が端的に現れている。

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著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Hone,William
Cruikshank,George
The green bag : "a dainty dish to set before a king" : a ballad of nineteenth century 1 1820 J.Robins and Co. 貴重書庫
827.7/H77

*『緑色の袋』(挿絵13点)。 当時の英国王ジョージⅣ世と王妃キャロラインの不仲を題材にした時事諷刺画集。 ジョージⅣ世は妻の不貞を理由に離婚を議会に申請したが、議会にこうした重要書類が提出される際、 緑色の袋に入れられることが多いことから格好のテーマとなった。 王妃キャロラインはこうしたストレスのためか二年後の1822年に死去している。国内所蔵館は当館のみ。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Carey,David
Cruikshank,George
Life in Paris: comprising the rambles,aprees, and  amours of Dick Wildfire…Squire Jenkins and Captain O'Shuffleton 1 1822 Printed for J.Fairburn 貴重書庫
944.36/C27

*『パリの生活』(挿絵21点)。大都市の世相、風俗を諷刺したもののひとつで、『ロンドンのぼやき』(①)、『ロンドンの生活』(ロバート・クルックシャンク①)、『ロンドン人物画集』(ロバート・クルックシャンク③)と並ぶ初期の力作であり、Poetical magazineの編集などを手がけたジャーナリストで詩人でもあるディビッド・キャリーが本文を執筆している。当館所蔵本はツェーンスドルフ(Zaehnsdorf)工房装丁の美本でマーブル模様の美函入り。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Ireland,W.Henry
Cruikshank,George
The life of Napoleon Bonaparte 4 [1828] Printed for J.
Cumberland
貴重書庫
944.05/N21/I65

*『ナポレオン伝』(全4冊)(挿絵総計26点/手彩色)。ジョージⅣ世と並んでクルックシャンクの主要な諷刺対象となったのがフランス皇帝ナポレオンⅠ世である。この作品では、ナポレオンの浮き沈みの激しい人生を皮肉たっぷりに描いており、また同時にクルックシャンクが手がけた書物挿絵の先駆けとなったものである。(初版は1815年刊)。また本文はシェイクスピア作と称する偽作をいくつも手がけたW.H.アイアランドが書き下ろしている。国内所蔵館は当館のみ。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Cruikshank,George Points of humour 1 1823-
1824
C.Baldwyn 貴重書庫
827.7/C95

*『ユーモア小咄集』(挿絵20点)。 ユーモラスな小咄を集めたアンソロジーで、 クルックシャンクは計20枚の挿絵を提供しているが、 この中の一編「愉快な乞食たち」(The jolly beggars)に寄せた挿絵が大きな反響を呼び、 カリカチュアリストから挿絵画家へ転身する記念碑的作品となった。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Clarke,William
Cruikshank,George
Three courses and a dessert 1 1830 Vizetelly, Branston and co. 貴重書庫
823.7/C61

*『三つのコースとデザート』(挿絵計51点)。 『少年玉手箱』(The boy's own book)(1828)で知られる作家ウィリアム・クラークによるユーモア小咄集で、 少なくとも1888年までの間に三回版を重ねた作品の初版である。国内所蔵館は当館のみ。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Defoe,Daniel
Barton,Bernard
Cruikshank,George
The life and surprising adventures of Robinson Crusoe, of York, Mariner 2 1831 Printed at the Shakespeare Press 貴重書庫
823.5/D31

*『ロビンソン・クルーソーの冒険』(全2冊)(挿絵計30点)。 1830年代に入ってクルックシャンクが手がけた仕事のひとつに 18世紀以前の古典文学作品の挿絵がある。デフォーに始まり、『ドン・キ・ホーテ』 (セルバンテス)に至るまで10点の作品を取り上げたが、本作がその最初のものである。 当館所蔵本はリヴィエール工房装丁、見返しマーブル模様の美本。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Cruikshank,George Scraps and sketches 1 [1882] [s.n.] 準貴重書
741.5/C95

*『断片とスケッチ集』。 1828年から1832年にかけて描いたスケッチをまとめたもので、 ⑨と同様、どの出版者にも頼らないクルックシャンク自らの出版である。 24pのすべてが様々なカットをいくつも詰め込んだスケッチ集。国内所蔵館は当館のみ。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Cruikshank,George My sketch book (vol.1 of my sketch book) 1 1834 G.Cruikshank 貴重書庫
741.5/C95

*『私のスケッチブック』。 クルックシャンクは『骨相学画集』(Phrenologica illustrations)(1826)(当館所蔵なし)、 『時間の挿絵集』(Illustrations of time)(1827)(当館所蔵なし)、 『断片とスケッチ集』(⑧)など1820から30年代にかけて同種のスケッチ集を自ら出版しているが、 本書はその最後を飾るものである。タイトルにはvol.1とあるがvol.2以降が出ることはなかった。21pのすべてに様々なカットを詰め込んだスケッチ集。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Cruikshank,George Caricatures 1 [1835] [Thos.McLean] 貴重書庫
741.5/C95

*『カリカチュア集:休日』。 手彩色四枚の連作画集で、「終業式」、「休日の始まり」、 「大騒ぎの子供部屋」、「ブラックマンディ」と子供たちのつかの間の休日を楽しく描いている。国内所蔵館は当館のみ。

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著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Thackeray,W.Makepeace
Smith,Albert
A'Beckett,G.Abbot
Mayhew,Horace
Mayhew,Henry
Cruikshank,George
The Comic almanack : an ephemeris in jest and earnest, containing merry tales, humorous poetry, quips and oddities 2 [1878] Chatto and Windus 準貴重書
827.8/C73

*『笑える暦』。 1835~1853年まで19年間続いた挿絵入り年鑑で、 カレンダーのひと月ごとをユーモラスに描いている。文章自体は著名なジャーナリストで、 後に諷刺漫画入り雑誌『パンチ』を創刊するヘンリー・メイヒュー兄弟やディケンズと並びこの時代を代表する作家の一人で 『虚栄の市』で知られるサッカレーなどが寄稿しているが、 この年鑑が毎号2万部近く売れる人気作になった要因は毎年12枚づつの挿絵を提供し続けたクルックシャンクの人気に負う所が大きい。 当館所蔵本は19年分を二冊に合本したものだが、19年分全点完全所蔵は国内では当館のみである。

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著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Cruikshank,George
Agnew,Andrew
Sunday in London 1 1833 Effingham Wilson 貴重書庫
390.942/C95

*『ロンドンの日曜日』(挿絵14点)。 著者アンドリュー・アグニュー(1793-1849)は、日曜日は絶対働かず、 遊ばずという安息日厳守主義者であり、この作品が作られた1833年は下院への「日曜労働禁止法案」提出運動のまっただ中であった。 本書には、市場の雑踏、働く労働者や使用人、上流階級の夜会などロンドンの日曜日の風景が批判的に描かれている。国内所蔵館は当館のみで、リヴィエール工房装丁の美本。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Cruikshank,George
Dickens,Charles
Sketches by Boz : illustrative of every-day life and every-life people 1 1839 Chapman &Hall 貴重書庫
823.8/D54

*『ボズのスケッチ集』(挿絵計40点)。 19世紀は小説というジャンルが急速に大衆化を迎えた時代であったが、 中でもヴィクトリア朝時代最大の人気作家となったのがチャールズ・ディケンズである。 本作はディケンズがかつて種々の雑誌や新聞に発表した小品を一冊にまとめた処女出版であるが、 当時まだ駆け出しの作家であったディケンズの作品に、既に挿絵画家として不動の地位を得ていたクルックシャンクが挿絵を提供したことで大きなヒット作となった。 第一集(1836年)は挿絵16点、第二集(1837年、これより扉ページからクルックシャンクの名が消える)は挿絵26点、 第二集二刷は挿絵28点であったが、新版(1839年,当館所蔵本)では挿絵が40点となっており、 書誌的にやや複雑な展開をしている。当館所蔵本は長谷川如是閑旧蔵書である。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Cruikshank,George
Dickens,Charles
The adventures of Oliver Twist 1 [18--] Chapman &Hall 貴重書庫
823.8/D54

*『オリバー・ツイストの冒険』(挿絵24点)。 『ボズのスケッチ集』(⑬)を手がけたあたりから、クルックシャンクはフィールディング、 デフォー(⑦)、トバイアス・スモレットなど古典作品の挿絵から新作の挿絵画家へ転進を図ることになる。 一方で本作は、作品の構想自体をディケンズが生み出したものか、クルックシャンクの挿絵を元にディケンズが作品の構想に至ったものかといういわゆる「オリバー・ツイスト論争」と呼ばれる一種の主客論争に発展するが、主体は小説、挿絵はあくまでも付属品でしかないという考えがこれ以降定着して行くことになる。

 

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Ainsworth,William H.
Cruikshank,George
Jack Sheppard : a romance 3 1839 R.Bentley 貴重書庫
823.8/A29

*『ジャック・シェパード』(全3冊)(挿絵計28点)。 小説家と挿絵画家との間の“主客論争”は対ディケンズにとどまらなかった。 当時の人気作家の一人であったエインズワースは歴史小説を中心に生涯に39作の作品を残したが、 本作をはじめとしてクルックシャンクとの共作が多く、 挿絵画家として不動の地位を得ていた彼の挿絵の力が作品の売れ行きに影響を与えたことは否定できず、 後に両者が作品の構想そのものが自分にあると主張する論争にまで発展した。 本作は実在の押し込み強盗とその脱獄をテーマにしたエインズワースの出世作。 国内所蔵館は当館のみ。また、当館所蔵本はツェーンスドルフ(Zaehnsdorf)工房装丁で見返しはマーブル模様の美本。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Ainsworth,William H.
Cruikshank,George
The tower of London : a historical romance 1 1840 R.Bentley 貴重書庫
823.8/A29

*『ロンドン塔』(挿絵計58点)。 ⑮に続くエインズワースの作品であるが、クルックシャンクが 『画家と作家』(The artist and the author)(1872)の中でこの作品について“挿絵と創案は自分である。”と主張したいわく付きの作品である。 「九日間の女王」として知られるジェーン・グレーを主人公とした歴史小説で、夏目漱石も自著『倫敦塔』の中で本作の断頭吏の斧磨ぎ場面に言及している。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Ainsworth,William H.
Cruikshank,George
Guy Fawkes ; or The gunpowder treason : an historical romance 1 1841 R.Bentley 貴重書庫
823.8/A29

*『ガイ・フォークスの陰謀 : または火薬の反逆』(全3冊)(挿絵計22点)。 1605年イングランドで実際に発生したカトリック過激派による政府転覆未遂事件のリーダーを主人公にした歴史小説。初版の所蔵館は国内では当館のみ。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Ainsworth,William H.
Cruikshank,George
Johannot,Tony
Windsor castle : an historical romance 1 1843 H.Colburn 貴重書庫
823.8/A29

*『ウィンザー城』(挿絵19点)。 イギリス王室に縁深いウィンザー城を舞台にした歴史小説で、⑮~⑰同様エインズワース作である。 クルックシャンクは19点の挿絵のうち14点、90点のカット版画のうちほとんどを手がけている。 作品はヘンリーⅧ世の二番目の王妃アン・ブーリン、三番目の王妃ジェーン・シーモア、ウルジー枢機卿など ウィンザー城に関わり深い人物を主人公とした6章立てとなっている。ツェーンスドルフ(Zaehnsdorf)工房装丁で見返しはマーブル模様の美本。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Cruikshank,George George Cruikshank's omnibus : De omnibus rebus et quibusdam allis (vol.1,no.1-vol.1,no.9) 1 1841-
1842
TILT & BOGUE 貴重書庫
Z82/G15

*『オムニバス』。クルックシャンクは生涯で、 自身の主宰する雑誌を四タイトル刊行しているが、本資料はその最初のものである。 内容的には簡単な読み物やエッセイなどが大半であるが、 フルページの挿絵21点、カット木版画78点のすべてはクルックシャンクによるものである。 当館所蔵本は合本ではなく、全9冊が刊行当初の形態のまま保存されており、美函入りである。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Cruikshank,George
A'Beckett,Gilbert A.
George Cruikshank's table-book 1 1845 Published at the Punch office 貴重書庫
827.8/G34

*『クルックシャンクのテーブル・ブック』(挿絵12点)。 ⑲同様クルックシャンク自身の刊行した四大雑誌のひとつで、 編集はコミカルな読み物作家として『パンチ』に寄稿したり、 ㉒でもクルックシャンクと共同制作を行ったギルバート・ア・ベケットが手がけている。 内容的にはエッセイ風の読み物が多いが、サッカレーがティットマーシュの変名で執筆した連載小説や、 ⑪Comic almanacにも関わっているヘンリー・メイヒュー執筆によるもの含まれている。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Lever,Charles J.
Cruikshank,George
Arthur O'Leary : his wanderings and ponderings in many lands 1 [18--] G.Routledge 貴重書庫
823.8/L65

*『アーサー・オリアリー』(挿絵10点)。 アイルランド生まれの作家で医師でもあったチャールズ・リーバーの作品にクルックシャンクが挿絵を提供したもの。 リーバーは生涯に二十数点の作品を残しているが、本書のようなピカレスク・ロマン(悪漢小説)が特に知られている。 当館所蔵本は500部限定出版のNo.39である。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
A'Beckett,Gilbert A.
Cruikshank,George
The comic Blackstone 1 1846 Published at the Punch office 貴重書庫
827.8/A13

*『コミック・ブラックストーン』(挿絵2点)。 ⑳と同様ア・ベケットとの共作である。書名となっているブラックストーンは、 『イギリス法釈義』(Commentarieson the laws of England)(1765-69)の著者で、 コモン・ローを基礎とするイギリス法全体を系統的に説明した法学者であるが本書では16~17世紀に実際に存在し、 コモン・ローの枠からはみ出した裁判をも受け付けた「誓願裁判所」を引き合いに当世イギリスの司法を皮肉ったものである。国内所蔵館は当館のみ。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Cruikshank,George The bottle ; The drunkard's children 1 1847-
1848
D.Bogue 貴重書庫
G759.2/C95

*『酒ビン』、 『酒乱の子供たち』。それぞれ8枚づつの連作版画集である。 大酒呑みであったクルックシャンクは1847年に禁酒宣言を行うと共に禁酒運動にも関わるようになり、 この年『酒ビン』を発表する。ごく普通の中流家庭の父親が酒におぼれ、 家庭内暴力、破産、投獄、発狂と破滅への道をたどる様をグロテスクに描いている。 また翌年に発表した『酒乱の子供たち』では前作で父のもとを去った娘が娼婦となって最後は投身自殺をとげ、 また息子は犯罪に手を染めた末囚人移送船の中で死亡するという家族全員の悲惨な末路を描き、酒の害悪を強く訴えた。 当館所蔵本はこれら二作の画集を合本したもので、国内所蔵館は当館のみ。またそれぞれの作品のカバーにクルックシャンクの自筆サインがある。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Cruikshank,George Two ALS to Dr.Robins "soliciting a loan" 1 [184-]   貴重書庫
826.8/C95

*クルックシャンク自筆書簡二通。 クルックシャンクは1830~40年代にかけ、妻メアリーの長患いや自身の酒乱癖、 仕事の減少など財政的に行き詰まった時期が続き、時折知人に借金の申し入れをしていた。 本資料はクルックシャンクと長く交流のあった出版人James Robinsに宛てた借金申し入れの書簡と推定される。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Reach,Angus B.
Cruikshank,George
Clement Lorimer, or, The book with the iron clasps : a romance 1 [185-] J.Lofts 貴重書庫
823.8/R28

*『クレメント・ロリマー、留め金付きの本』(挿絵12点)。 主として『モーニング・ヘラルド』、『パンチ』、『絵入りロンドン・ニュース』などで 活躍したジャーナリストで作家でもあったアンガス・リーチの馬をテーマにした小説にクルックシャンクが12枚の挿絵を提供したもの。マーブル装丁の美本。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Mayhew,Henry
Cruikshank,George
1851 ; or,The adventures of Mr.and Mrs. Sandboys and family, who came up to London to "enjoy themselves", and to see the Great exhibition 1 1851 G.Newbold 準貴重書
606/M46

*『サンド・ボーイズ一家万博に行く』(挿絵12点)。 ⑪と同様メイヒューとの共作である。 著者ヘンリー・メイヒュー(1812-1887)は、 著名なジャーナリストであると共に風刺雑誌『パンチ』(当館ではほぼ全巻を所蔵)の創設者でもあった。 本書は、イングランド北部のカンバーランドに住むサンドボーイズ一家 が1851年にロンドンで開催された 世界初の万博のメイン会場クリスタル・パレス訪問を描いた一種のコミック小説である。巻頭の挿絵にはクリスタル・パレスを目指す圧倒的な数の群衆が描かれている。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Stowe,Harriet B
Cruikshank,George
Uncle Tom's cabin 1 1852 J.Cassell 貴重書庫
813.3/S89

*『アンクル・トムの小屋』(挿絵27点)。 米国の作家ストウ夫人のベストセラー小説『アンクル・トムの小屋』に クルックシャンクが27点の挿絵を提供したもの。米国作家への挿絵提供としてはこれがはじめてのもので、彼の挿絵としては珍しく木版画である。

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著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Brough,Robert B.
Cruikshank,George
The life of Sir John Falstaff 1 1858 Longman,Brown,
Green,Longmans
貴重書庫
823.8/B87

*『フォルスタッフ卿の人生』(挿絵20点)(オリジナル水彩画3点付き)。 劇作家、小説家であるロバート・ブラフの小説にクルックシャンクが挿絵を提供したもの。 フォルスタッフとは、シェイクスピアの『ヘンリー四世』に登場する架空の人物で、 『ベニスの商人』のシャイロックと並びシェイクスピアの生み出した多くの登場人物の中でも劇を飛び出して生きた数少ない人物とされる。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Blewitt,Ann R.Wiliams
Cruikshank,George
The rose and the lily : how they became the emblems of England and France 1 1877 Chatto and Windus 準貴重書
398.2/B64

*『バラとユリはいかにしてイギリスとフランスのシンボルとなったか』。 女性作家ウィリアム・ブレウット(1811-1884)の童話で、文章は平易な英語で書かれている。 クルックシャンクは扉絵と本文中のカットを手がけている。国内所蔵館は当館のみ。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Cruikshank,George An essay on the genius of Geo.Cruikshank from Westminster review &c ; illustrated with upwards of four hundred etchings and engravings from his most………… 3 [18--] [s.n] 貴重書庫
741.6/C95

*『クルックシャンクのエッチングと木版画集』(全3冊)。 1860年以降(推定)に編纂されたクルックシャンクの手製イラスト集で全400枚から成る。 大判と中判が約50枚、やや小判のものが350枚で、出版された図書に掲載された挿絵が中心であるが手彩色のものも相当数含まれる。3冊共大型の箱入り。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Cruikshank,George The humourist : a collection of entertaining tales, anecdotes, epigrams, &c 4 1892 John C.Nimmo 準貴重書
827.8/C95

*『ユーモリスト』(全4冊)(挿絵計40点、手彩色)。 ユーモア話、逸話、短い警句などを集めたものにクルックシャンクが40点の挿絵を施したもの。 260部限定出版のうち当館所蔵本はNo.178である。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Bunyan,JohnCruikshank,George The pilgrim's progress 1 1903 H.Frowde 準貴重書
823.4/B94

*『天路歴程』(挿絵25点)。 聖職者、宗教物語作家として知られるジョン・バニヤンの代表作にクルックシャンクが25点の木版挿絵を提供したもの。初版は1875年刊。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Cruikshank,George
Grego,Joseph
Cruikshank's water colours / with introduction by Joseph Grego 1 1903 A.&C. Black 準貴重書
741.64/C95

*『クルックシャンクの水彩画』(挿絵68点)。 絵画蒐集家で、美術に関する執筆も活発に行ったジョゼフ・グレゴがかつてクルックシャンクが 挿絵を提供した三つの作品について、挿絵を複製したうえで再出版したものである。 三作品とは『オリバー・ツイスト』(ディケンズ)、『守銭奴の娘』(エインズワース)、『1798年のアイルランド反乱史』(マックスウェル)である。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Bates,William
Cruikshank,George
Cruikshank,Robert
George Cruikshank : the artist, the humorist, and the man, with some account of his brother Robert : a critico-bibliographical essay 1 1879 Houlston and Sons 準貴重書741.5/C95/B32

*『ジョージ・クルックシャンク』。 クルックシャンクの亡くなった年(1878年)に初版が出されたものの第二版である。 内容的には、彼の代表作24点が要所に収められた挿絵入り評伝であり、 全15章中兄ロバートには一章を割いているいるのみで大方はジョージについての記述から成っている。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Jerrold,Blanchard The life of George Cruikshank : in two epochs 2 1882 Chatto and Windus 準貴重書741.5/C95/J56

*『クルックシャンクの生涯』(全2冊)。 1994年に邦訳も出ている『ヴィクトリア朝時代のロンドン』(1872年)の著者ブランチャード・ジェロルドによるクルックシャンクの評伝である。 1794~1847年、1848~1878年と二つの時代に区切った記述にクルックシャンクの挿絵作品計84点が内容に合わせて挿入されている。

 

(6)ハブロット・ナイト・ブラウン(フィズ)(Browne,Hablot Knight)(Phiz)(1815-1882)

G.クルックシャンクがディケンズとの確執(⑬,⑭)や禁酒運動への肩入れ(㉓,㉔)などで、 その生活や画風を変えつつあった頃に登場したのが23歳年下のブラウンであった。 フィンデン兄弟の版画工房での修行中にコンペで銀賞を受賞したことで出版人チャップマンとホールに見いだされ、 その後新進の人気作家であったディケンズの主宰する雑誌小説『ピクウィック・ペーパーズ』の挿絵を1836年6月から終刊まで担当し、ディケンズの良き相棒となる。 その後も ディケンズの主要作品中十篇に総計724点の挿絵を提供し、雅号であるフィズ(Phiz)がディケンズのボズ(Boz)との語呂合わせであることも二人の関係を 良く現している。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Dickens,Charles Seymour,Robert,ca. Browne,Hablot Knight The posthumous papers of the Pickwick Club / by Charles Dickens ; with a frontispiece from a desigh by C.R.Leslie 1 1847  Chapman &Hall  貴重書庫823.8/D54

*『ピクウィック・ペーパーズ遺文録』(挿絵計26点)。ディケンズの主宰する分冊刊行型雑誌小説で、1836年4月から翌年11月まで刊行され、彼の名を一躍高めることになった。1836年6月まではロバート・シーモアが挿絵を担当したが、彼の突然の自死後ブラウンが終刊まで一人で挿絵を描き続け、その後のディケンズとの関係を確固とし、長く二人のコンビが続くことになる。この作品は読者の評判に応えるため刊行終了を待たずに1838年に出版されたが、本書はその1847年刊にあたるものである。また、当館所蔵本は長谷川如是閑旧蔵書である。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Dickens,Charles Cattermole,George Browne,Hablot Knight Master Humphrey's clock / by Charls Dickens ; with illustrations by George Cattermole and Hablot Browne   3  1840-
1841 
Chapman &Hall  準貴重書823.8/D54

*『ハンフリー親方の時計』(全3冊)(挿絵計153点)。1840年から翌年にかけて週刊で刊行されたディケンズの主宰雑誌をひとつにまとめたもの。彼の代表作のひとつである『骨董屋』(The old curiosity shop)などが収録されている。なお、挿絵の点数はブラウンとカッターモールによるものの合計である。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Dickens,CharlesBrowne,Hablot Knight The life and adventures of Martin Chuzzlewit / by Charles Dickens ; with illustrations by Phiz 1 1844  Chapman & Hall 貴重書庫823.8/D54

*『マーチン・チャルズウィットの生涯と冒険』(挿絵計40点)。1843年1月から毎月刊行された分冊型連載小説を翌年一冊にまとめたもので、前年に訪問した米国への幻滅と批判が描かれている。また、この年の暮れには有名な『クリスマス・キャロル』が刊行されることになる。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Dickens,Charles Browne,Hablot Knight Domby and Son / by Charles Dickens ; illustrations by H.K. Browne 1 1848  Bradbury and Evans 貴重書庫823.8/D54

*『ドンビー父子』(挿絵計44点)。1846年10月~1848年4月まで分冊刊行されたものを一冊にまとめた長編小説。成功した中産階級出身の実業家ドンビー氏と、過大な期待を寄せられた息子やドンビー氏を取り巻く人々の不幸を描いたもので、売り上げが3万部を超えたため、ブラウンは挿絵の銅版を二つ用意せざるを得なかった。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Dickens,Charles Browne,Hablot Knight The personal history of David Copperfield / by Charles Dickens ; with illustrations by H.K. Browne 1 1850  Bradbury and Evans 貴重書庫823.8/D54

*『デヴィッド・コパフィールドの生いたち』(挿絵計40点)。1849年5月から翌年11月まで分冊刊行し、いったん中断しその後再構成して一冊にまとめた長編小説。ひとりの青年が作家として成功し幸福を得るという言わばディケンズ自身の自伝的小説で彼の代表作のひとつである。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Dickens,Charles Browne,Hablot Knight Bleak house / by  Charles Dickens ; with illustrations by H.K.Browne 1 1853  Bradbury and Evans 貴重書庫823.8/D54

*『荒涼館』(挿絵計40点)。1852年から翌年9月まで分冊刊行されたものを一冊にまとめた長編小説。遺産相続をめぐる訴訟をテーマにしたもので、当時のイギリスの法制度への批判が顕著に現れている。また、この作品の執筆された時期はディケンズがフランス、イタリア、スイスなどに滞在することが多く、作家の挿絵に対する要望をよく受け入れていたブラウンにとってディケンズとの連絡が取りにくい中での仕事はかなり負担が多かったものと推測される。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Dickens,Charles Browne,Hablot Knight Little Dorrit / by  Charles Dickens ; with illustrations by H.K.Browne 1 1857  Bradbury and Evans 貴重書庫823.8/D54

*『リトル・ドリット』(挿絵計38点)。1855年12月~1857年にかけて月刊分冊で刊行されたものを一冊にまとめたもの。1860年代までイギリスに実際に存在した借金未返済者を収容する監獄を舞台にした長編小説で、ディケンズの父親もかつてそこで過ごした経験を持っており、そうした経験がこの作品につながったものと思われる。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Browne,Edgar Athelstane  Phiz and Dickens as they appeared to Edgar Browne /  with original illustrations by Hablot K.Browne 1 1913  J.Nisbet  中央書庫741.64/B88

*『フィズとディケンズ』(挿絵計24点)。ブラウンの息子エドガーによる父親の評伝。『フィズとディケンズ』とあるが、エインズワースやリーバーとの関わりなどを含め、ブラウンの全生涯に関わる評伝で要所に彼の描いた挿絵が挿入されている。後、1972年と2013年に再版されたものの初版で手すき紙を使用した美本である。また、175部限定出版中当館所蔵本はNo.135である。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Kitton,Frederic George  Dickens and his illustrators : Cruikshank, Seymour,Buss, Phiz, Cattermole, Leech, Doyle, Stanfield, Tennniel, Frank Stone, Landseer, Palmer, Topham, Marcus Stone… 1 1899  G.Redway  準貴重書823.8/D54/K62 

*『ディケンズと挿絵画家たち』(肖像22点、挿絵70点)。クルックシャンクやブラウンをはじめ、ディケンズが関わった16人の挿絵画家たちの双伝である。ディケンズをはじめ、本書に書かれた16人全員の肖像画22点と彼らの描いた挿絵70点が掲載されている。初版の所蔵館は国内では当館のみである。

 

(7)ジョン・リーチ(Leech,John)(1817-1864)

当初医師を目指すが挫折し、1836年に単身渡仏して版画を学んだ後に帰国、 『インゴルズビー伝説集』(1840)(①)などで挿絵画家として頭角を現す。 その後数多くの小説に挿絵を提供しその地位を確固としたものにするが、 リーチの名を後生に長く残すことになったのは、何と言っても挿絵入り諷刺雑誌 『パンチ』(1841-1943)の専属画家としての活躍である。この雑誌は、 政治、社会、風俗、美術、演劇、スポーツなどあらゆる分野を対象とし、 いわば近代英国社会のインデックスとも言えるもので、リーチはこれにメイン・イラストレイターとして 1841年から1864年までの長期間にわたり挿絵を提供し続けた。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Ingoldsby,Thomas Cruikshank,George Leech,John The Ingoldsby legends, or, Mirth and marvels  1 1894  George Routledge  準貴重書
828.8/I53

*インゴルスビー伝説集』(挿絵計16点)。詩人リチャード・バラムがトーマス・インゴルスビーと言う筆名で書いた物語で、英国に伝わる伝説をもとに創作したもの。当初Bentley's miscellany(若き日のディケンズが編集者であった)に連載したものを1840年に単行本として出版し、16枚の挿絵のうちリーチが9点、G.クルックシャンクが2点(他5点は作者不明)を担当し、リーチが頭角を現した最初の作品とも言える。何度か版を重ねる人気作となり、本書は著作権切れを待ったかのように複数出版された最初のものである。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Sealy,Thomas Henry
Leech,John
The porcelain tower : or, nine stories of China   1 1841  Richard Bentley 貴重書庫823.8/P83

*『磁器の塔』(挿絵18点入り)。①同様Bentley's miscellanyに連載されたものを後に単行本として出版したもの。中国をテーマにしたものを9点集めたもので、挿絵18点はすべてリーチが単独で提供している。

タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Punch ; or, The London charivariVol.1-vol.5 1 1841-
1843
Published at the Office 貴重書庫Z94/P90

*『パンチ:またはロンドンのドンチャン騒ぎ』第1~5巻。リーチは『パンチ』誌上に23年間で計約3000点の挿絵を描き続けたが、vol.1の4号(1841年8月)  に掲載された「海外事情」(Foreign affairs)で初登場した。また、vol.5(1843年7月)にはカートゥーン(大型挿絵作品)の最初のものとなる「実態と影」(Substance and shadow)が掲載されている。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Leech,John  Pictures of life & character : from the collection of Mr.Punch 1 1854  Bradbury and Evans 準貴重書
741.5/L48

*『パンチ生活人物画集』。リーチが『パンチ』誌に掲載したものを集めた画集で、1854年から1869年にかけ全5巻で刊行されたものの第1巻である。ひとつのページにいくつもの作品が収録されている

タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Punch's pocket book  39  1843-
1881
Punch Office 貴重書庫Z94/P90:5

*『パンチ・ポケットブック』。1843年から1881年までパンチ社から毎年刊行された記入式小型手帖。カレンダー、官公庁の紳士録なども掲載され、現代の手帖とほぼ同様のものである。テニエル(8)やブラウン(6)なども挿絵を提供しているが、1864年までは扉絵(すべて手彩色)はリーチが担当し、「扉絵を飾ったリーチの絵が極めて魅力的」(『オクスフォード人名大辞典』)と言われている。当館所蔵本は39年分完全セットで保存函入り。国内所蔵館は当館のみ。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Leech,John
Brooks,Shirley
Follies of the year : a series of coloured etchings from Punch's pocket books- 1844-1864 1 [1868?]  Bradbury ,
Evans
準貴重書
741.5/L48

*『愚行歳歳』。『パンチ・ポケットブック』(⑤)に1844年から1864年の間掲載されたリーチの彩色エッチングのみを集めたもの。『パンチ』誌のスタッフであったシャーリー・ブルックスが解説を付している。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Dickens,CharlesLeech,John A Christmas carol, in prose : being a ghost story of Christmas 1 1843  Chapman &Hall 貴重書庫823.8/D54

*『クリスマス・キャロル』(挿絵計8点、内手彩色4点)。リーチはもっぱら『パンチ』誌との関係が注目を集めがちであるが、C.ディケンズの作品ともそれなりの関係を持ち、特に全5作品から成る有名な『クリスマス・ブックス』のすべて(共作が多いが)に挿絵を提供している。本作はその中でも良く知られた作品で、またリーチが単独の挿絵提供者となっている。当館所蔵本はマーブル装丁の美本である。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Dickens,Charles
Maclise,Daniel
Doyle,Rchard
Stanfied,Clarkson
Leech,John
 The battle of life : a love story    1    1846    Bradbury &Evans   貴重書庫823.8/D54

*『人生の闘い』(挿絵計13点)。『クリスマス・ブックス』の4作目で、23,000部を即売した人気作となった。姉妹が同じ男性を愛し、妹が姉のために家出をして身を引くという自己犠牲が描かれている。挿絵計13点のうちリーチは3点を提供している。初版の所蔵館は国内では当館のみ。

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著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Dickens,Charles  The haunted man and the ghost's bargain  1 1848  Bradbury and Evans 貴重書庫823.8/D54

*『憑かれた男と幽霊との取り引き』(挿絵計16点)。 『クリスマス・ブックス』の最終作。 つらい過去を持つ化学者がその過去を忘れるためクリスマス・イブの夜に幽霊に記憶を売り渡す取り引きを行い、 さらなる不幸を経験するという物語。挿絵16点のうちリーチは5点を提供している(その他はテニエル など)。初版の所蔵館は国内では当館のみ。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Surtees,Robert Smith
Leech,John
Handley Cross : or Mr.Jorrocks's hunt / by the author of "Mr.Sponge's sporting tour", "Jorrocks's jaunts"etc. 1 1854  Bradbury andEvans 準貴重書
823.8/S96

*『ハンドリー・クロス:ジョロック氏の狩』(手彩色挿絵17点)。『新狩猟雑誌』(New sporting magazine)を創刊し、もっぱら狩猟をテーマにした小説を書いた作家ロバート・サーティーズの小説にリーチが挿絵を提供したもの。なお『新狩猟雑誌』はトーマス・ローランドソンなどとも関わりのあった出版人ロバート・アッカーマンとの共同刊行である。(ローランドソン③~⑦参照)

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Surtees,Robert Smith
Leech,John
"Ask mamma" : or, The richest commoner in England  1 1857-
1858
Bradbury and Evans 準貴重書
823.8/S96

*『アスク・マンマ:イングランドの裕福な平民』。⑩同様ロバート・サーティーズの小説で、1857年3月から翌年4月にかけて月刊で分冊刊行されたもの。13冊すべてにリーチの挿絵(手彩色)が掲載されている。当館所蔵本はサンゴルスキー&サトクリフ工房制作の美麗函入り。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Gaultier,Bon
Doyle,Richard
Leech,John
Crowquill,Alfred
 
The book of ballads / edited by Bon Gaultier(11th ed.)   1    1870    William
Blackwood  
準貴重書
827.8/B72

*『バラード・ブック』(挿絵計   )。スコットランドの法律家で詩人のウィリアム・エイトン(Ayton,William E.)(1813-1865)がボン・ゴーティエのペンネームで出版したバラッド詩集。イギリスの伝承バラッドのほかテニスンやブラウニングの作品を模した一種のパロデイ詩集である。リーチはリチャード・ドイル(9)、アルフレッド・フォレスターと共に挿絵を提供している。

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(8)ジョン・テニエル(Tenniel,John)(1820-1914)

ジョン・リーチの画筆が弱まると共に、 彼と入れ替わるように『パンチ』誌のメイン・イラストレイターとなったのが ジョン・テニエルである。ロイヤル・アカデミー・スクールズで正規の美術教育を受けた後いくつかの作品をアカデミーに出品し、 画家としてそれなりの地位を得ていたが、1850年に『パンチ』誌入りし、 1864年から1901年にかけ38年間にわたって同誌で活躍、リーチと並ぶ看板画家となった。 またテニエルの画家としての後半生で特筆すべきは、その本文よりも挿絵によって、 より強烈な印象を与え続けるルイス・キャロルの二作『不思議の国のアリス』(④)と『鏡の国のアリス』(⑤)の挿絵を担当したことである。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号

*『パンチ』。 『パンチ:またはロンドンのドンチャン騒ぎ』 (ジョン・リーチ③)の継続後誌である。メイン・イラストレイターとしての テニエルの主な挿絵を拾って見る。(1)「時の訴え」(Time's appeal)(1850年1月)  テニエルの『パンチ』誌初登場。
(2)「現代のイソップ」(The modern Æsop) (1851年1月)  新年の扉絵に初めて描く。(Mr.パンチをもじった銅像)
(3)「船を降りる操縦士」(Dropping the pilot)(1890年3月)  『パンチ』誌に描いた彼の作品で最も有名なもの。(鉄血宰相ビスマルクの失脚を描く)
(4)「時の訴え」(Time's appeal)(1901年1月)  『パンチ』誌に掲載された彼の最後の作品。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Moore,Thomas
Tenniel,John
Lalla Rookh : an oriental romance  1 1863  Longman  準貴重書821.7/M82

*『ララ・ルーク』。アイルランドの詩人トマス・ムアの書いた物語詩。副題からも分かる通り東洋趣味あふれるもので、ララ・ルークとは主人公のインド人王女の名である。なお、著者ムアは日本でも良く知られているアイルランドの唄「庭の千草」の作詞者でもある。挿絵はすべてテニエル単独の提供である。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Poe,Edgar Allan
Tenniel,John
The poetical works of Edgar Allan Poe with original
memoir
1 1870  Ward,Lock,and
Tyler,Warwick House
準貴重書811.3/P74

*『ポオ詩集』。 (挿絵計53点)。『モルグ街の殺人事件』で知られる 米国の作家エドガー・アラン・ポオの詩集で43篇から成るが、 テニエルは冒頭の詩「大鴉」(The raven)に4点の挿絵を提供している。 他の挿絵の提供者はバーケット・フォスターなど8名。また、 当館所蔵本はヴィクトリア朝風の豪華装丁本である。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号

*『不思議の国のアリス』。 (挿絵計40点)。続篇である⑤と共に作者キャロルの名を不朽のものとした作品で、 広く海外で翻訳され、いまだに多くの読者を獲得している。 また、この作品についてテニエルの果たした役割は極めて大きく、 「これ程文章とイメージが同等な力を持った文学作品は他に見いだすことはできない。」 (ミカエル・ハンター)とまで言わしめている。

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著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Carrol,Lewis
Tenniel,John
Through the looking-glass, and what Alice found there  1 1872  Macmilan  準貴重書823.8/C31

*『鏡の国のアリス』(挿絵計50点)。 ④の続篇で④と同様、テニエルが単独で挿絵を提供している。 また④と共に1872年刊本の所蔵館は国内ではごく少数である。

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(9)リチャード・ドイル(Doyle,Richard)(1824-1883)

(7)リーチ、(8)テニエルと共に『パンチ』三大挿絵画家の一人が 名探偵シャーロック・ホームズ生みの親コナン・ドイルの叔父でもあるリチャード・ドイルであり、 1843年に『パンチ』誌入りした翌年から1854年まで彼の描いたものが『パンチ』誌の表紙を飾ることになる。 ただ、ドイルの画風は諷刺画家であった父ジョンの影響を受け、 それまで主流であった(2)ギルレイや(3)ローランドソン流の人物の極端なデフォルメやある種の猥雑さからはほど遠いものであった。 画家としての彼の活躍は主に次の三つに大別される。(A),『パンチ』の挿絵画家としての作品、 (B),(A)のかたわら、ほぼ同時期に他の書籍等に残した作品、(C)後半生に残した妖精画中心の作品。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Doyle,Richard
Pollen,John Hungerford
A journal kept by Richard Doyle in the year 1840 / illustrated with several hundred sketches by the author 1  1885  Smith,
Elder, & Co.
準貴重書
740.942/D75

*『1840年のドイル日記』。 ドイル15歳の時に父ジョンに命じられて描いた絵日記をもとにした画文集。 人物の個性的な描き方、”群衆”のとらえ方など後に『パンチ』誌を飾ることになるドイルの才能の片鱗を見ることができる。国内所蔵館は当館のみ。

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著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Doyle,Richard
Leigh,Percival 
Manners and cvstoms of ye Englyshe drawn from ye qvick by Rychard Doyle : to which be added some extracts from Mr.Pips hys diary contrybvted by P. Leigh 1 [1849?]  Bradbury,
Evans, & Co. 
貴重書庫
741.5/D75

*『イギリスの風俗と習慣』(挿絵計40点)。 『パンチ』誌に1849年3月から41回にわたって連載されたものを一冊にまとめたもので、 ドイル初期の代表作と言える。『パンチ』誌創刊以来のライターであるパーシヴァル・リーの文章にドイルの絵が添えられている。国内所蔵館は当館のみ。

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著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Doyle,Richard  The foreign tour of Messrs.Brown,Jones, and : being the history of what they saw, and did, in Belgium , Germany, Switzerland & Italy 1 1854  Bradbury,
& Evans 
準貴重書
741.5/D75

*『ブラウン、ジョーンズ、ロビンソンの外国旅行』。 1850年に『パンチ』誌のスタッフであったトム・テイラー、ワッツ・フィリップと共にドイルが経験した生涯たった一度の海外旅行をテーマにしたもので、 『パンチ』誌に連載したものをまとめたもの。三青年の初めての海外珍道中を楽しく描いており、 画家志望の青年ブラウンのモデルは明らかにドイル自身である。各ページに複数の挿絵が数多く挿入されている。当館所蔵本はマーブル装丁の美本。

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著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Thackeray,Wiliam M.
Doyle,Richard
Rebecca and Rowena : a romance upon romance  1 1850  Chapman and Hall 準貴重書
823.8/T36

*『レベッカとロイーナ』(手彩色挿絵8点)。『虚栄の市』(Vanity fair)で知られる作家ウィリアム・サッカレーの歴史小説にドイルが8点の挿絵(すべて手彩色)を提供したもの。初版の所蔵館は国内では当館のみである。

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著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Thackeray,Wiliam M.
Doyle,Richard
The Newcomes : memoirs of a most respectable family  / edited by Arthur Pendennis 2  1854-
1855
Bradbury and Evans 準貴重書
823.8/T36

*『ニューカム家の人々』(全2冊)(挿絵計46点)。 ④同様サッカレーの長編小説にドイルが挿絵を提供したもの。 ニューカムという一家の歴史を描いたものだが、 ドイルをモデルにしたと思われる人物が登場したり、 挿絵の締め切りに何度も遅れるなどドイルにとってはいわく付きの作品である。 初版の所蔵館は国内では当館のみ。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Ruskin,John
Doyle,Richard
The king of the Golden River, or, The black brothers : a legend of Stiria 1 1851 Smith,
Elder
準貴重書
823.8/R95

*『黄金河の王様』(挿絵20点)。 19世紀イギリスを代表する美術評論家、社会思想家ジョン・ラスキンが残した唯一の童話で、 その後何度も版を重ねているのみならず広く海外でも翻訳され、わが国でも七人ほどが翻訳・刊行している名作である。ドイルは本作以降、少年・少女を主な読者とする作品に挿絵を提供することが多くなる。

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著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Hughes,Thomas
Doyle,Richard
The scouring of the white horse, or, The long vacation ramble of a London Clerk  1 1859  Macmillan & Co. 準貴重書
823.8/H89

*『白馬の浄祭』(挿絵19点)。『トム・ブラウンの学校生活』(Tom Brown's school days)で一躍人気作家となったトーマス・ヒューズの二作目の作品にドイルが挿絵を提供したもの。ロンドンからやって来たありふれた都会人が地方の田園生活の中での行事、祭り、習慣などを見聞し、その郷土愛に共感するといったもの。

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著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Doyle,Richard  Richard Doyle's pictures of extra article and visitors to the exhibition 1 [1851?]  Chapman and Hall 貴重書庫741.5/D75

*『ロンドン万博参加者のスケッチ』(手彩色挿絵8点)。 1851年に開催された第一回ロンドン万博については、 ジョージ・クルックシャンク(㉖)も挿絵入り本を残しているが、 本作は万博参加国とその国の人々をやや戯画化して描いたもので、 1851年にパノラマ型で出版したものを翌年に冊子で刊行したものと思われる。国内所蔵館は当館のみ。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Doyle,Richard  Bird's eye views of society /drawn by Richard Doyle ; engraved by the brothers Dalziel 1 1864  Smith,Elder 準貴重書
741.5/D75

*『社交界の鳥瞰図』(挿絵計16点)。 サッカレー(④,⑤)が編集を行っていた『コーンヒル・マガジン』(Cornhil magazine)(当館は全巻所蔵)に1861年から翌年にわたって連載されたものを 一冊にまとめたもので、タイプとしては『イギリスの風俗と習慣』(②)に近いものである。②同様、群衆の描き方にドイル独特のものがある。当代きっての彫版師ダルジール兄弟の彫版によるもの。国内所蔵館は当館のみ。

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著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Lemon,mark
Doyle,Richard
Bennet,Charles
Fairy tales / by Mark Lemon ; with upwards of fifty illustrations by Richard Doyle and Charles H. Bennet  1 1868  Bradbury, & Evans  準貴重書
398.2/L55

*『おとぎ話』(挿絵計57点)。 『パンチ』誌の事実上の編集主幹であったマーク・レモンの編纂した童話集に ドイルがチャールズ・ベネットと共に挿絵を提供したもの。 ドイルは青少年期より妖精へのこだわりを見せていたが、 『パンチ』誌を離れた直後『黄金河の王様』(⑥)で子供向けの挿絵にも取り組み始め、 本作を刊行した年(1868年)父ジョンの死後本格的に妖精画の世界に没入することになる。 なお、本作全57点の挿絵のうち、ドイル作は24点。国内所蔵館は当館のみ。

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著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Doyle,Richard
Allingham,William
In fairy land : a series of pictures from the Elf-World / by Richard Doyle ; with a poem, by Wiliam Allingham 1 1870  Longmans,Green,
Reader, & Dyer
準貴重書
741.6/D75

*『妖精の国で』(挿絵計36点、手彩色)。 ドイルの絵にアイルランド出身の詩人ウィリアム・アーリンガムが韻文の物語詩を添えたもので、 ドイル後期の傑作であると共にヴィクトリア朝期の多色刷木版の最高傑作とも言われている。 本作が傑作であると言われる理由のひとつは、後にウォルター・クレイン、ケイト・グリーナウェイ、 ランドルフ・コルデコットなどイギリス絵本史に名を残す画家たちを見いだす事になる出版企画者で自ら彫版師でもあったエドマンド・エヴァンス (Edmund Evans)の制作であることにより、高額で販売されたにもかかわらず5年後に重版が出される程の人気作となった。

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著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Brabourne,E. Hugessen
Doyle,Richard
Higgledy-piggledy, or, Stories for everybody and everybody's children / by E.H. Knatchbull-Hugessen 1 1875  Longmans,Green,  準貴重書
823.8/B79

*『ごっちゃごちゃ、またはすべての人とすべての子供たちのための物語集』(挿絵計7点)。政治家であると共にわが国でも良く知られた『チャーリーと妖精たち』(Charlie among elves)をはじめ何作かのおとぎ話を残したエドワード・ヒューゲッセンの6作から成る物語集にドイルが7点の挿絵を提供したもの。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Doyle,Richard  Jack the giant killer/ by Richard Doyle 1 [1888]  Eyre and Spottiswood 準貴重書
398.2/D75

*『巨人殺しのジャック』(挿絵50点以上、手彩色)。ドイルが18歳の時にイギリスの民話を題材として描いた原画、原稿をもとにした童話であり、この頃より妖精など子供向けの絵についての志向が強かったことをうかがわせる。また、本作は1851年にいったんモノクロで出版されているが、多色刷としては本資料が初版となり、国内での所蔵館は当館のみである。

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著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Montalba,Anthony R.
Doyle,Richard
Green,F.G.
The Doyle fairy book : consisting of twenty-nine fairy tales / translated from various languages,by Anthony R.Montalba ; with 30 illustrations by Richard Doyle 1 1890  Dean & Son  準貴重書
398.4/D75

*『ドイルおとぎ話集』(挿絵計30点)。アンソニー・モンタルバの編纂した世界各国のおとぎ話29作にドイルが挿絵を提供したもので、⑬同様ドイルの没後に刊行されたものである。

著者 タイトル 巻数 刊年 出版者 配置場所/請求記号
Lang,Andrew
Doyle,Richard
Evans,Edmund
The princess Nobody : a tale of fairy land / by Andrew Lang ; after the drawings by Richard Doyle ; printed in colours by Edmund Evans 1 [18--] Longman,Green 準貴重書
823.8/L26

*『誰でもない王女さま』(挿絵計51点)。『アンドルー・ラング世界童話集』で知られるラングが編纂、ドイルが挿絵を提供し、また『妖精の国で』(⑪)の企画を行ったエヴァンスが彩色をほどこしている。挿絵の大半は手彩色。

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参 考 文 献

斎藤 勇ほか編 『英米文学辞典』(第三版) 研究社出版 1985
平田 家就 『イギリス挿絵史 : 活版印刷の導入から現在まで』 研究社出版 1995
清水 一嘉 『挿絵画家の時代 : ヴィクトリア朝の出版文化』 大修館書店 2001
小林 章夫、斎藤貴子 『諷刺画で読む十八世紀イギリス : ホガースとその時代』 朝日新聞出版 2011
伊丹市立美術館編 『ジェイムズ・ギルレイ: 諷刺画が語る18世紀英国事情』 伊丹市立美術館 2000
伊丹市立美術館編 『諷刺画家から挿絵画家へ: G.クルックシャンク』 伊丹市立美術館 2003
谷田 博幸 『ヴィクトリア朝挿絵画家列伝 : ディケンズと『パンチ』の周辺』 図書出版社 1993
M.ハンチャー著、石毛雅章訳 『アリスとテニエル』東京図書 1997
富山 多佳夫 『シャーロック・ホームズの世紀末』 青土社 1993
リチャード・ドイル[著]、富山 多佳夫編訳 『挿絵の中のイギリス』弘文堂 1993
小林 章夫 「風刺画と挿絵画 : ジョージ・クルックシャンクの軌跡」(『ソフィア』44巻3号) 1995
The new encyclopadia Britanica (15th ed) , Encyclopaedia Britanica, 1994
Oxford dictionary of national biography : in association with the British Academy , Oxford University Press, 2004

*解説中の「国内所蔵状況」については、NACSIS-CAT(国立情報学研究所)の所蔵データ(2015年3月現在)による。