[特別コレクション]

(1) ロストック大学旧蔵16-18世紀法学学位論文・討論録コレクション

北ドイツの法科大学であるロストック大学図書館が収集した16~18世紀の法学学位論文等12,500冊から成り、裁判所が収集した(2)「ライヒ最高裁判所旧蔵17-18世紀法学学位論文・討論録コレクション」と併せて、この時代の法学学位論文コレクションとしては双璧をなすものである。内容は、学位論文、学位取得のための討論録、演習用教材、講義案、鑑定に到る大学の教育・研究上の全記録が含まれており、範囲は法学の全分野、政治史、社会史、大学教育に関するドキュメントなど多岐にわたっている。対象国としては当時のプロテスタント諸国を網羅し、代表的な学者の業績を多数収録しているが、イエナ大学、ライプチヒ大学、ハレ大学などが多い。

(収蔵の経緯:1985年度高額図書費)

 

リスト(冊子体目録)

KATALOG JURISTISCHER DISSERTATIONEN UND DISPUTATIONEN 1600-1800 1.HALBBAND-1 (8.49MB)
KATALOG JURISTISCHER DISSERTATIONEN UND DISPUTATIONEN 1600-1800 1.HALBBAND-2 (8.20MB)
KATALOG JURISTISCHER DISSERTATIONEN UND DISPUTATIONEN 1600-1800 1.HALBBAND-3 (11.5MB)
KATALOG JURISTISCHER DISSERTATIONEN UND DISPUTATIONEN 1600-1800 2.HALBBAND-1 (7.95MB)
KATALOG JURISTISCHER DISSERTATIONEN UND DISPUTATIONEN 1600-1800 2.HALBBAND-2 (6.80MB)
KATALOG JURISTISCHER DISSERTATIONEN UND DISPUTATIONEN 1600-1800 2.HALBBAND-3 (10.4MB)

(2) ライヒ最高裁判所旧蔵17-18世紀法学学位論文・討論録コレクション

帝政時代に開設され、ドイツが第二次大戦に敗れるまで最高の通常裁判所であったライヒ最高裁判所によって収集された1665年から1724年までの法学学位論文・討論録3522冊から成る。内容は法律の広範囲にわたる業績で、イエナ、ウィッテンベルグ、ライプチヒなど諸大学の論文が比較的多くを占める。この当時の学位論文は、当時の法源のみならず、中世の法源をも引用したため裁判官が判決を形成する際に不可欠な情報源であった。

(収蔵の経緯:1984年度高額図書費)

 

リスト(学位論文表題紙)

ライヒ最高裁判所図書館旧蔵17世紀~18世紀学位論文コレクション

 

紹介文献

 準備中。

(3) 近世ドイツ法・イタリア法関係コレクション

16世紀から20世紀にわたるドイツ法、イタリア法の地域史的研究コレクションで、全588点(808冊)から成る。このうち半数を19世紀が、約3割を20世紀が占め、古い時代はそれ程多くないが、『バイエルン・ラント法改革法典』(1518)(1553の改訂版もあり)や、17世紀ドイツを代表する刑法学者であるBenedict Carpzovの主要著作4点を含むなど貴重なものも少なくない。全体的には様々な合目的性を持つ地域的な法規集や判決録、単行論文から実務のための手引書にいたる文献類が中心である。

(収蔵の経緯:1980年度高額図書費)

 

リスト(冊子体目録)

中央大学図書館所蔵 近世ドイツ法・イタリア法関係コレクション目録 (4.60MB)

 

(4) ローマ法関係貴重書(春木文庫)

『市民法史(十二表法註解)』、『法の早引』、『ローマ法大全』、『ローマ市民法大全注釈』、『市民法の四淵源』などからなる。わが国におけるローマ法研究の確立者で、本学において大正3年(1914)以降「ローマ法」の講座を担当された春木一郎博士(1870-1944)旧蔵のローマ法文庫を中心とした1,776冊。

(収蔵の経緯:故・矢田一男法学部教授の仲介による1953年度購入)

 

旧春木文庫蔵書目録

 準備中。

 

(5) ヨーロッパ法学レキシコン・コレクション

16~19世紀半ばまでの三百数十年間にわたって欧州各地で編纂された法学百科事典のうち全86タイトルを集積したもの。「法学百科事典の歴史上欠かすことのできないタイトルをほとんど含んでおり」(ボン大学名誉教授 ロルフ・クニューテル博士)、1513年刊(半革装・半木装)の書籍をはじめとして、後期インキュナブラに該当する5点を含む。

(収蔵の経緯:本学創立125周年記念事業寄付金による2009年度購入)

 

リスト

REPERTORIUM AUREUM (22.5MB)

 

紹介文献

「法学レキシコン・コレクション Repertorium Aureumについて」/森 光『My CUL』16(2010)【Z01/C71:1】 (1.2MB)

 

(6) 会計・簿記関係貴重書

カサノヴァ(Casanova,Alvise)による1558年刊行の『簿記書』ほかスコットランドの簿記関係貴重書12点が核となり、その後(1992-93年度)に収集した17世紀から20世紀初頭にわたって欧州各国で刊行された簿記・会計学関係貴重書146点が加わることによりカサノヴァ以降の時代的空白部分を埋め、まとまったコレクションを形成している。

(収蔵の経緯:1992-93年度購入の146点は商学部専門図書費による)

 

(7) ブーランヴィリエ旧蔵マニュスクリプト・コレクション

『フランス旧統治の歴史』(1727)、『貴族論』(1732)等の著作で知られるフランスの歴史家、法制史家、哲学者アンリ・ド・ブーランヴィリエ(Boulainvilliers,Henri,comte de 1658-1722)の秘蔵していた極秘手稿全28冊から成る。フランス啓蒙思想成立以前のフランス絶対王政期を知るための重要資料である。

(収蔵の経緯:1990年度高額図書費)

 

(8) マルクス「資本論」各国語版初版本コレクション

カール・マルクス(Marx,Karl Heinrich,1818-1883)著『資本論』のドイツ語版、フランス語版、英語版、ロシア語版の各初版本から成る。また、本邦初訳となる松浦 要(1889-1964 元本学商学部教授)訳(全二冊、うち第一冊は第二版)も所蔵している。

 

(9) イギリス古典派経済学初版本コレクション

アダム・スミス(Smith,Adam, 1723-1790)著『国富論』(1776年)、マルサス(Malthus,Thomas Robert,1766-1834)著『人口の原理』(1798年) および『経済学原理』(1820年)、デイヴィッド・リカードウ(Ricardo,David, 1772-1823)著『経済学および課税の原理』(1817年)、ジェイムズ・ミル(Mill,James, 1773-1836)著『経済学綱要』(1821年)、ジョン・スチュアート・ミル(Mill,John Stuart, 1806-1873 )著『経済学原理』(1848年)の各初版本から成る。また、『国富論』については初版から第十一版までのすべての版、『人口の原理』については初版から第六版までのすべての版、マルサス著『経済学原理』については初版と第二版を所蔵しており、『経済学および課税の原理』については初版から第三版までのすべての版と初版のフランス語訳も所蔵している。

 

 

(10) マンデヴィル原著初版本および研究書コレクション

18世紀イギリスの著作家であるバーナード・マンデヴィル(Mandeville,Bernard de, 1670-1733)の代表的著作『蜂の寓話』のほとんどすべての版とそれ以外の主要な著作、および『蜂の寓話論争』に関する文献全55点から成る。近代社会成立期における社会と思想の状況をえぐった『蜂の寓話』と、マンデヴィルの思想の全容、およびその思想史的な位置を知る上で重要なコレクションである。

(収蔵の経緯:1996年度高額図書費)

 

(11) ウィリアム・ゴドウィンとメアリー・ウルストンクラフト著作コレクション

英国の無政府主義者ウィリアム・ゴドウィン(Godwin,William, 1756-1836)とその妻で「女性解放思想を歴史上最初に体系化した」(慶應義塾大学名誉教授 白井厚氏)メアリ・ウルストンクラフト(Wollstoncraft,Mary, 1759-1797)の全著作とその各改訂版、自筆書簡、肖像画および各種研究書123点から成る。フランス革命期の英国に『政治的正義』(1793)(ゴドウィン)、『女性の権利の擁護』(1792)(ウルストンクラフト)等を著し、その著作と実生活の両面で後世に大きな影響を与えることになる二人の思想家のコレクションとしては国内随一のものである。

(収蔵の経緯:1988年度高額図書費)

 

紹介文献

「ウィリアム・ゴドウィンの生誕250周年に寄せて」/岡地 嶺『My CUL』第8号(2006)【Z01/C71:1】 (924KB)

 

(12) デイヴィッド・ヒュームと18世紀英国思想に関するコレクション

イギリス経験論哲学の代表者デイヴィッド・ヒューム(Hume,David, 1711-1776)に関する一大コレクションで、生前に公刊したすべての、かつ、あらゆる版が完備されている。また自筆書簡20通と同時代人のメモ2通を中心に、17世紀半ばから18世紀イギリスの思想論争と、その内容を知るために不可欠な150人余りの思想家の著作など総計301点から成り、ヒュームに関するコレクションとしては世界有数のものである。

(収蔵の経緯:本学創立100周年記念事業による1985年度購入)

 

冊子体目録

DAVID HUME AND THE EIGHTEENTH CENTURY BRITISH THOUGHT An annoted catalogue (16.9MB)

DAVID HUME AND THE EIGHTEENTH CENTURY BRITISH THOUGHT An annoted catalogue Supplement(4.83MB)

 

著作集リストと自筆書簡

ディヴィド・ヒューム・コレクション

 

(13) ジェレミー・ベンサム著作コレクション

イギリスの法学者、哲学者であり功利主義的改革運動の理論的主導者であるベンサム(Bentham,Jeremy,1748-1832)の著作コレクション。
イギリスの下院議員であったサー・フランシス・バーデット(Burdette,Francis,Sir,1770-1844)とアメリカの政治家でニューヨーク市長、合衆国国務長官等を歴任したエドワード・リビングストン(Livingston,Edward,1764-1836)の旧蔵書を中心とした110点とその後に収集したものを含め、本コレクションにはベンサムの生前に印刷・出版された著作のほとんどすべてが含まれる。

(収蔵の経緯:1985~1986年度共同図書費)

 

冊子体目録

A BIBLIOGRAPHICAL CATALOGUE OF THE WORKS OF JEREMY BENTHAM (4.42MB)

 

ヘンリ・ブルーム書簡(ベンサム宛)

ジェレミー・ベンサム・コレクション

 

(14) オットー・ブルンナー教授旧蔵書コレクション

20世紀の代表的中世史家、オットー・ブルンナー教授(Brunner,Otto,1898-1982)の旧蔵書で、オーストリアとドイツの中世史、近世史に関するものを中心とする洋書2843点、抜刷1379点、計4222点から成る。抜刷はオーストリア地方史関連の定期刊行物に掲載されたものがほとんどで、日本では入手困難なものが多い。

(収蔵の経緯:1983年度高額図書費)

 

冊子体目録

中央大学図書館所蔵 オットー・ブルンナー文庫目録 (15.9MB)

 

(15) トマス・ハーディコレクション

イギリスの小説家、詩人であるトマス・ハーディ(Hardy,Thomas,1840-1928)の著作および関連コレクション全342点から成る。イギリスのハーディ研究者であるジェームス・ギブソン博士(Gibson,James,1919-)がおよそ30年かけて収集したもので、ハーディ著作の初版本、改訂版、初出雑誌、限定版、各種全集、署名入り図書、書簡、上演プログラム、肖像画などおよそハーディ研究に関わるすべてのものを含んでいる。

(収蔵の経緯:1986年度高額図書費)

 

リスト(冊子体目録)

トマス・ハーディ その作品の変遷 (24.5MB)

 

紹介文献

「トマス・ハーディ・コレクションのこと」/深澤俊/『My CUL』02(2004)【Z01/C71:1】 (862KB)

 

(16) ケルムスコット・プレス刊本完全コレクションを中心とするウィリアム・モリス関係コレクション

19世紀イギリスを代表する社会思想家、芸術家であるウィリアム・モリス(Morris,Wiliam,1834-1896)が残した仕事はきわめて広範囲にわたっている。本コレクションは、モリスが創設した近代初のプライベート・プレス(私家版印刷工房)であるケルムスコット・プレス刊本全タイトルの完全コレクションと、それ以外のモリス関連コレクションの二つの面から構成される。

(A)ケルムスコット・プレス刊本完全コレクション(全53点)
ケルムスコット・プレス刊本(全53タイトル67冊)の全点を所蔵。このうち、『チョーサー著作集』(1896)は「世界三大美書」のひとつとされるダヴス製本所特装版であり、これを含む完全コレクションは東日本の大学図書館では当館のみである。
(B)ウィリアム・モリス関係コレクション(全44点)
社会主義思想家、工芸デザイナー、古建築保存運動家、詩人など様々な面を持つモリスの仕事をそれぞれの面から跡づける図書・資料44点から成る。

(収蔵の経緯)
<第一次収集>1985~1989年度学内助成、共同図書費
<第二次収集>2012年度 嶺卓二先生寄付金による購入
<そ の 他>共同図書費による随時収集

 

リスト

リストA(ケルムスコット・プレス刊本完全コレクション)
リストB(ウィリアム・モリス関係コレクション)

 

紹介文献

「美の魔術師ウィリアム・モリス」/森松 健介 『MyCUL』第11号(2008)【Z01/C71:1】 (1.0MB)

 

(17)ラファエロ前派同盟とジョン・ラスキン関係コレクション

ヴィクトリア朝期を代表するイギリスの美術評論家、社会思想家であるジョン・ラスキン(Ruskin,John, 1819-1900)の代表的著作と、彼が徹底的に支持・擁護した芸術革新運動である「ラファエロ前派同盟」関係の図書・資料総計約200点から成るコレクションである。
ラスキン関係では、代表作である『近代画家論』の第二版(1844)(初版に本文の内容と合わせた版画を入れて再製本したもの)や『建築の七灯』の初版(1849)をはじめとして代表作のほとんどを所蔵しており、「ラファエロ前派同盟」関係では、全体としてバランス良く収集されているが、一貫して同盟のリーダー格であったダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ(Rossetti,DanteGabriel,1828-1882)と後期「ラファエロ前派同盟」の中心であったエドワード・バーン=ジョーンズ(Burn=Jones,Edward Coley,1833-1898)の著作が特に充実している。

(収蔵の経緯)
<第一次収集>1995~1996年度 共同図書費
<第二次収集>2012年度 嶺卓二先生寄付金による購入
<そ の 他>共同図書費による随時収集

 

紹介文献

「ラファエロ前派の絵画と詩歌」/森松健介 『MyCUL』第22号(2013)【Z01/C71:1】 (3.2MB)

 

(18) 19世紀イギリスのマイナー文芸雑誌コレクション

19世紀イギリスで刊行されたややマイナーな文芸雑誌全156タイトルから成るコレクションである。構成されるタイトルの多くは、発行部数が少ないこと、ロンドン以外の地方都市(アバディーン、グラスゴウ、マンチェスター、ヨークなど)での刊行であること、比較的短命のものが多いことなどから44タイトルについては大英図書館(British Library)にも所蔵がないことが確認されており、日本国内でも当館のみが所蔵するものが大半である。
また、チャールズ・ディケンズの挿絵画家として著名なジョージ・クルックシャンク(Cruikshank,George,1792-1878)、ハブロット・ブラウン(通称フィズ)(Browne,Hablot Knight,1815-1882)やトーマス・ローランドソン(Rowlandson,Thomas,1756-1827)などこの時代を代表する挿絵画家たちの挿絵が多く含まれており、極めて興味深いコレクションとなっている。

(収蔵の経緯:1995~1996年度 共同図書費、専門図書費(語学-英語))

 

紹介文献

「19世紀イギリスの挿絵付き雑誌」/富山太佳夫 『MyCUL』第12号(2008)【Z01/C71:1】 (2.6MB)

 

(19) カリカチュア(諷刺画)を中心とする18~19世紀イギリスの挿絵入り本コレクション

カリカチュア(諷刺画)とは、同時代の政治、社会、人物、風俗などを皮肉り、戯画化したものである。イギリスでは18世紀初めに登場したウィリアム・ホガースによって確立され、ジェイムズ・ギルレイ、トーマス・ローランドソン、ジョージ・クルックシャンクらによって最盛期を迎えるが、その後19世紀に入り新聞、雑誌、小説、児童書など出版メディアの拡大に伴って「挿絵入り本」と言うスタイルが主流となり19世紀後半には挿絵の黄金期を迎える。当館では、ホガースを始めとして18~19世紀イギリスを代表する9人の諷刺画家、挿絵画家の作品(挿絵入り本、版画集等)計108点を所蔵しており国内屈指のコレクションを形成している。

(収蔵の経緯:共同図書費、教育図書費等による随時収集)

 

紹介文献

「イギリスの挿絵文化」/富山 太佳夫 『MyCUL』第21号(2013)【Z01/C71:1】 (909KB)

 

(20) 第一回ロンドン万博(1851年)関係コレクション

18世紀後半以降、欧米の先進諸国が自国の産業、科学技術、文化などの最新成果を誇示するため、自国内で博覧会を開催することはあったが、国際的規模での本格的なものは1851年ロンドンで開催された万国博覧会が最初である。25ヶ国が参加し、600万人という当時の交通事情を考慮すると途方もない入場者を集めたこの万博は大成功を収め、その後の万博のモデルともなった。当館では、この第一回ロンドン万博に関連した資料を、画集、公式記録、出典品図録など全15タイトル、24冊を所蔵しており、国内屈指のコレクションと言える。

(収蔵の経緯 : 主として共同図書費による随時収集) 

 

紹介文献

「第1回ロンドン万博コレクションに寄せて」/奥山修平 『MyCUL』第1号(2004)【Z01/C71:1】 (909KB)
『絵入りロンドン新聞』にみる1851年ロンドン万国博覧会 /見市雅俊 『MyCUL』第25号(2015)【Z01/C71:1】  (3.4MB)

 

(21) 法理精華

本学の前身英吉利法律学校機関誌で現『法学新報』の前身である。創刊号(1889:明治22年)から、政府とのいわゆる「民法典論争」により発禁処分を受けて廃刊を余儀なくされた終刊号である第7巻通巻38号(1890:明治23年)までの完本である。創刊号の表紙には、雲間にRight,Lawの二文字が飛翔し、Recht,Droitが漂泊し、英法が独法や仏法に対して優位にあることを誇示する挑戦的な図柄が描かれている。

(中央大学図書館貴重書指定第一号)

 

(22) 長谷川如是閑関係コレクション

本学の前身である東京法学院出身で、明治中期から昭和40年代にかけて活躍し、特に大正デモクラシー期を代表する言論人となった作家、評論家、ジャーナリストである長谷川如是閑(1875-1969)関係の旧蔵書、自筆原稿、書簡類、写真、メモなどから成る一大コレクションである。コレクションは次のような部分から構成される。
(1)長谷川如是閑旧蔵書(全7178冊)
和書、洋書、和装本から成るが、特に目を引くのは和装本(2411冊)であり、如是閑の実兄で江戸文学研究家であった山本笑月の蔵書を継承したためか、江戸期の狂歌本や戯作類が充実しており、また如是閑自身の蒐集と思われる弓道書などに特徴がある。
(2)自筆原稿類 全72点
代表作のひとつ『職人かたぎ』や遺稿となった『国家行動論』をはじめ、自筆原稿類全72点から成る。
(3)関係書簡類全363点
如是閑自筆書簡104点、如是閑宛書簡259点、総計363点から成る。如是閑宛書簡では、吉田茂、有島武郎、大内兵衛、牧野富太郎、柳田国男など交遊の幅広さをうかがわせる物が多い。
(4)その他(写真、メモ類)
土門拳による肖像写真のほか旅行先、宴会などでの集合写真、メモなど(枚数未確定)から成る。

(収蔵の経緯)
<第一次収集>1969年度 寄贈(長谷川如是閑旧蔵書)
<第二次収集>1987年度 共同図書費(嘉治真三氏旧蔵資料)
<第三次収集>1988年度 寄贈(山本幸子氏旧蔵資料)
<そ の 他>教育図書費、共同図書費等による随時収集

 

長谷川如是閑旧蔵書目録

長谷川如是閑旧蔵書目録 (4.07MB)

 

紹介文献

「長谷川如是閑とその交遊」/宇佐美毅他 『MyCUL』第15号(2010)【Z01/C71:1】 (1.2MB)

 

(23) 渡部学先生寄贈朝鮮の民間流布初学入門書

朝鮮における民間の私塾であったソダン(서당:書堂)で初等教育の入門書として使用された教科書類『童蒙先習』、『幼学先習』など全198点から成る。
ソダンは、各地域で少年・少女を集め専ら文字の読み書き等を教える場であったが、1910年の日韓併合後も公教育で国定教科書制度を採用した朝鮮総督府の監視の眼をかいくぐって教育が続けられた。そこで使用された教科書類は、散逸が進んでいたり、また逆に家宝として門外不出となる場合が多く収集が困難であったが、渡部学先生(武蔵大学名誉教授,1913-1991)の長年の努力により収集されたコレクションが当館に一括寄贈されたものである。日本国内は勿論のこと、韓国においてもこれだけまとまった点数を所蔵する図書館は見あたらず貴重なコレクションとなっている。

(収蔵の経緯:1986年度 文学部・船木勝馬教授仲介による寄贈)

 

冊子体目録

渡部学先生寄贈 朝鮮の民間流布初学入門書目録 (6.99MB)

 

(24) 御橋悳言氏旧蔵書コレクション

『平家物語略解』(宝文館 1929年)をはじめとして、日本中世の軍記物語に関するすぐれた注釈書を世に出した在野の代表的中世文学研究者である御橋悳言氏(1876-1950)の旧蔵書全688点3772冊(ほとんどが和装本)のコレクションで、1999年に旧蔵者の孫である御橋忠一氏より当館に一括寄贈されたものである。
コレクションは、旧蔵者が浄土真宗大谷派の寺院出身でもあったためか仏教書が約3割をしめるが、そのほか軍記物語、有職故実、歌書類、歴史書、物語文学、名所図会など極めて多岐にわたっている。

(収蔵の経緯:1999年度 御橋忠一氏からの寄贈)

 

紹介文献

「コレクション紹介:御橋コレクション」/吉野 朋美 『MyCUL』第19号(2012)【Z01/C71:1】 (3.9MB)

 

 

[古文書]

(1) 中世古文書

『沽却本銭返田事』、『伊賀國三庄一同申状』、『足利二代将軍義詮書状』、『大友宋麟書状』、『豊臣秀吉書  状』、『新納武蔵守忠元自筆書状』、『太閤検地帳』、『豊臣秀吉朱印状』などから成る。

 

(2) 近世古文書

『御朱印状』等の支配関係、村方・町方など年代、内容は多岐にわたるが、法制史関係に重点を置いて収集したもの。江戸時代中期以降852点と、明治初期79点から成る。

 

中央大学所蔵近世古文書目録

 準備中。