水素(H)を重水素(D)に置き換えると、電子を与える軌道と受け取る軌道のエネルギー差がわずかに変化します。本研究は、この微小な電子構造変化が同位体による分子の性質の違いにつながることを示しました。
理工学研究科応用化学専攻の元木康平さん(理論化学・森研究室)が、2026年5月18日から20日に岡山大学で開催された「第28回理論化学討論会」において、優秀ポスター賞を受賞しました。
【受賞者】
元木 康平さん
理工学研究科応用化学専攻・理論化学研究室
【受賞名】
優秀ポスター賞
【発表題目】
「同位体効果の電子構造起源:多成分密度汎関数法による新しい理解」
同位体とは、原子番号が同じで質量の異なる原子のことです。高校化学では、同位体の化学的性質はほぼ同じであると説明されます。しかし実際には、水素を重水素に置き換えることで、分子の安定な構造や反応性がわずかに変化する場合があります。
元木さんは、同位体置換による分子構造の変化が実験的に知られている分子を対象に、電子と水素原子核をともに量子力学的に扱う計算手法を用いて、その原因を解析しました。その結果、実験で観測された傾向を再現するとともに、同位体置換によって電子軌道のエネルギーや軌道間の相互作用がわずかに変化することを明らかにしました。
本研究は、同位体効果が質量の違いに由来する分子振動の変化だけでなく、分子の性質を本質的に支配する電子構造の変化とも関係していることを示すものです。
【関連リンク】
Kohei Motoki and Hirotoshi Mori,
“Orbital-Isotopic Modulation of Stereoelectronic Interactions”