2023.04.14
シニア世代の認知予防、脳年齢の活性化などを目的に、2022年11月に開催された「第4回全国電子工学系学校ゲーム制作コンペティション」(脳トレゲーム制作コンペティション)で、理工学部情報工学科の学生4人のチームが、最高賞のグランプリを受賞した。
コンペティションの対象は高齢世代がPCで遊ぶことのできるゲーム。4人の作品は、ゲーム性の高さとともに、操作などのわかりやすさを重視した点が高く評価された。4人は「デザインや発想力など、さまざまな面で満足のいく作品を作れた。でも、まさか一番になれるとは」と驚き、グランプリ受賞を喜んでいる。
グランプリ受賞を喜ぶ情報工学科の学生4人。左から尾林郁海さん、児玉海斗さん、生田智也さん、木原康生さん
グランプリを受賞したのは、理工学部情報工学科4年(受賞時3年)の木原康生(こうせい)さん、尾林郁海さん、児玉海斗さん、生田(しょうだ)智也さんの4人。
受賞作品は「egger」と名付けられた「頭の体操」的な要素の強いゲームで、さまざまなジャンルのクイズに正解すると、親しみのあるデザインのキャラクター「ゆでたまごくん」が画面の奥へと前進していくという比較的シンプルな仕組み。思考力と反応時間のスピードに着目して制作したという。
著作権などの関係でゲーム画面を紹介できないのは残念だが、体験者のスコアをランキング形式で表示し、競争を生むことで、「繰り返 しチャレンジしたい」というゲームへの“依存性”を高めた。実際に何度も挑戦する人がいて、この作戦は奏功し、作品への評価にも結び付いた。
4人の作品は、ほかのチームの作品と比べて「ゲーム性」「わかりやすさ」のバランスに秀でていた。また、生田さんが「アイデアが素晴らしく、ゲーム性の高い他校の作品には驚きもあった」、児玉さんが「ゲームに専門的に取り組んでいるチームと競い合えてうれしかった」と振り返ったように、コンペティション自体を楽しめたという。
コンペティション前夜祭でのショット
過去の大会の映像を分析し、中高年の世代だけでなく、子供も来場することに気付いた。どの世代も楽しめるコンテンツにしようと、キャラクターの「ゆでたまごくん」を設定した。体験者が増えることを予想して、ブースには主催者が用意したPC2台に加え、独自に2台を増設し、盛況だったという。制作の早い段階で、幅広い年齢層の来場を把握したことも“勝因”の一つといえる。
応募は、リーダーの木原さんが2022年春、後楽園キャンパス6号館で開催告知のポスターを見たことがきっかけ。役割を分担して本格的に制作に着手し、8月の1カ月間で完成した。4人でアイデアを出し合い、「満足のいく自信の作品」(木原さん)に練り上げた。
尾林さんは「アイデアを伝え合う積極性が大事だと学んだ。社会人になればチームで活動する機会も増えるし、今回の経験が生きると思う」と話す。グランプリ受賞とコンペティション決勝大会での経験は、4人の今後の学修や活動の励みにもなったようだ。
尾林郁海さん
画面上のデザインをわかりやすくしたり、操作方法を整えたりできるUI(ユーザーインターフェイス)と、音響を担当。ゲームに適したBGMを選ぶのに苦心したという。
木原康生さん
メインプログラム全般担当。デザイン以外の、ゲームの骨格や仕組みをつかさどる全てを担当。「わかりやすさ」「ゲーム性」の両立に力を注いだ。
児玉海斗さん
道路や建物など背景を画面上に配置するマップ担当。3D上でゲーム制作を可能とするソフトウェア「unity」で、フリーの素材を探すのに苦労したという。unityは3年前期の情報工学科の授業「画像コンテンツ演習」でも使用した。
生田智也さん
キャラクターデザイン、全体のアニメーション担当。キャラクターの「ゆでたまごくん」の“生みの親”。どの世代からも「かわいらしいキャラクター」と評価されたことに充実感を覚えている。
全国電子工学系学校ゲーム制作コンペティション(脳トレ ゲーム制作コンペティション)
若年世代の才能の育成と、シニア世代の認知予防、脳年齢活性化を目的に始まった。4回目の今回は全国の電子工学系の大学、専門学校260校が参加し、予選を勝ち抜いた13校が2022年11月5日に名古屋市のポートメッセなごやで開催された決勝大会で作品を発表した。
各ブースで実際にゲームを体験した一般の来場者が審査員となり採点した。一般社団法人日本電子機器補修協会の主催。