2026.09.08
陸上競技部長距離ブロック(駅伝)の山﨑草太主務(文4)が注目を集めている。部活動の主務の仕事に打ち込む一方で、選手として出場した5月の関東学生対校選手権(関東インカレ)の男子3000メートル障害で3位に入り、表彰台に立ったからだ。
メディアの報道では「日本一速い主務」という見出しが躍った。山﨑主務は「一番は主務の仕事にしっかりと取り組み、チームに貢献すること」と自身の役割を位置づけ、「走りを評価してもらえるのはうれしい。集団を引っ張るなど練習の良いアシスト役も務め、個人としては5000メートルを13分台で走りたい」と、最終学年の抱負を話している。
関東インカレで3位に入賞し、笑顔を見せる山﨑草太選手
=2026年5月24日、カンセキスタジアムとちぎ(写真提供:陸上競技部)
関東インカレの男子3000メートル障害決勝。400メートルトラックを7周半するうち、ラスト1周の地点で8位前後、ここから前を次々に抜いて3位でフィニッシュした。中大伝統の黄台(きだい)の「C」のユニフォームを着る資格を得たいと、目標に定めた入賞(8位以内)を優に上回る好成績を残した。
中間走の練習が十分ではなく、レース中に心拍は高まったが、足取りは軽かった。「8位狙いで無理をして上位を狙わなかったのが良かった」と振り返る。「誰もが立てる舞台ではない。楽しんで走ってきてほしい」と送り出した藤原正和・駅伝監督も、3位の結果に驚き、称えてくれたという。
予選が行われた決勝前日は、就職活動で東京都内での面接を済ませた後、競技開始の約4時間前に宇都宮市の会場に到着した。走る準備が十分だったとはいえないながらも、体調管理や事前の調整に工夫を凝らしたという。
山﨑主務は1年のときの箱根駅伝で山上りの5区を走った。ただ、2年では、ひざの故障や、結果が出ないプレッシャーに苦しんだ。3年以降はチームを支える立場で仲間に貢献すると重い決断を下したが、「けがさえなければ、もっと楽しく走れるんだろうな」とも感じていた。「走るために中大に進学したから、悔しさはあった」と振り返っている。
関東インカレで水濠を越える山﨑草太選手(中央)(写真提供:陸上競技部)
今回の出場へとつながるきっかけは2025年11月に訪れた。3000メートル障害の学生歴代3位の記録(8分24秒68)を持つ同学年の柴田大地選手(文4)のパートナーとして、上りの練習に付き添うようになった。柴田選手は翌2026年箱根駅伝で5区を任されることになる。選手として背負うものが軽くなった山﨑主務は、身体も心も軽やかに感じるようになり、高校時代のような、走る楽しさがよみがえってきた。
今春以降は週1~2回、チームのポイント練習にも加わった。「思い出づくりのつもり」で、4月の平成国際大記録会で3000メートル障害に出場すると、関東インカレの参加標準記録を突破し、一緒に出場した柴田選手にも先着した。この種目への出場はこのときが初めてだった。せっかくだからと、水濠(すいごう)や飛越の練習を中大のグラウンドで何度か行って関東インカレに挑み、今回の好成績へと結びつく。勢いを駆って挑んだ6月の日本選手権は12位だったものの、関東インカレを上回る自己ベストを記録した。
もともと高校時代からひざを故障しがちで、高校2年のときは出場を予定していた3000メートル障害の飛越練習で転倒した経験もあり、平地よりリスクの高いこの種目への挑戦は控えてきた。しかし、今はひざの痛みもなく、「練習すればもう少しタイムは上がる。もっと走れるという感覚はあります」と力を込める。
今秋には青森県で10月に開催される国民スポーツ大会の3000メートル障害に出場するつもりだ。大学の駅伝シーズンと重なる時期ではあるが、出場が十分に可能な日程になっているという。
「日本一速い主務」として注目されている心境を尋ねると、「その名に恥じないような走りを見せないといけない。前向きな方向に力を持っていく、今は良い意味のプレッシャーを感じています」と笑顔をのぞかせた。
日本選手権男子3000メートル障害に出場した山﨑草太選手(左)=2026年6月12日、パロマ瑞穂スタジアム(写真提供:「中大スポーツ」新聞部)
日本選手権で水濠を飛越する山﨑草太選手(手前)
(写真提供:「中大スポーツ」新聞部)
黄台(きだい)のCのユニフォーム
伝統の「C」の赤文字に、黄色い縁取りが施された特別なユニフォーム。日本選手権と日本インカレ、関東インカレの入賞者、中大記録の樹立者、三大駅伝区間賞または中大記録の樹立者、三大駅伝優勝者が着用できる。
山﨑草太主務
やまさき・そうた。山口県立西京高卒、文学部4年。170 センチ、54キロ。1年次に箱根駅伝5区を走り、区間14位(1時間13分23秒)。自己ベストは3000メートル8分13秒17、5000メートル14分01秒54、1万メートル29分46秒48。3000メートル障害の自己ベストは2026年日本選手権決勝の8分41秒97。
日本選手権で力走する山﨑草太選手(写真提供:「中大スポーツ」新聞部)
☆ 第105回関東学生陸上競技対校選手権大会
(関東インカレ)
男子3000メートル障害決勝
(2026 年5 月24 日、宇都宮市・カンセキスタジアムとちぎ)
順位 選手名 所属 記録
① 佐々木 哲 (早大2年) 8分24 秒96
② 小野 真忠 (東海大3年)8分31 秒41
③ 山﨑 草太 (中大4年) 8分43 秒62
④ 安田 陸人 (慶大4年) 8分45 秒28
⑤ 湯田陽平兵 (法大4年) 8分46 秒55
⑫ 徳山 博貴 (中大1年) 8分54 秒15
⑭ 末田唯久海 (中大1年) 8分56 秒37
(注)記録は関東学生陸上競技連盟サイトより抜粋
☆ 第110 回日本陸上競技選手権大会
男子3000メートル障害決勝
(2026 年6月12 日、名古屋市・パロマ瑞穂スタジアム)
順位 選手名 所属 記録
① 青木 涼真 (Honda) 8分18 秒63
② 小原 響 (GMOインターネットグループ)8分18 秒66
③ 小野 真忠 (東海大) 8分21 秒87
⑧ 柴田 大地 (中央大) 8分32 秒98
⑫ 山﨑 草太 (中央大) 8分41 秒97
(注)記録は日本陸上競技連盟サイトより抜粋