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2026.09.08

陸上日本選手権男子100メートルで5位入賞
急成長、一気に短距離界期待の星に
陸上競技部短距離ブロック 小室歩久斗選手(法2)

  • 中大ニュース
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陸上競技部短距離ブロックの小室歩久斗(ふくと)選手(法2)が、2026年6月の日本選手権男子100メートルで決勝に進出した。準決勝で左太ももを痛め、決勝は万全の状態ではなかったが、5位に入賞した。前日の予選では全体1位となる10秒07の自己ベスト、学生歴代十傑に名を連ねる好タイムを記録し、一気に短距離界で期待を集める存在となった。急成長を遂げている理由や今後の抱負などを小室選手に尋ねた。

男子100メートル予選で力走する小室歩久斗選手(右)=2026年6月12日、名古屋市・パロマ瑞穂スタジアム(写真提供:共同通信社)

100メートル決勝
負けの悔しさ「次につなげる」

 

男子100メートル決勝は7レーンからのスタート。左脚のハムストリングス(太もも裏)に違和感が残り、症状をこれ以上悪化させないようにと気を配りながらのレースだった。隣のレーンの選手が前に出たのが視界に入ったとき、悔しさが募った。「脚を痛めさえしなければ、優勝できたかもしれない」。そんな思いが胸に去来した。

 

決勝前日の予選は全体1位で通過し、「今回は絶対に勝ち切れる」と自信を深めた。予選から準決勝へと進む過程では、身体の充実を感じていた。絶好調のゾーンに入っていたといっていい。ところが、準決勝で加速した際にアクシデントが襲った。それでも準決勝は全体2位。自信があったからこそ、「どうしてこのタイミングで…」と悔やんだ。

 

太ももの肉離れとわかったが、決勝前にハリ治療などを施しても、百パーセントの状態で最高の舞台に臨むことはできなかった。欠場という選択肢もあったが、日本一を決める決勝の舞台を経験することも大切だと考えて出場した。そして、この日の記憶を胸に刻み、「この負けを絶対に次につなげる」と意を強くした。練習などでつらいとき、決勝のレースを思いだして心を奮い立たせているという。

日本選手権予選で全体1位だった小室歩久斗選手(手前)
(写真提供:「中大スポーツ」新聞部)

(写真提供:中大スポーツ「新聞部」)

走りの秘密は骨盤の上下動
「まねできない独特の動き」

 

昨シーズンまで10秒31だった自己ベストを今季は一気に伸ばした。5月5日の東海スプリントでは10秒08をマークして大幅に記録を縮め、「ここまで伸びるのか」と自身でも驚いた。日本選手権の予選でさらに100分の1秒、更新した。

 

下半身に比べ、たくましさが十分でなかった上半身のウエートトレーニングに、大学1年の冬に力を入れた。肩回りや後背筋、臀部(でんぶ)に近い腰の筋肉などを強化すると、身体全体のバランスが良くなり、結果につながったという。もちろん、下半身のスクワットトレーニングも忘れていない。

 

そして、小室選手の走りを特徴づけているのが、腰を支える骨盤の上下動だ。骨盤の動きが足に伝わり、より加速を増すことにつながる。足だけを上下させるという意識だと力みが生じるため、普段の練習から骨盤の上下動を意識しているという。骨盤の動きは、前傾姿勢のときや後ろから見たときにわかりやすく、高校時代のコーチや中大の先輩、同期からも「まねできない独特の動き」と評価されている。

 

100メートルの魅力は「それまでの努力をわずか10秒の間に見せるところ」と話し、「1000 分の1秒を争う競技で、日々の練習やその日の体調が結果に凝縮される」と続けた。集中力が不可欠で、レースへの不安も記録の伸びを妨げる。一瞬のミス、少しのミスが記録につながってしまう怖さも感じているという。

日本選手権準決勝の小室歩久斗選手(中央) (写真提供:「中大スポーツ」新聞部)

アジア大会の日本代表に内定
「ロス五輪100メートルで決勝進出を」

 

目標としている存在は、中大の先輩である飯塚翔太選手(ミズノ)だ。五輪や世界陸上の200メートルやリレーに出場し、長く一線で活躍している飯塚選手を尊敬している。年に数回、多摩キャンパスの陸上トラックで言葉を交わす機会があり、人柄にも惹(ひ)かれているという。6月の日本選手権でサブトラックで会った際は、全体1位だった予選について「よかった」と声をかけられた。

 

外国の選手では、米国歴代4位の9秒76の記録を持つトレイボン・ブロメル選手があこがれの存在。スタートの反応が速く、小柄ながらも走るフォームの美しさに惹かれるという。

 

ライバルを尋ねると、陸上競技部の同期で同じ短距離が専門の山﨑天心選手(法2)の名前を挙げた。刺激し合いながら切磋琢磨(せっさたくま)する関係で、普段から仲が良いという。同期や先輩とともに明るく前向きに練習に取り組んでいる。

 

今秋の名古屋アジア大会の4× 100メートルリレー、混合4× 100メートルリレーの日本代表にすでに内定した。「大学2年でここまで成長できた。4年生で迎える(2028年の)ロサンゼルス五輪では、出場するだけでなく、100メートル決勝に進める選手になりたい」と力強く話している。

競技人生の出発点 「小学4年の徒競走で最下位」

「負けるのは嫌」と陸上クラブへ

陸上競技部 小室歩久斗選手

 

 

こむろ・ふくと。茨城県出身、茨城・つくば秀英高卒、法学部2年。168センチ、64 キロ。100メートルの自己ベストは10秒07(2026年日本選手権予選)。中学3年で全国中学校体育大会(全中)男子100メートル4位入賞、高校2年のインターハイ男子100メートルで6位入賞。2024年U20世界選手権の男子100メートル、4×100メートルリレーの日本代表に選出された。

 

小学4年の運動会の徒競走で6人中の最下位となったことに悔しさを覚え、負けず嫌いの性格から、5年生になって地元・茨城の陸上クラブに入り、短距離に取り組み始めた。走るのは好きだったものの、きつい練習は苦手で、中学では好きな美術部か吹奏楽部に入ろうと考えていた。しかし、足が速いことを知っていた知人が「もったいないから」と勧めたため、考え直して陸上部に入部したという。

 

レースでは高校時代からサングラスを着用する。紫外線予防や、視界が遮られることで走りに一層集中できるからという。カラオケが好きで、シンガーソングライターの清水翔太さんの楽曲をよく歌うそうだ。

 


 

☆ 第110回日本陸上競技選手権大会

男子100メートル決勝 (2026年6月13日、名古屋市・パロマ瑞穂スタジアム)

 

順位 名前   所属    記録

①多田 修平(住友電工)  10秒17

②西岡 尚輝(筑波大)     10秒20

③桐生 祥秀(日本生命)  10秒24

④山本 匠真(広島大)   10秒25

⑤小室歩久斗(中央大)   10秒26

⑥水野琉之介(早稲田大)  10秒26

⑦木梨 嘉紀(エターナルホスピタリティG)10秒32

⑧三輪 颯太(小泉)    10秒35

 

(注)記録は日本陸上競技連盟サイトより抜粋

 

日本選手権で履いたシューズを手にする小室歩久斗選手=多摩キャンパスで

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