2023.08.25

初のビッグタイトルに歓喜のガッツポーズ
全日本クルーザー級初代王者、連覇目指す
ボクシング部 ウエノ アンドレ リュウイチ選手(商4)

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思わず飛び出したガッツポーズ。念願の日本一に喜びが爆発した。ボクシング部のウエノ アンドレ リュウイチ選手(商4)が2022全日本ボクシング選手権大会クルーザー級で優勝した。高校時代のインターハイやジュニアオリンピック、前年度の全日本選手権など主要な大会で3位が続き、初めて勝ち取った栄冠が全日本の大舞台となった。2023全日本選手権で連覇を目指す。

男子クルーザー級決勝を2回RSCで勝利したウエノ アンドレ リュウイチ選手(右)(ボクシング部提供)

「自分の距離で戦う」 アウトボクシング貫く

決勝の第1ラウンド。サウスポーからの連打を当てても当てても、前に出てくる相手選手に戸惑った。「(間合いを)詰めてきて、やりにくかった」と苦戦したが、相手のペースにのみ込まれないよう、自身の特長であるアウトボクシング、自分の距離のボクシングを貫いたという。激しい戦いの中でも頭は冷静さを保っていた。

セコンドに就いたボクシング部の西條貴陽監督のアドバイスもあり、第2ラウンドは、前に来る相手を想定した戦法に攻めを修正した。これが奏功し、3度のダウンを奪って2分58秒RSCで勝ち、悲願のタイトルを獲得。全日本選手権に2022年度から新設されたクルーザー級の 初代王者となった。

相手選手の動画を入手してボクシングスタイルを分析。イメージトレーニングをして臨んだのが勝因という。全日本選手権当時、周囲で風邪がはやっていて、実は病み上がりだったが、「言い訳にしたくない」と、そんな状況もはねのけた。

前年度の全日本では、体重制限が1階級下のライトヘビー級に出場して3位だった。ライトヘビー級では約4キロの減量を求められたが、今回出場したクルーザー級で減量は必要なかった。「初代王者にとても魅力を感じていた。(体重的にも)ベストの階級で本領を発揮できた」と振り返った通り、最高の舞台で最高のパフォーマンスを見せた。

準決勝で左ストレートを打つウエノ アンドレ リュウイチ選手(左)(ボクシング部提供)

ボクシングは頭脳戦 「母校のために勝つ」

優勝のメダルを手に笑顔をみせるウエノ選手(ボクシング部提供)

愛知県刈谷市の県立刈谷工業高校(現・刈谷工科高校)でボクシングを始めた。ボクシング部の選手がアップテンポの音楽を流しながらリング上で練習する姿に面白さと魅力を感じたという。中大では多摩キャンパス第1体育館のボクシング道場で、平日2時間、土曜日は3時間、汗を流し、2023年度の全日本でも連覇を目指す。

ボクシングについて全く知らない人に魅力を説明してほしいと頼むと、「ボクシングに“根性論”のイメージを持っている人が少なくないかもしれませんが、魅力は頭脳戦であるところ」と教えてくれた。言葉通り、練習中も相手の動きをイメージして取り組み、実戦では相手の動きを読んで、パンチを繰り出す。

大学1年のとき、残念な知らせを耳にした。母校の刈谷工高ボクシング部が、指導者の異動などに伴い、ウエノ選手が卒業した翌年度に廃部となってしまったのだ。コロナ禍でも自主練習や走り込みに取り組み、体づくりに余念はなかった。しかし、愛知に帰省した際に母校で後輩たちと練習することはできなくなった。

今回の全日本のリングには「(高校と大学の2つの)母校のために勝つ」という決意を胸に秘めて上がったと打ち明けた。

2022全日本ボクシング選手権大会 男子クルーザー級2022年11月26、27日 東京・墨田区総合体育館)

〈準決勝〉○ウエノ アンドレ リュウイチ (2R39秒RSC)   ●井手好鷹(長崎県営バス)

〈決 勝〉○ウエノ アンドレ リュウイチ (2R2分58秒RSC) ●倉本誠(三谷大和スポーツジム)

※全日本の2戦以外に、ウエノ選手は地区大会、東海大会で3戦を勝利している

ウエノ アンドレ リュウイチ選手

クルーザー級初代王者となったウエノ アンドレ リュウイチ選手
=多摩キャンパス第1体育館ボクシング道場

愛知・県立刈谷工業高校(現・刈谷工科高校)卒、商学部4年。188センチ。ボクシング歴7年。 サウスポー。アマチュア通算成績は38戦28勝(11RSC)10敗。父母ともブラジル国籍、母の両親が日本人とブラジル人。

ボクシングスタイルはアウトボクシングで、カウンターが得意。高校時代はミドル級でインターハイ、ジュニアオリンピックとも3位。2021年度全日本選手権ライトヘビー級3位。「大学でボクシングに打ち込み、(全日本)連覇を成し遂げたい」と語り、卒業後は競技の一線から退くつもりだ。バイクでのツーリング、サーフィンで気分転換を図る。

 

 

 

【クルーザー級】

プロの試合のウエートは175~200ポンド(79.379~90.719キロ)で、ライトヘビー級とヘビー級の間の2番目に重い階級。全日本選手権のクルーザー級(80キロ超~86キロ)は2022年度に新設され、ウエノ選手が初代王者となった。

【RSC】

「Referee Stops Contest」の略。アマチュアの試合でレフェリーが、技量に差がありすぎたり、負傷して試合続行が不可能と判断したりしたときに行う勝敗宣告。プロのTKO(テクニカルノックアウト)に相当する。

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