2021.12.15

大きなストローク 次代の自由形エース
東京五輪で躍動 2024パリでメダル獲得を目指す
競泳女子自由形・池本凪沙選手(法1)

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今夏の2020東京オリンピック。5つの輪に象徴される夢の舞台に立った喜びと、メダルに手が届かなかった悔しさ。若きアスリートは、競技人生の現在の足跡を東京に刻み、3年後のパリ五輪での大いなる飛躍を誓う。現役生の「白門オリンピアン」(五輪選手)として、貴重な経験を積んだ競泳・女子自由形の池本凪沙選手(法1)に、五輪や競技への思いなどを聞いた。

「夢中で気づけば終わっていた」。五輪での泳ぎをそう振り返った(写真提供:共同通信社)

「無我夢中…夢のよう」

 

「無我夢中で泳いで、夢のような気持ちでした」

 

競泳女子の4×200メートルフリーリレーに第3泳者として出場した池本凪沙選手(法1)。それまでの大会やレースで感じたことのない思いが胸に残った。第2泳者の白井璃緒選手からバトンを受け、スタート台から飛び込む瞬間は「やるぞ」という気合しかなかった。しかし、自身の記録は自己ベストに及ばない2分00秒25。目標タイムに及ばず、チームに迷惑をかけたと振り返る。

 

リレーメンバーの先輩たちからは「リラックスして楽しんで頑張ったらいいよ」「楽しむことに集中して緊張をほぐすことだね」とアドバイスされていた。

 

「小さいころからの夢だった五輪で泳いでいること自体がうれしかった。身体はきつかったのですが、2分間が一瞬のうちに過ぎていったという記憶しかないんです」

「もっと強くなりたい」

池本凪沙選手(右から2人目)にとって初の五輪。大舞台で結果を残す
難しさを痛感した

競泳会場の東京アクアティクスセンターは五輪選考会を含め、さまざまな大会で何度も泳いだ経験のある会場だった。

 

しかし、五輪は何もかも違った。壁の「TOKYO2020」の青い文字や、大勢の海外選手がいる雰囲気、照明―。前半100メートルの入りから泳ぎが力んでいた。気持ちが空回りして泳ぎに集中できなかった。大舞台で結果を出す難しさを改めて痛感した。

 

「納得いかない成績で、悔しい気持ちが残りました」と唇をかみ、「だからこそもっと強くなりたい」と、今回の経験を糧にすることを誓った。

 

泳ぎの特長はストロークの大きさだ。見ている人に「気持ちよく泳げているなあ」と思わせる泳ぎが持ち味だと思っている。200メートルのスタートから50メートルの泳ぎは、ストロークのテンポが速い選手よりも最大で5ストローク程度少ないという。

 

池本選手は、「より遠く(前方)に手を入れて水をかく」という海外の選手の泳ぎを手本にしている。1ストロークで進む距離が大きくなるからだ。と同時に、体重移動やキックの打ち方、水の捉え方などで、自分に最適な泳ぎ、最も速い泳ぎをコーチと話し合いながら追求している。

「日本女子が苦手な200メートル自由形でメダルを」

五輪後に始めた新しいトレーニングがある。足の前半分しかない“1本足”の下駄を履き、5キロの重りを手にもってスクワットを繰り返す。足先に重心をかけることで水中の動作にも影響し、推進力に結びつくという。身体のケアを担当するトレーナーで、ウエートトレーニングのコーチが、個々に合ったトレーニング法を指導してくれているそうだ。

 

池本選手も「キックの動きが変わり、これは違うなと感じる。練習の調子も上がってきています」と手ごたえを感じている。

 

当面の目標は来年5月の世界水泳(福岡市)だ。競泳選手としての目標を尋ねると、「パリ(五輪)に出るのはもちろんですし、日本女子が苦手意識を持っている自由形で世界と戦える選手になりたい。支えてくれている人たちのためにも、自由形で必ずメダルを取りたい」と頼もしい言葉が返ってきた。

池本凪沙選手

 

いけもと・なぎさ。京都府出身。大阪・近大付高卒、法学部1年。中大水泳部・イトマン所属。身長171センチ。2019年の世界水泳に出場。2021年日本選手権女子200メートル自由形で4位に入り、4×200メートルフリーリレーの東京五輪代表に選ばれた。200メートル自由形の自己ベストは1分57秒77。名前の「凪」の由来は、「私が誕生間近と聞いた父が、病院に向かう車の中から見た夕凪がとても美しかったから」と聞いたという。

 

☆東京五輪成績

競泳女子4×200メートルフリーリレー(五十嵐千尋、白井璃緒、池本凪沙、増田葵)

〈予選〉9位(7分58秒39)

「私はとても人見知りなんです」

選手村で生活し、競泳会場との往復の日々を送っていた池本凪沙選手。日本チームの応援を終えて選手村に帰ってきた、ある日の夜遅く、村内の五輪モニュメントの前で皆で記念撮影しようとしていたところ、米プロバスケットボールリーグ(NBA)所属の日本代表、八村塁選手を見かけた。

 

「身長は高いし、オーラが違いました」と、バスケットボール好きの池本選手は息をのんだ。しかし、話しかけることができず、記念写真に納まることもかなわず…。

 

「私はとても人見知りなんです」と伏し目がちに話した。

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