2024.12.09
漕艇部(ボート部)の根本竜男監督(1991年卒)、児玉剛始(たけし)ヘッドコーチ(1995 年卒)、副主将の髙瀬由祐(ゆうすけ)選手(法3)の3人が荒川で練習中、おぼれた男性を救助したとして、埼玉県警蕨警察署から感謝状を贈られた。髙瀬副主将は「とっさの判断で救助できた。命の尊さを改めて感じました」と話している。
(写真右から)感謝状を贈られた児玉剛始ヘッドコーチ、根本竜男監督、髙瀬由祐副主将(左は山並俊彦・蕨警察署長)=2024年10月21日
3人は9月28日早朝、埼玉県戸田市の漕艇部合宿所と戸田艇庫に近い荒川河川敷で、練習艇に伴走するモーターボートに乗り込んだ際、おぼれている高齢男性に気付き、救助した。蕨警察署で10月21日に感謝状の贈呈式があり、山並俊彦署長から3人に感謝状が手渡された。
山並署長は「冷静、迅速、的確に行動していただいたことが救助に結び付いた。3人の連係した勇気ある行動により、尊い命を救うことができ、感謝申し上げます」と謝意を述べた。
髙瀬副主将は「人の命が救われたことにほっとしています。中学・高校で学んだAED(自動体外式除細動器)の知識なども生かされて対応できた」と当時を振り返り、「感謝状をいただけることになり、命の尊さ、大切さを実感した。今後も、いつどこでも(不測の事態に)対応できるように備えたい」と語った。
漕艇部では普段から、転覆、浸水など万が一のときも「艇はよほどのことがなければ沈まない」「体力を過信して岸まで泳いでいかない」といった安全確保を徹底して指導している。
今回の救助を一つの教訓として、根本監督は「安全第一を継続していきたい。(水上では)どこに危険が潜んでいるか分からないので、(今回のような)人命にかかわる事態があれば、しっかり連係して対応できるチーム、個人個人にしていきたい」と話していた。
感謝状を受け取る根本竜男監督(右)
2024年9月28日午前6時15分ごろ、埼玉県戸田市の漕艇部合宿所と、戸田艇庫から約700メートル下流の荒川河川敷(左岸)で、練習艇に伴走するモーターボートに乗り込んだ根本竜男監督、児玉剛始ヘッドコーチ、副主将の髙瀬由祐選手(法3)の3人が、約80メートル離れた護岸から水中に何かが落ちた音がしたことに気付いた。
音の方向を見ると、70歳くらいの男性が水面に顔だけを出し、もがいている様子が見えた。すぐにボートで近づき、積んでいた救命浮き輪を投げると、男性は浮き輪のひもにつかまった。「がんばれ、がんばれ」と声をかけながら、ゆっくりと岸までけん引し、引き揚げて保護した。髙瀬副主将が「荒川でおぼれた老人がいます」と110番通報し、駆け付けた警察官に男性を引き渡した。男性は受け答えができ、けがなどもなかった。
この約10分前にも、同じ男性が岸から約1メートルの場所で、スエット姿のひざ下まで水に浸かり、体をふらふらさせていたため、岸に上がるよう声をかけていた。このとき男性は自力で土手に上がっていったという。
根本監督によると、当時は干潮の時間帯で水深1~1.2メートル程度とそれほど深くなかったことと、暑い日が続き、水温も低くなかったことが幸いしたとみられる。川底は泥が堆積し、足で踏ん張るのが難しい状態だった。
この前日に降雨があって川が濁り、本来なら荒川での練習を避ける予定だった。しかし、大学1、2年生が出場できる10月の全日本新人ローイング選手権大会に向けて、川でのトレーニングを希望した男子エイト、女子クォドルプルの選手たちの気持ちを酌み、当日は練習艇や伴走ボートを出した。こうした巡り合わせも重なって、人命救助に結び付いた。
感謝状を手渡される髙瀬由祐副主将