2026.04.09
これを書いている2月下旬の今、私は真夏のオーストラリア・ゴールドコーストに滞在している。約1カ月の一人旅だ。世界的に名高いサーフスポットで、サーフィンや日光浴を楽しみながら、穏やかな時間を過ごしている。
この旅の後は、東南アジア屈指のリゾート地、バリ島へ友人と向かう予定である。これほど長い時間を自分のために使うのは、人生で初めてかもしれない。というのも、私の大学生活は部活動と勉学に捧げられてきたからだ。
1年目は多摩キャンパス。体育連盟女子ラクロス部の部員として、朝6時半にはグラウンドに立ち、練習後はそのまま授業へ向かった。土日曜も練習があり、文字どおり週7日、大学に通う生活だった。
2年目以降、法学部の都心移転を機に、茗荷谷キャンパスから徒歩圏内に居を構え、一人暮らしを始めた。部活動と学業を両立させるための決断である。多摩と都心を行き来する日々は体力的にも厳しかったが、その移動時間も無駄にしないと決め、課題や予備校の勉強に充てた。
始発に乗るため毎朝4時に起床し、冬の凍えるようなビル風の中を駅へ向かう日々。自ら生活を整え、時間を管理する経験は、私に自律と覚悟を教えてくれた。
疲労困憊の毎日だった。それでも、女子ラクロス部のマネジャーとして「日本一」を目指す選手たちに伴走した時間は、何ものにも代えがたい誇りである。体育連盟での活動、茗荷谷での生活、予備校との両立、そして大学院受験への挑戦。振り返れば、私は常に「やりたい」と思った道を選び続けてきた。
そんな私が、4年間大切にしてきた言葉がある。社会学者の上野千鶴子氏が2019年の東京大学入学式で述べた祝辞の一節である。
「がんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください」
私たちが「がんばれば報われる」と信じられるのは、自らの努力だけによるものではない。これまで励まし、支え、評価してくれた環境があったからこそである。祝辞の中で上野氏は、恵まれた環境や能力を、自らが勝ち抜くためだけでなく、恵まれない人びとを助けるために使ってほしいと呼びかけている。そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きることの大切さも語っている。
この言葉は、今も私の胸に深く刻まれている。部活動に打ち込めたことも、予備校に通いながら受験に挑戦できたことも、そして今こうして海外で静かな時間を過ごせていることも、決して当たり前ではない。私の「やりたい」を尊重し、支え、環境を整えてくれた家族や周囲の存在があってこそ実現できたものである。
部活動で支える立場に身を置いた4年間は、誰かの挑戦を後押しすることの責任と尊さを、私に教えてくれた。本気で部活動に向き合い続けた日々も、今この南半球で過ごす時間も、どちらも私に確かな影響を与えてくれた、かけがえのない時間である。
これからも与えられた環境に感謝し、学び続ける姿勢を忘れず、「初志貫徹」の心で歩み続けていきたい。
女子ラクロス部のチームメイトと記念の一枚。一番左が小保方さん(2025年9月)
〈中大ミニQ&A〉
出会えたすべての「縁」に感謝
10年後、自分の力で道を切り開ける人に
質問(以下Q) 中央大学ってどんな大学でしたか
小保方愛香さん 文武両道を日常として当たり前に実践している学生が多い大学でした。学問に真摯に向き合う時間と、部活動や課外活動に打ち込む時間のどちらも大切にし、その両立が学生生活の基盤になっている点に、中央大学の懐の深さを感じていました。多摩キャンパスの豊かな自然の中で思考を整え、足元を見つめ直すことができる環境だったと思います。
Q 在学中、一番お世話になったと感じている方へのメッセージを教えてください
小保方さん 家族には、学生生活を通して本当に多くの支援をしてもらいました。経済的な面に限らず、私の意思を尊重し、やりたいと思ったことすべてに挑戦させてくれたことに、心から感謝しています。
Q ほかの卒業生にメッセージをお願いします
小保方さん 中央大学で出会えたすべてのご縁に、心から感謝しています。同じ大学で同じ時代を過ごしたという事実は、これから先も私にとって大切な財産です。いつかまた、どこかでこのご縁が交差する日を楽しみにしています。
Q もう一度、中大1年生に戻れるとしたら、どんな活動をして、どんな4年間を過ごしたいですか
小保方さん 迷いなく、部活動に全力を注ぎたいです。一つのことに専心し、その過程で生まれる悩みや葛藤、達成感を含めて、より濃密な4年間を過ごしたいと思います。
Q 10年後の自分の姿をどのように描いていますか
小保方さん 尊敬する安室奈美恵さんのように、自分の選択に責任を持ち、自分の力で道を切り開いていける人でありたいです。流されることなく、自立した一人の大人として、静かな強さを持って生きている――そんな10年後を思い描いています。