2021.03.26

「困難はより良い未来に結びつく」と信じたい
学生記者卒業記念コラム

文&写真 中里真侑(文学部4年)

  • キャリア
  • きょう・あした

最後に大学で授業を受けた日のことを思い出せない。それが何の授業で、どの教室で受けていたか...。まさか、それが最後の対面授業になるとは思ってもみなかった。

 

昨年10月、約半年ぶりに足を運んだ多摩キャンパスは以前の姿とはまるで違い、がらんとしていた。そんなことはよくわかっていたはずなのに、違和感を抱かずにいられなかった。キャンパスに学生が存在して、互いに関係性を構築しなければ、その空間は成立しないということを物語っているようだった。

人と知識、人と人との出会い  キャンパスは“相互作用”の場

学生記者の中里真侑さん

コロナ禍によって日常生活がままならなくなり、大学に通学することもできなくなった。待ち望んでいた対面授業の全面再開は、卒業までにかなわなかった。経験のない特殊な日々を過ごす中で、何度も思い出されたのは、ウィズコロナの今では非現実的となってしまった多摩キャンパスでの何げない日々だった。

 

数百人の学生が集まる大教室での講義、通学時の満員のモノレールや、人であふれかえった昼休みのヒルトップ...。挙げればきりはないが、それまで当たり前だったキャンパスの光景を思い返すと懐かしくてたまらなくなった。

 

対面かオンラインかというツールは違っても、学生が自ら行動して知を獲得するという学びの本質が変化することはないだろう。しかし大学は、人と知識、そして人と人との出会いを生み出し、学生同士が影響を与え合いながら相互に作用しあう場所である。

 

自分で機会を作って物事を実践するということに臆病だった私だが、大学に入学して、人間関係の築き方と自分の視野を広げることを意識するようになった。同じ空間を共有して一緒に一つのものに取り組む活動の過程、さまざまな人たちとの出会いは、私にとって大きな刺激と影響を与えてくれた。

 

貴重な経験を糧に成長  新社会人としてスタート

学生や教員らの思いが交錯する空間と言えるキャンパスに通うことの意義はやはり大きいと思う。コロナ禍を経験した今、多摩キャンパスで過ごした日常こそが、大切な思い出であったということに気づくことができた。

 

図らずも、大学4年生という節目にコロナ禍という急激な社会の変化に直面することになった。卒業を迎えるにあたり、心残りがないと言えば嘘になる。経験できたはずの機会が失われてしまったことに対する悔しさもある。けれど、大学時代の経験はどれもが貴重だった。

 

コロナ禍の社会になるまでは、世の中に対しての心配もなく、ただ楽しかったと振り返ることができた。以前の日々に戻れるならそうしたいという思いもあるが、それ以上に未来が良くあることを今は何よりも願っている。困難は、未来を向上させることにつながっていると信じたい。大学生活において、惜しみなく支援してくださった方々に心から感謝したい。

 

終わりがあれば、始まりがあるように、学生として卒業を迎えても、今後は社会人として新たなスタートを切ることになる。4年間の経験を糧に、希望を失わずに成長し続けたいと思う。

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