2022.01.24

「ひたすら『なんで?』を繰り返した自己分析」
「落ち込んだとき…一人で抱え込まず誰かに相談を」
「どこに内定したから正解ということはない」
女子学生の就活応援 WINGの会がセミナー

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女子学生の就職活動の支援を目的とした第27回WINGの会「女子学生応援セミナー」が2021年11月20日、多摩キャンパス会場の参加者と、オンラインの参加者を結び、ハイブリッド形式で開かれました。卒業生でつくる学員会の女性支部「女性白門会」が1980年代に発足させたWINGの会と、キャリアセンターが共催しました。

 

民間企業や公務員に内定している4年生3人の就活経験をもとにしたパネルディスカッションと、外資系企業や社会保険労務士事務所で勤務経験があり、現在は社労士事務所代表を務める佐佐木由美子さん(中央大学大学院戦略経営研究科修了)による「人生100年時代のワークスタイル~自分らしい生き方を考えよう」と題した講演が行われ、参加した学生が熱心に聞き入っていました。

パネリストを務めた水谷彩さん、守屋美聖さん、本田まどかさん(右から)

 

厚生労働省一般職に内定した文学部の水谷彩さん、三井住友銀行に内定した法学部の守屋美聖(みさと)さん、ハウス食品内定の経済学部の本田まどかさんの4年生3人によるパネルディスカッション「今知りたい就活のリアル!~就活経験者が語る本音の60分」は、聴講した1~3年生の質問に答える形で進行しました。

 

真摯に就活と向きあった3人の本音を質問項目ごとに紹介します。

【質問項目】

①大学2年生のときは、どんなふうに過ごしていたか

②インターンシップに参加したか

③就活における公務員、民間企業の両立について

④志望する業界の絞り方について

⑤自分自身の就活の「軸」としていたこと。どのように軸を作ったか

⑥就活において、結婚・出産・育児などのライフイベントについてどのように考慮したか

⑦後輩たちへのメッセージ

 

文学部4年、水谷彩さん 内定先・厚生労働省一般職

①就活に関わることは何もしていませんでした。

インターンシップには参加せず、東京都庁でアルバイトをしていたので、それがインターンシップのような感じでした。

民間企業は受けていません。周囲にも基本的に併願している人はいませんでした。

④教育福祉に興味があったので、公務員(という進路)は漠然と決めていました。

厚労省は教育福祉を含めて、いろいろな分野の仕事ができる。他に受かっていた省庁はその分野のみに(業務が)絞られるので、厚労省の方がさまざまな経験をできるという面から、自分に合っていると思いました。強いて言えば、軸として「なぜ(この省庁、役所を)受けたの?」という質問に答えられるように、やんわりした分野意識があるといいと思います。

⑥結婚・出産などは考えていませんでした。ライフイベントは未定ですが、1カ所に定住できる就職先に行こうと思っていました。

公務員と民間企業では就活のやり方が全然違います。実は第1志望の試験に受からずに落ち込んで、勉強も1週間くらい手につかなかった。母に相談して立ち直ったのですが、落ち込んでも誰かに相談して、自分で抱え込まないほうがいい。一度失敗しても何とかなります。

 

【質問項目】

①大学2年生のときは、どんなふうに過ごしていたか

②インターンシップに参加したか

③就活における公務員、民間企業の両立について

④志望する業界の絞り方について

⑤自分自身の就活の「軸」としていたこと。どのように軸を作ったか

⑥就活において、結婚・出産・育児などのライフイベントについてどのように考慮したか

⑦後輩たちへのメッセージ

法学部4年、守屋美聖さん 内定先・三井住友銀行

①就活関連の活動はほとんどしていませんでした。部活(バレーボール部)と授業の毎日でした。

②ワンデー(1日限り)を含めると30社くらい参加しました。複数日参加のインターンシップでは早期選考に結びつくケースもありました。

教育実習と(民間企業の)面接ラッシュが重なる時期もあり、早め早めに動くことが大事だと思いました。

幅広く業界を見て、説明会、インターンシップ、業界研究、自己分析で絞っていきました。

さまざまな人と関わることができ、成長できる環境があるかどうかを重視しました。環境としては尊敬できる人がいるか、裁量権があるかどうかです。自己分析で「どんなときにやりがいを感じたか」「どんな人になりたいか」「成長を続けたい」「いろいろな人と話したい」などを棚卸しして、そこからエピソードを深く掘り下げていく。紙にメモしていくことをお勧めします。

全く影響しませんでした。全国に転勤しても戻ってこられる制度が福利厚生としてある。若いうちだからこそ、いろいろなところに拠点をつくるのもいいかなと思いました。

➆まずは目の前のことに全力で取り組む。就活のとき、結果的にそのエピソードが生きます。また、たとえば業界研究について「やらなければいけない」ではなくて、「新しい業界を知ることができて面白い」などと前向きな気持ちで臨んでください。最後に伝えたいのは、「どこに内定したから正解ということは絶対にない」と思っていて、(正解だったかどうかは)入社してからどれだけ努力できるかにかかっているということです。内定の時点で、うまく行ったかどうかは分かりません。やりたいことを軸に大事に進路を決めていってほしいと思います。

【質問項目】

①大学2年生のときは、どんなふうに過ごしていたか

②インターンシップに参加したか

③就活における公務員、民間企業の両立について

④志望する業界の絞り方について

⑤自分自身の就活の「軸」としていたこと。どのように軸を作ったか

⑥就活において、結婚・出産・育児などのライフイベントについてどのように考慮したか

⑦後輩たちへのメッセージ

経済学部4年、本田まどかさん 内定先・ハウス食品

①2年生のときは、オーストラリアで1か月間のインターンシップを経験しました。この経験で、私には営業職が向いていると確信し、DXマーケティングや人材育成に取り組みたいと考えるようになりました。

②15社くらい参加しました。複数日参加のインターンシップでは早期選考や、1度の面接で内定が出るなどの優遇がありました。

最後の最後まで内定をもらった(企業の)業界はばらばらでした。軸(下記)を中心として、将来的にはそれを実現できるところをと考えていました。コンサル系の(企業の)人と話したときは、「御社から見て食品業界は今後どうなるか」という質問をして、それが(食品業界の企業での)面接に役立ちました。社会人の目から見た自分の志望業界ということです。

⑤最初は悩みました。自己分析で、自分がやってきたことを書き、友達などの身近な人に見せて、「なんで?」と聞き返してもらうようにしていました。ひたすら「なんで?」を繰り返すと、自分の考え方も根本的なところまで(分かって)くるんです。そうすると、どういう考え方をしてここまで来たのか、どういう結果を得たのかが明確になる。これをやると早い段階で軸が明確になります。

⑥複数の内定先から一つに絞る際に考慮しました。どのようなライフプランを歩んでも後悔しない、納得できる仕事に就けたらいいと思いました。最終的にハウス食品に決めたのは福利厚生(の充実)が理由です。

➆インターンシップで大手食品メーカー20社くらいに落ちました。1人でやっていて、コロナ禍で友達にも会えず、一時期は本当に病みました。食品メーカーはもうあきらめようと思ったくらいのどん底でした。そこで自分が変わったのは、人に助けを求めよう、人にどんどん質問をしようと思ったことです。友達やほかの人に助けを求めて、一緒に取り組むというのも大事で、1人でやらないほうがいいと思います。そして、有名な会社だからと名前で選ぶのはやめた方がいい。「自分がやりたいことを達成できるから、この会社」ならいいのですが、「大手だから」「名前が知られているから」「有名だから」ではなくて、自分自身が何をしたいかで決められれば、それが「納得内定」なのではないでしょうか。

多摩キャンパスのパネルディスカッション会場

これからの働き方に影響する3つの要因
「人生の長期化」「ITの進化」「グローバリゼーションの進展」
佐佐木由美子さん講演「人生100年時代のワークスタイル~自分らしい生き方を考えよう」

セミナーで講師を務めた佐佐木由美子さんは、講演の中で、これからの働き方に影響を与える要因として、平均寿命の伸びに伴う「人生の長期化」と、「ITの進化」「グローバリゼーションの進展」を挙げた。

セミナー講師を務めた社会保険労務士の佐佐木由美子さん

人生の長期化がもたらすこととして、「一生、ひとつの仕事をやり続けるのは現実的ではない」と指摘。1986年の男女雇用機会均等法施行、1992年の育児休業制度の法制化などを経た“第1世代”の女性たちが、定年後の年金受給への不安や寿命の伸びに伴って、「新たな課題として、シニアの働き方をどうするかと真剣に悩み始めている」と説明した。

 

そのうえで、ライフステージに応じて働き方を見直す人が増えていくことを指摘。働く期間が長期化していく中で、職業ニーズや体力も変化していくため、社会に出てから新たなスキルや知識を習得するための学び直しはますます重要になると訴えた。

 

ライフステージに応じた柔軟な働き方を

ITの進化では、場所にとらわれない働き方や、個人や中小も設備投資なしでビジネスに必要なインフラを持てるようになったこととともに、起業もしやすくなり、AIの発達で新しい職業が誕生すると解説。グローバリゼーションの進展により、ヒト、モノ、カネ、企業などが世界規模で一体化し、企業などにとってはIT人材、デジタル人材の確保や育成が課題となるうえに、世界規模での業務の取り合いも起きてくると予見した。

 

これらの要因により、ライフステージに応じた柔軟な働き方や、自分中心のライフキャリアをより実現しやすい社会になっていくと説明。働くうえで、「日々の経験から自分の好き・苦手の要素を見つけ、自分にとって譲れない大事な価値観は何かを理解する」「自分の好奇心を大事にし、興味・関心があるものを学び続ける」「仕事や学びのネットワークを積極的に広げていく」「失敗を恐れず、果敢にやってみる」などが大切な心構えだ、と学生たちに呼びかけた。

佐佐木由美子さん 

ささき・ゆみこ。社会保険労務士、人事労務コンサルタント。外資系企業日本法人を退職後、社会保険労務士事務所などに勤務。2005年にグレース・パートナーズ社労士事務所を開業、翌年にグレース・パートナーズ株式会社を設立した。中小・ベンチャー企業を中心に、多様な働き方や人事労務管理などをサポートしている。中央大学大学院戦略経営研究科修了、MBA取得。労務関連の著書やメディア連載も多数。

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