2022.12.12

学内のSDGsの取り組みを「英語CM動画」に
国際経営学部 飯田朝子教授ゼミ

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国際経営学部の飯田朝子教授が担当する「入門演習ゼミ」に所属する1年生13人が、「SDGsと広告」をテーマにフィールドワークを実践し、学内のSDGsに関する取り組み調査の結果に基づいた英語のCM動画を制作した。

2022年夏の約1カ月間、ペアやグループの5つのチームごとに多摩キャンパス構内をつぶさに歩き、生協食堂の従業員、モノレール駅からの入構口に立つ警備担当者、清掃業者ら大学運営を支える人々を取材。建物内や風景などを映像に記録し、スライドなども織り交ぜて制作した。ナレーションや字幕などはもちろん全て英語。ゼミ生の沼田晴凪(はるな)さん、森陽菜(はるな)さんの2人に、フィールドワークの意義や面白さ、制作上で工夫した点、学んだことなどを尋ねた。

多摩キャンパスの自然の素晴らしさ再認識、LGBTQの人に配慮したトイレは…
中大生のココロを健康に保つ学内施設紹介と今後の課題」

多摩キャンパスのラバーズヒルを紹介する沼田晴凪さん

《And there is a place called Sakura hiroba where Someiyoshino blooms during spring. If you look closer, two people are sitting on the bench. They were playing catch before I took this photo, so I guess it is not only a place to hang out; it is a great place to enjoy nature and do whatever you want that makes you feel happy.》

(訳)そして、春になるとソメイヨシノが咲き乱れる「桜広場」という場所があります。よく見ると、ベンチに2人座っています。2人はこの写真を撮る前、キャッチボールをしていました。ただ集まるだけでなく、自然を楽しみながら、自分が楽しいと感じることを何でもできる場所なのだと思います。


沼田晴凪さんは、櫻井美咲子さ ん、高橋奏太さんと3人のチームで英語CM「中大生のココロを健康に保つ学内施設紹介と今後の課題」(9分49秒)を制作した。一人ひとりの学生が過ごしやすいキャンパスであるために学生相談室やダイバーシティセンターが担っている役割、そこで働く人々の声のほか、心地よくリラックスできる空間、場所として「桜広場」「ラバーズヒル」などを紹 介した。

LGBTQについては、構内のほぼ全てのトイレを見て回り、男女別の施設が大半だった現状から、マイノリティ性のある学生らへの配慮としての課題を提起している。

「テーマの『SDGsと広告』にはどういう関連があるのだろう」と不思議に思い、飯田ゼミを志望したという沼田さんは、「世界の課題は複雑で、一人では解決できない。(広告として)何かを人に伝える、訴える上で、その中にSDGsが深く関わるということに学びを通して気づいた」と説明する。

宮城・仙台出身で、小学生のときに被災した東日本大震災で心の傷の癒えない人たちを見て、心の拠り所や居場所が守られていることの大切さを知った。さらに高校時代に留学したカナダの先住民族の同級生から迫害の歴史を知らされたことが、「ココロを健康に保つ」という題材を選定したことに影響した。

取材や制作の経験から、「広告や動画で何かを伝える、訴える難しさを感じた。相手の立場に立って物事を考えてみることが大事で、それが一人ひとりの尊厳が守られる世界の実現に寄与する。どうアプローチできるかを今後も探っていきたい」と話している。
 

実はモノレール口に立つ警備の方が重要な役割
「多摩キャンパスのフードロス削減大作戦」

学食の券売機のスライド。森陽菜さんたちは学内のフードロスについて調査した

「中大は学食の規模も大きく、初めはさまざまな課題が見つかるのではないかと考えて取材しました」と、フードロスの問題を取り上げた理由を話した森陽菜さん。佐久間佳乃子さんとのペアで、英語CM「多摩キャンパスのフードロス削減大作戦」(9分27秒)を制作した。


《Now, here is a question. How much food loss is generated per day at Chuo University?

1: 10 to 50 servings,

2: 100 to 150 meals,

3: 300 or more meals

I’ll give you five seconds to think about it. The correct answer is 1: 10 to 50 meals. Many people are surprised at the surprising low number.》

(訳)さて、ここで質問です。中央大学では、1日にどれくらいのフードロスが発生しているのでしょうか。

 1:10食~50食、2:100食~ 150食、3:300食以上

5秒で考えてみてください。正解は、1の10~50食です。意外と低い数字に驚かれる方も多いのではないでしょうか。


英語CMでは、フードロスの定義を「売れ残り、食べ残し、賞味期限切れなどで、食べられたはずの食品を廃棄すること」と紹介。学食の担当者に取材して、モノレール駅からの入構口に立つ警備の方がフードロス削減に重要な役割を果たしていることを明らかにした。


入構する学生数を朝から集計機を使ってカウントしていた警備の担当者が、午前11時に大学の総務課に連絡した数をもとに、学食を管理する担当者が「先週より多いか少ないか」などを判断して必要な食事の数を割り出す。それでも売れ残ったりする弁当は値引き販売したり、飼料や肥料として再利用したりする対象となることが取材を通して分かり、英語CMに反映した。

学食規模が大きいため、何百食ものフードロスが生じているのではないかと想像していたが、ほとんどなかったことに森さんは最も驚いた。英語CMにはスライド26枚を用意して、「英語が理解できなくても、画面(映像)だけで伝わる内容になるよう意識して作った」という。

さらに「調べたことを視覚的にも言葉としても分かりやすく、シンプルに伝えることの大切さを知った。実際にキャンパスを歩いて調べたこと自体が楽しかった。記憶に残る経験になりました」と教えてくれた。

 


沼田さんのチーム、森さんのチームの題材のほか、ゼミ生は「4連ゴミ箱より2連ゴミ箱が多いのはSDGsに良いからだと知っていましたか?」「多摩キャンパスのソーラーパネル設置とエネルギーセンターの意外な事実」「駅から5号館まで歩くと階段は何段? バリアフリー問題から考える多摩キャンパスの動線」のタイトルで英語CM動画を制作した。


 

☆入門演習「SDGsと広告」 飯田朝子教授

国際経営学部の1年生が入学して最初に履修するゼミが「入門演習」です。多くのゼミ生は高校時代にSDGsについて学んだ経験があり、かつ広告にも興味があるため、2022年度はSDGsをテーマとした英語のCMを作成することにしました。

まだ馴染みの薄い多摩キャンパスのウオーキングツアーを企画し、自身の足で歩くことで大学やその歴史に親しみ、同時に学内の良い点や問題点に目を向ける機会がありました。そこからSDGsを考えるきっかけを見出し、丁寧な取材を通して映像による成果物を完成できたことは、彼らの大きな自信になりました。

英語で作成したCMは、世界に向けて発信することも可能です。これからも中央大学のSDGsの取り組みに寄り添い、学生の視点から良さをグローバルに発信できればと思います。

英語CM動画を制作した飯田朝子教授のゼミのメンバー(中央は飯田教授)

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