2022.04.26

本の出版 イベント開催 映像制作…形あるモノを創る
2021年度「文学部実践的教養演習」

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「自分たちで学びをかたちに」をキーワードに2020年度から開講した文学部の授業「特別教養:実践的教養演習」。出版、イベント、映像制作の3部門における2021年度の受講生の取り組みを紹介します。

文学部の演習授業「特別教養:実践的教養演習」

出版部門の授業風景

モノを創る学部ではない文学部において、「人文知」を生かして、授業の成果として形あるモノを創る過程で、受講生に主体性、自主性、協調性を育んでもらう実践型の授業。異なる専攻・プログラム、異なる学部で学ぶ学生同士が協力して刺激し合いながら学んでいく。

 

2021年度は「出版」「イベント」「映像制作」の3部門ごとに、共通テーマである「時間 記憶 記録」について考察、理解を深めた上で、学生主導による出版・イベント・動画制作の具体的な成果へと結びつけ、論文やリポートとは異なる形で表現するための実践的なスキルを習得した。

 

2021年度の履修者は、出版部門が前期13人・後期12人、イベント部門は前期10人・後期11人、映像制作部門は前期12人・後期10人。授業の「成果物」として、出版部門は『学びの扉を開く―時間・記憶・記録―㊤㊦』(中央大学出版)を出版、イベント部門は、音楽を用いて記憶を想起するイベント『THE MUSIC DAY~音楽と記憶と癒し~』を多摩キャンパス「FOREST GATEWAY CHUO」のホールで開催し、映像制作部門は『実践的教養演習紹介動画』並びに“今昔の大学生の日常”についてのインタビュー動画を制作した。

 

2022年度も授業に積極的に参加でき、前期後期を通して継続的に出席できる学生の履修が望まれる。履修に関する詳細は「C plus」で発表される。他学部履修制度を活用し、文学部以外の学生も受講できる。

【出版部門】
執筆者の先生とのやり取り、校閲、表紙カバー作成、コラム執筆…
すべてが初めての経験 刺激的な授業
小柳晴矢さん(文3)

 

出版部門では、「時間 記憶 記録」をテーマに本を制作しました。

 

まずは本の編集について現役の編集者の方から教わった上で、主な読者層や内容の詳細について全員で話し合いました。私は本の制作に積極的に関わるため、あらかじめどのような本にしたいかを具体的に考えてから授業に臨み、自分から発言するように心掛けました。

 

結果として自分の意見がいくつか採用され、素直に喜ぶと同時に、自分から言ったのだから最後までやらなければと、本を完成させる意欲がますます、わいてきました。

 

その後、執筆依頼を承諾いただいた先生方からメールで原稿をいただきます。原稿をいただいたり、変更点などを伝えたりする際に、先生方とメールを介して会話する必要があります。 敬語やメールの作法は必然的に正しく使わなければならず、メールを送る前に何度も表現をチェックしては調べて、細心の注意を払って送信しました。この作業を続けたことで、今まで敬遠してきた慣習的な言葉遣いに抵抗がなくなったように思えます。

 

そしていただいた原稿の校閲(内容を修正、検討すること)を行いながら、受講生自身が本文の内容と関連するコラムを執筆しました。他にも表紙カバーや商品説明文の作成なども班ごとに行いました。このように編集の仕事のほとんどを私たち自身が中心となって行う様子はまさに「実践的」な授業です。

 

今まで講義形式の授業ばかりを受けてきた自分にとっては、この授業内で行うことすべてが初めての経験で、大変刺激的でした。また自分から発言する積極性や作法への慣れといった役立つ能力を身につけることができたのも、この授業と真剣に向き合ったおかげです。

 

講義型の授業から一歩踏み出て、将来役立つ能力を獲得したいと思った方にとって、この授業は最適な場所になります。思い立ったが吉日ですので、ぜひ受講してみてください。

『学びの扉をひらくー時間・記憶・記録ー』の詳細はこちらでご覧になれます。

http://www.chuo-u.ac.jp/academics/faculties/letters/characteristic/subject08/

【イベント部門】
音楽を用いて記憶を想起するイベント
「学び」「イベントを思いだす手がかり」を参加者に提供
藤井朱音さん(文4)

イベント部門は出版物や動画のように手元に残る成果物はありません。そのため、イベントを実施している時間とその記憶が重要になります。ただ楽しいだけでなく、「参加した人々に学びを提供する」「このイベントを思い出す手がかりとなるきっかけを設ける」という点を特に大事にしました。

 

そして生まれたのが「音楽」を用いて記憶を想起するイベントです。音楽を聴きながら、ふとかつての記憶を思い出すような経験をしたことはないでしょうか。実は、これは音楽療法にも使われているのです。この話をメンバーから聞いたときに、私たちのイベントの大きな方向性が決まりました。

 

イベントの実施後アンケートでは、回答者全員が全体の感想として「良かった」と回答していました。振り返ると改善点や反省点はありますが、メンバーみんなで創り上げられた素敵なイベントであったと胸を張って言えます。

 

イベントの内容が決まるまでに、授業時間以外にも何度もミーティングを重ねたり、専門家の話を聞いたりと、長い時間と苦労を要しました。また企画立案だけでなく、宣伝、会場設計、備品の準備などの全てを11人のメンバーで行うことは本当に大変なものでした。

 

しかし、その分、イベントの終了を無事に見届けられたときの喜びやうれしさは、言葉では言い表せないほどのものでした。「みんなでここまで頑張ってよかったなあ」と、何度も何度も思いました。時には意見の衝突が起き、議論が停滞することもありました。それでも、時間をかけて話し合うことでみんなの納得のいくイベントが創り出せたのだと思います。

 

何かを創りたいと思ったら、それを実現できる場がある。こんな恵まれた環境はなかなかないですし、これを利用しないのはもったいないです。私は「自分を変えたい」という思いからこの授業を履修しました。もちろん苦労は伴いますが、その分成長の可能性も大きいです。少しでも興味を持った方がいたら、ぜひ履修をお勧めします。

イベント部門の履修者ら

【映像制作部門】
共同で何かを作り上げる喜び 活動における発見や経験
この演習授業だからこそ得られた学び
阿部美月さん(2022年3月文学部卒)

映像制作部門では、どんな作品にするか、どんなことを伝えたいか、動画の基盤になるコンセプトと方向性を決める企画会議から始まり、取材・撮影、編集まで、動画制作のすべての工程を、自分たちで行います。また、共通テーマである「時間 記憶 記録」はたくさんのものを連想できます。非常に多角的に、さまざまな捉え方ができるため、どんなことを軸に考え、それを形としてどう具現化するのか、面白くもあり、同時に難しくもありました。

 

どんなものをどう作っていくかも自分たちで決めていく自由さから、企画会議では内容がなかなか決まらないという苦悩もありました。一方で「こういう内容はどうか」「ここをこうしたらどうだろうか」と話し合い、他の受講生と意見を交わしていき、考えの視野を広げることは、非常に重要かつ盛り上がる工程でした。実際に撮影をして、「おっ、これは良いのではないか?」と思ったときはうれしくなりました。

 

他方で、撮影の事前準備などで反省する点や、編集担当者に苦労をかけさせてしまった点もありました。しかし、共同で何かを作り上げる喜びも、それぞれの活動での発見も経験も、私にとってこの演習授業だからこそ得られた学びでした。

 

この演習授業は、学部・専攻を越えて、考えの異なる人と交流しながら「ともに学ぶ」講義であり、積極的な活動と実践を通しながら、深い経験と学びを得ることができます。私は4年生での受講となりましたが、どの学年であろうとも、参加して良かったのではないかと感じています。

 

「漠然としているけど、何かやってみたことがないことをやってみたい」「『出版』『イベント』『動画制作』という言葉に心が惹かれた」

 

そういった素直な気持ちをきっかけに、まずは「やってみたいかも」を「やってみようかな」に少しだけ変えて、一歩踏み出してみてほしいと思います。

文学部実践的教養演習紹介動画はこちらからご覧になれます。

http://www.youtube.com/watch?v=S1qW6U3nEMA&t=10s

映像制作部門の授業風景

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