2020.12.18

オーストラリアの小学校で日本語インターン体験
浦田瑞希さん(経済2)

  • 中大ニュース
  • ゼミ・サークル

FLP国際協力プログラムの中川康弘経済学部准教授のゼミで学ぶ学生が、海外で得た有意義な体験を報告します。

「リアルな日本」「ありのままの自分」 日本語、日本文化伝える

浦田瑞希さん

“Thank you, Mizuki !”

 

今年2月の1カ月間、日本語や日本文化を教える講師として授業を担当したオーストラリアの小学校での別れの日、児童たちがかけてくれた声に胸がいっぱいになった。

浦田瑞希さん(経済2)は、講師としての契約や授業の準備、滞在中のスケジュール調整の全てを、代理店などのエージェントを介さずに一人で行った。「異国の地での活動が確かな自信になりました」と振り返っている。 

契約、授業の準備、スケジュール調整…独力で切り開く

日本食の授業を行う浦田瑞希さん

授業を受け持った学校は、ビクトリア州の州都メルボルンの東約280キロに位置するバーンズデールのラクナウ小学校(Lucknow Primary School)。「Language and Culture class」という授業で9クラス(1クラスは約20人)を担当し、「あいさつ」「食べ物」「アニメ・ドラえもん」「折り紙」などをテーマに日本語や日本文化を教えた。小学校とインターンシップ契約を交わし、経済学部の「グローバル人材育成奨学金」を受けた。

 

1カ月という期間限定の、いわばイレギュラーな講師に対し、学校側から「こういう授業内容で」という指示があったわけではなく、当初は「自分から行動しなければ何も始まらない環境」に悩んだこともあった。

 

しかし、短期の契約で「今しかない」という思いから、何ができるかを見つめ直し、本やメディアを通して知ることのできる伝統文化を伝えるのではなく、19年間で自分が体験してきた「リアルな日本」「ありのままの自分」を伝えることが大切だと気づいた。用意していた授業内容を変え、等身大の自分を分かりやすく伝えられるよう努めた。

 

たとえば、「日本食」がテーマの授業では、すしやラーメンとともに、自身が苦手な牛乳を昼休みになっても一人教室に残って飲んでいたエピソードを交えて、学校給食についても紹介した。

 

高校でも姉妹校交流で豪州へ

神奈川県立弥栄高校に在学中、姉妹校交流の一環でオーストラリアの小学校を訪問した際、日本に興味を持つ児童が少なくなく、「もっと日本を知ってほしい」と感じたことが今回の活動のそもそものきっかけとなった。契約や宿泊先の提供など、さまざまな面でサポートしてくれたのも、高校時代に迎え入れてくれた現地のファミリーだった。

 

高校の3年間に外国人観光客のガイドを行うボランティア団体で活動し、「リアルな日本」を伝える楽しさを感じたことも、講師として授業に取り組む意欲を後押しした。

 

自分の受け持ちの授業がない時間には、ほかの先生から図画工作や体育、算数などの授業に参加させてもらい、自画像を描いたり、児童と一緒に走ったり、数式を解いたり、時には子供たちと並んで席に着いて勉強したりと、数々の貴重な経験もした。

 

昼休みには子供と一緒に校庭を走り回って遊んだ。職員室で先生たちとテーブルを囲み、昼食を楽しんでいたときは会話のスピードに追い付けず、困惑したことも良い思い出だ。

将来は「日本の魅力を海外に発信する仕事を」

子供たちに折り紙作りも手ほどきした

南半球の夜空に浮かぶ無数の星。ずっと昔からの友達のように温かく迎えてくれた国民性、びっくりするほど安く買えたマンゴー…。

 

これら以外にもたくさんのオーストラリアの魅力を知った1カ月だった。それとともに、気づかなかった日本の魅力に気付いた経験となった。19年間、生活してきた日本について、外からの視点で考える時間だったと思っている。

 

異国の地で一人で活動したことは「それまで自分になかった行動力が身についた証し。自分に自信を持つことができた」と振り返り、受け入れてくれた現地の先生方や児童たち、受け入れてくれたファミリーなど、支えてくれた人たちに感謝する。

 

「将来は日本の魅力を海外に発信する仕事をしたい。どのような仕事、職種が私に向いているかをこれからの大学生活の中で探っていきたい」と前を見据えている。

 

FLP国際協力プログラム中川康弘ゼミ

日本語教育・多文化教育を軸に国際協力と多文化共生を考えるゼミ。ゼミ生の調査テーマは、「青年海外協力隊活動の今日的意義」「国内外における日本語教育の社会的役割」「性的マイノリティーの語りからみる多文化共生のあり方」など。文献とフィールド調査等を通じて支援すること、対話することの意味を問いながら、皆で学びに取り組んでいる。

GO GLOBAL!
スポーツ・文化活動
中大スポーツ
Connect Web
Careers