2020.12.18

「差別はなぜ生まれるか」考えるきっかけに 法学部テキスト「新版 絵はがきにされた少年」が刊行

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法学部の専門科目、総合講座1「職業・差別・人権1」を担当している藤原章生(あきお)兼任講師(毎日新聞記者)の講座テキスト「新版 絵はがきにされた少年」(柏艪舎=はくろしゃ)が刊行された。

新聞社特派員として、2001年春まで5年半の南アフリカ共和国駐在時に、アパルトヘイト(人種隔離)制度の撤廃後も歴然と差別の残る現地で、出会った人々の心の深奥を探求した11の実話を綴っている。「日本に帰国後も強く心に残っていた出来事、経験ばかり」(藤原兼任講師)というオムニバス形式の内容。このほど全編を改稿、写真を刷新した。

最初に同名で集英社から刊行され、2005年には「第3回開高健ノンフィクション賞」を受賞している。いまだ差別はなくならず、不寛容な世界であるからこそ読まれるべき普遍性を備えた作品といえる。特派員経験の長かった藤原兼任講師は、南アフリカとメキシコ、イタリアに計14年半駐在し、現地のニュース、話題を日本の読者に届け続けた。

藤原章生兼任講師

アパルトヘイト撤廃の直前に、黒人警察官が銃で白人男性を殺害した事件について著した章の「嘘と謝罪と、たったひとりの物語」。事件から4年半を経た南アフリカ政府の「真実和解委員会」は真実を語り切れば免責されるという場だったが、傍聴しても釈然としない思いが残った。「本当のことを知りたい」と、のちに警察官、遺族の双方を取材した経過を克明に記している。

「どうしたら差別がなくなるか。もちろん簡単に答えは出ない。それでも一つひとつの事例に当たり、考えることに意味がある」と、藤原兼任講師は強調する。さらに「学生たちは、心に刺さったエピソード、フレーズについて、自分の体験をもとに話を始める。問題提起をしっかりと受け止めてくれている」と授業の手応えを話している。

新刊特設ページでは関連コラムや写真、各地で開催中の新刊イベントを紹介。(https://peraichi.com/landing_pages/view/infoehagaki/

中大生協でも取り扱っている。

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