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総合講座

 

美の変奏 −ルネサンスから新古典主義まで−

  • 対面式
  • 芸術伝統
  • 総合講座

講座番号:14111

土曜日 11:00~12:30

場所
駿河台
定員
30名

お申込受付中

[秋期/全4回]
9/19、10/3、11/14、12/5
受講料:12,100
申込締切日:2026/08/19

講義概要

 コーディネーター 小林 亜起子 講師

 

【講座内容】

 美術史にはさまざまな鑑賞の入口がありますが、時代を画した画家たちが何を見つめ、どのように形にしようとしたのかを手がかりに作品を読み解く方法もそのひとつです。本講座では、およそ300 年にわたり変化を遂げてきた西洋絵画の表現を、画家たちのまなざしと制作への姿勢という視点から読み解いていきます。今回は横浜美術館で秋期に開催される「マリー・アントワネット・スタイル展」にあわせ、関連する回を初回に配置しました。
 第1 回では、王妃マリー・アントワネットの画家ヴィジェ=ル・ブランと、ナポレオンの画家ダヴィッドが、それぞれの立場から描いた作品を取り上げ、ロココから新古典主義へと移行する絵画表現の変化を見ていきます。第2 回では、ルネサンスが開花した15 世紀フィレンツェに立ち返り、古代文化の再発見のもとで新たな芸術表現を切り拓いたボッティチェッリに焦点をあてます。第3 回では、観察と思索に支えられたレオナルド・ダ・ヴィンチの制作過程に注目し、対象への深い洞察がどのように絵画表現へと結実したのかを考察します。第4 回では、アンニーバレ・カラッチとカラヴァッジョという対照的な画家を通して、自然の捉え方と宗教画の語り口が17 世紀初頭にどのような変化を迎えたのかを検討します。
 本講座は3 名の講師によるリレー形式で進められます。変わりゆく表現の在り方を俯瞰しながら、「美の変奏」を探究し、美術の見方を深めていきましょう。

 

【各回のテーマ・簡単な内容】

第1回 ヴィジェ=ル・ブランとダヴィッド − ロココから新古典主義へ、移ろう美 
9 / 19 (小林亜起子講師)

18 世紀フランスでは、宮廷文化の華やぎの中でロココ美術が爛熟し、洗練された感性と繊細な美意識が人々を魅了しました。王妃に重用された画家ヴィジェ=ル・ブランは、そのロココの情趣を受け継ぎながらも、気品に知性を宿し、新しい時代の美を描き出します。一方、ジャック=ルイ・ダヴィッドは古代の厳格な理想を復興し、理性と道徳の美を通して革命の精神を表現し、やがてナポレオンの首席画家として帝政の栄光のイメージを体現しました。ロココから新古典主義へ、移ろう時代のなかで、二人の画家が示した美と理想のかたちに迫ります。

 

第2回 ボッティチェッリ −“花の都”フィレンツェに吹く古代の風 10/3 (平井彩可講師)

15 世紀、中部イタリアの街フィレンツェはルネサンスの舞台となり、人文主義が花咲きます。中世におけるキリスト教・神中心の価値観から人々を脱却せしめたのは、かつて古代ギリシア・ローマが遺した知性と感性の調和でした。詩情あふれる豊かな古代文化に魅了されたサンドロ・ボッティチェッリは、パトロン・メディチ家のもと、優美で抒情的な神話世界を描き、ルネサンスの美を導きます。古代に憧れる一方で、その繊細な精神は信仰と救済を希求し、特に画業後期には強い宗教性を帯びていくこととなりました。本講座では、古代の神々とキリスト教との間で揺れ動きながらボッティチェッリが追い求めた「美」のかたちをたどります。

 

第3回 レオナルド − ルネサンスを照らす叡智の光輝 11/14 (平井彩可講師)

思想・文化の中心地となったフィレンツェは、今日に至るまで称賛され続けるひとりの“天才”を育みました。ルネサンスの礎を築いた先人たちの叡智を余すところなく吸収した「万能人」レオナルド・ダ・ヴィンチは、独自の観察眼と芸術観を培い、その唯一無二の芸術性でルネサンスを頂点に導いただけでなく、多分野で多彩な才能を発揮します。彼が天与の資の持ち主であったことは確かですが、彼の活発な活動を支えたのは、無限なる探求心と類稀なる知性であったこともまた事実でしょう。本講座では、あらゆる分野に対するレオナルドの旺盛な探求が、どのような「美」として結実したか、作品を鑑賞しながら追っていきます。

 

第4回  アンニーバレ・カラッチとカラヴァッジョ − 17 世紀イタリア美術の革新 
12 / 5 (山本樹講師)

16 世紀後半、北イタリアに生まれた二人の画家がその後の西洋美術史の流れを大きく変えることになりました。一人はボローニャのアンニーバレ・カラッチ。一族で故郷に美術アカデミーを創設したカラッチは、ローマの古典主義にも学び、異教神話の世界を端正かつ闊達に表現しました。そしてもう一人の画家、ミラノ近郊出身のカラヴァッジョは、理想化を排した描写と強烈な明暗表現を持つ宗教画によって、熱狂的なフォロワーを生みだします。一見、画風も気質も対照的な二人の画家ですが、共にあるがままの現実を描くという自然主義から出発し、前時代の観念的なマニエリスムの気風を刷新することになったのです。第3回の講義では二人の画家の作品を通じ、17 世紀初頭に起こった美術史的「革新」がどのようなものだったのか、具体的に見ていきましょう。

対象 どなたでも参加いただけます。

日付 タイトル
秋1回目 2026/09/19 【小林 亜起子 講師】ヴィジェ=ル・ブランとダヴィッド − ロココから新古典主義へ、移ろう美
秋2回目 2026/10/03 【平井 彩可 講師】ボッティチェッリ −“花の都”フィレンツェに吹く古代の風
秋3回目 2026/11/14 【平井 彩可 講師】レオナルド − ルネサンスを照らす叡智の光輝
秋4回目 2026/12/05 【山本 樹 講師】アンニーバレ・カラッチとカラヴァッジョ − 17 世紀イタリア美術の革新

日程

土曜日11:00~12:30

  • 秋期全4回 :9/19、10/3、11/14、12/5
テキスト レジュメを配付します。
小林 亜起子

講師

多摩美術大学 准教授

小林 亜起子(こばやし あきこ)

ローザンヌ大学博士課程修了(博士・文学)、東京藝術大学大学院博士課程修了(博士・美術)、パリ第十大学修士課程修了(修士・美術史)。多摩美術大学准教授、東京藝術大学講師。ローザンヌ大学文学部賞受賞。単著に『ロココを織る』(中央公論美術出版)、共著にArachné : un regard critique sur l'histoire de la tapisserie( Presses universitaires de Rennes)、『アンドレ・フェリビアン「王立絵画彫刻アカデミー講演録」註解』、『新古典主義美術の系譜』(ともに中央公論美術出版)など。

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山本 樹

講師

実践女子大学 文学部 美学美術史学科 助教

山本 樹(やまもと いつき)

東京藝術大学大学院美術研究科博士課程修了。博士(美術)。
東京藝術大学教育研究助手、日本学術振興会特別研究員PD を経て現職。
専門はボローニャ派を中心とする前近世のイタリア美術。
近年の主要論文:「ボローニャのタナーリ家旧蔵、ルドヴィコ・カラッチ《聖ペテロの否認》の作品解釈– 図像源泉の問題を手掛かりに」(実践女子大学文学部紀要、2026年)

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平井 彩可

講師

東海大学 文化社会学部 専任講師

平井 彩可(ひらい あやか)

東京藝術大学大学院美術研究科博士課程修了。博士(学術)。
フィレンツェ大学留学(平和中島財団奨学生として)、東京藝術大学教育研究助手を経て現職。東京藝術大学講師、中央大学講師。
主要業績:『サンドロ・ボッティチェッリの悔悛――後期作品研究:メディチ、サヴォナローラ、ダンテのはざま』(中央公論美術出版)、「サンドロ・ボッティチェッリ「コンヴェルティーテ祭壇画」――ペゼッリーノ「ピストイア祭壇画」との比較から考える図像的要請」(Aspects of Problems in Western Art History)、「美術史的分析の可能性――ホラーゲーム「Layers of Fear」(2016)考察」(文星紀要)

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