第4章 組織

次のような組織の下に資料保存対策を実施する。

閲覧課長が資料保存対策の責任者となる。

閲覧課に資料保存対策を担当する副課長(以下「担当副課長」と略)を置き、閲覧課長を補佐する。

担当副課長の下に資料保存対策に係わる作業従事者(嘱託、アルバイトまたは委託)を置く。

各課室(理工分館を含む)に資料保存担当者(兼務)を置く。

資料保存委員会を設置する。その構成は次のとおりとし、閲覧課が事務局となる。閲覧課長(座長)、総務課長、担当副課長、各課室の資料保存担当者各1名。

閲覧課長の業務は、次のとおりとする。

(1)全体の状況の掌握

(2)資料保存のための諸基準または規定の制定と改訂に係わる業務

(3)研修計画の立案と実施

(4)予算申請

(5)調査統計に関する業務

(6)資料保存委員会の運営

担当副課長の業務は、次のとおりとする。

(1)書庫内の状況の把握および環境の点検

(2)作業従事者への諸基準または規定の徹底

(3)資料保存業務の指導と実践

(4)資料ごとの保存法の判断

(5)利用者への広報

(6)業者との折衝

(7)資料保存委員会の事務

資料保存担当者の業務は、次のとおりとする。

(1)自課の状況の把握

(2)課員への諸基準または規定の徹底

(3)業務に関連する用品の選定、買い換え、補充

資料保存委員会の役割は、次のとおりとする。

(1)企画・立案・予算・調整・研修に関する協議

(2)資料保存対策に関する情報の収集

(3)当要綱の改訂

(4)資料保存のための諸基準または規定の検討

担当副課長および資料保存対策に係わる作業従事者には、専門家と一般職員との仲介役を果たせる知識を有する者を充てることが望ましい。

(付録1)貴重書・準貴重書の取り扱いマニュアル

【入庫関係】

  1. 貴重書庫入室前には、必ず手を洗う。その際石鹸が残らないようによく洗い落とす。
  2. ハンドクリーム等を手や指に塗らない。
  3. 入室にあたっては、貴重書庫内に用意されたスリッパに履きかえる。
  4. 筆記具の持込みは原則として行わない。(必要な場合は2Bの鉛筆に限定する。)
  5. 書庫内での飲食・喫煙は厳禁、またそれらの持込みを行わない。
  6. 閲覧中は貴重書庫の内扉は施錠し、外扉は閉鎖する。
  7. 退室の際は、M階または2階カウンターへ内線電話で連絡する。

【閲覧関係】

  • 書架からの取り出し、収納はゆっくり・丁寧を厳守する。
  • 取り出し収納に際して手や指に汚れが付着した場合は、書庫内に用意してあるタオルを使用してこまめに拭き取り、汚れたままで資料を触らない。
  • 資料の背から天小口に指を入れ、指で背を引っ掛けて取り出さない。
  • 対象資料の右側の資料全てを、同一棚の右方向に両手を使用してこまめに移して、取り出しや収納を行う。
  • 取り出された後の、隙間は右側の資料を順に左に移して埋めること。この際詰めすぎないようにゆったりとした排架状態を維持する。
  • 資料の取り扱いは両手を使用し、片手では行わない
  • ブックエンド、ブックサポーターにはカバー(ビニール等)をかける。
  • 可能な限り本の劣化状況を確認するとともに、必要に応じて資料保存担当者へ連絡する。
  • 閲覧の際は所定の閲覧机を使用する。
  • 資料を開く際は人差し指と中指の腹を使用し、資料の前小口の中央付近を(原則として和書の場合右から左へ、洋書の場合左から右へ)ゆっくりとずらしながら該当のページを開く。
  • 資料を開いたまま、閲覧机に伏せないこと。また開いた資料の上に別の資料を乗せない。
  • ページ押さえはペーハーウェイトを使用し、決して折り込んだり資料の間に鉛筆等ものを挟まない。
  • 原則として貴重書庫内に於て閲覧するものとする。止むを得ない場合は閲覧課長または副課長の了承を得る。

【その他】

  • マイクロ化は、原則として相互利用等で必要な場合に限り実施し、古いからというだけの理由で媒体変換を行わない。
  • マイクロ化にあたっては、このマニュアルにしたがって実施する。

*注意:このマニュアルは必要に応じて修正する。修正の際は資料保存委員会および館内の合意を得ることとする。

(付録2)あなたの手で本を長生きさせよう!!

1992年7月20日

あなたの普段のちょっとした心遣いが本の命を何倍にも延ばします。考えてみればあたりまえのことなのについ忘れがち名こと、めんどくさいこといろいろありますよね。でも私たち図書館で働く一人一人が次代に本を伝える使者であること、忘れないで。

① 食べ物、飲物は本の大敵

カビ、シミ、ムシの原因になります。

  • 食後(もちろんおやつのあとも)は必ず手を洗うこと。砂糖や果物の汁のついた手で触るなんてもってのほか
  • 食物はできるだけ本から遠くに置きましょう。こぼしてからでは遅い。

② 酸性紙、金属も本の大敵

変質、変色して接触している部分の紙をいためます。見たことありませんか、はさみ紙の後が黄色くなった本や、さびたホチキス。

  • 蔵書印を押した後のはさみ紙は朱肉が乾いたら必ず抜き取ること。書庫に配本する前や、出納・貸出のときに、本の間に残っていたらその場で抜き取りましょう。
  • 広告や葉書など不要なものも抜き取りましょう。ただし、付録や資料など大事なものもあるから、内容を確かめることを忘れずに。
  • 月報や訂正表など資料に添付するものは中性の糊で本に貼りあわせること。あとでさびてしまうホチキスやクリップは使わない。

③ 取扱いは本にやさしく

本を下敷きにして字を書かない。表紙についた字のあとは消しゴムでは消せません。

  • アンカットのページを開くときはペーパーナイフで。
  • 目印のためにページの角を折ったり、筆記具を挟んだりしないこと。まさか、ページをめくるとき指につばをつけたりする人はいませんね。
  • 本を開いたままにするために他の本や重いもので押さえる。喉の部分を無理に広げる。本を開いたまま伏せて置く。どれも本の綴じを壊し、あとでページや表紙がとれる原因です。
  • 机の上で本をすべらせないこと。

④ 配架は本に無理をさせないで

余計な力や重さをかけることは本の破損や変形を引き起こします。

  • 書架に本を詰め込まない。数冊の書架送りで済むときは、こまめに本の位置をなおしましょう。
  • 本は書架に垂直に置くのが原則。ブックエンドを使っても自立できないものは寝かせます。
  • ブックエンドにうっかり本を突っ込まないようご注意。
  • 本を取り出すとき、背の一番上の部分に指を引っかけて引っ張りだすのは厳禁。両隣の本を軽く後ろへ押し、まん中に残った本の中央部分をつかんで手前に引っ張るようにします。ちょっと大変だけど背の上の方をボロボロにしないための方法です。