各論 II.主題別基準

0門 総記
1門 哲学、心理学、倫理学、宗教
2門 歴史、伝記、地理
3門 社会科学
4門 自然科学
5門 科学技術
6門 産業
7門 芸術
8門 言語
9門 文学

(注)次の語を用いて収集の程度を示す ①網羅的に収集する、②積極的に収集する、③選択的に収集する、④厳選して収集する、⑤収集しない

(注)1.この基準は専ら和図書を対象とし、逐次刊行物・非図書資料についてはこれを準用する。ただし、特に基準が必要な個所には、適宜挿入する。洋書についてはI.9を参照。
2.順序はNDCの分類番号に従う。 
3.中央館は、4門(自然科学)および5門(科学技術)に関しては、該当の部分を参考にしながら、主として入門書、概論、基本図書を収集する。ただし、以下の分野に関しては、より網羅的な収集に努める-科学哲学、科学史、地球科学、生態学生命倫理、精神医学、工業行政、工業経済、工業地理、生産管理、公害問題、環境工学など。
4.理工学部分館は、学習用図書に関し007(情報科学)・4門・5門および学部カリキュラムに密接に関連する3門・6門の一部について収集する。上記以外(人文科学および社会科学)に関しては、以下の該当部分を参考にしながら主として入門書、概論、基本図書を収集する。また、研究教育用図書に関しては、大学院授業科目を中心に積極的な収集に努める。
*理工学部カリキュラムに対応した理工学部分館内の「理工学部分館学習用図書-理工学関係-収書基準」を別途定める。

  [研究教育用図書] [学習用図書]
0門 総記
  参考図書 → I.15.
叢書、選書、全集、講座 → I.13.
文学部社会情報学研究室との調整に留意する。
1.学問論、研究法、研究生活の回想
  出版点数が少ないため、全体としては網羅的に収集する。
選択的に収集する。 学生の学習意欲を高め、人生の指針となると思われるので、積極的に収集する。
2.図書館
  近年出版点数が増加している分野であり、市販されていないものも少なくないので、見落としのないように収集する。
図書館職員の研修に役立てることをも考慮して、積極的に収集する。 情報学コース以外の一般学生の図書館に対する関心を高めるため、積極的に収集する。
3.情報科学
  a)近年著しく発展している分野なので、蔵書内容が古びないよう絶えず注意して積極的に収集する。
b)情報公害などを扱った、情報化社会に対して批判的なものも収集する。
c)汎用性がない特定機種のマニュアルやそれに類するハウツーものは、原則として収集しないが、先駆的で独創的なものは収集の対象とする。
4.読書法、読書体験記
  厳選して収集する。 学生を書物の世界に案内することを使命の一つとする大学図書館にとって、極めて重要な分野なので、網羅的な収集に努める。
5.書誌学
  図書館と密接な関連があるので積極的に収集する。 学生の書物への関心を高めるため、積極的に収集する。
6.著作権
  法学の一分野であり、図書館活動と関連が深い主題でもあるので、積極的に収集する。
7.出版
  出版史、出版倫理、検閲、流通などの主題を中心に、積極的に収集する。
1門 哲学、心理学、倫理学、宗教
  文学部の関連する研究室との調整に留意する。
1.哲学
  a)この部門は人文・社会科学の基盤を成すものであり、次の4部門のすべてにわたって特別の配慮を払って収集する-①概論・各論、②哲学史、③哲学者に関する評伝、④哲学者の全集・著作集。
b)西洋哲学に偏ることなく、日本・東洋哲学などにも配慮して収集する。
c)現代思想にも十分注意を払い、蔵書の内容が時代遅れにならないようにする。
2.心理学
  積極的に収集する。ただし、心理療法に関するものなど、実務的なものは選択的に収集する。
3.倫理学
  積極的に収集する。ただし、人生訓、処世訓に関するものは、厳選して収集する。
4.宗教
  a)三大宗教(仏教、キリスト教、イスラ-ム)および神道に関するものは、積極的に収集する。
b)その他の宗教に関するものは、選択的かつ公平に収集する。
c)宗教批判に関するものも収集する。
d)布教が目的のものは収集しない。
2門 歴史、伝記、地理
  この部門も人文・社会科学の基盤を成すものであり、収集に当たって特別の配慮を払う。特に史料(文書、記録)の収集に努める。ただし、高額で特殊な史料の受け入れに当たっては、図書館と文学部史学科研究室との間で調整する。
1.歴史哲学
  積極的に収集する。
2.世界史、地域史、各国史
  第三世界の歴史が手薄にならないよう留意して積極的に収集する。古代史などで新説を主張する著作については、具体的な事実やデータを示しているか、先行の研究結果を引用しているか、著者が専門家であるかなどを吟味の上、判断する。
3.地方史
  公的な機関が編纂し刊行した都道府県史は、網羅的に収集する。多摩地区の地方史は、学内他機関と重複しないように配慮しながら、網羅的に収集する。これら以外も、積極的に収集する。(受贈が可能な場合が少なくないので、市町村段階まで寄贈依頼に努める。) 都道府県段階の概説の類に限って、厳選して収集する。
4.考古学
  選択的に収集する。
5.戦記
  事実に基づいて客観的に記し、史料的価値を有すると判断されるものを収集する。
6.伝記
  積極的に収集する。ただし、宣伝色の強いもの、仮構を交えたものは避ける。
7.地理
  特定の主題と関連のある地理(例:経済地理)→各主題に関する基準
a)地理学の理論・方法・歴史に関するものは、網羅的に収集する。
b)地誌は諸分野の学問の基礎になるので、地図やデータが正確詳細に含まれているか否かに着目して、特定の地域に偏らないように、積極的に収集する。
8.旅行案内
  記述が正確詳細で、研究資料として有用なものに限って収集する。 海外旅行や留学が盛んな現状を配慮して、信頼できる内容のものを数種類セットで備える。内容が古びないように更新に留意する。
3門 社会科学
  最も利用者が多い分野なので、研究書、入門書、概説などを遺漏のないように収集すると共に、法令・判例集、議事録、統計などの資料が研究活動にとって不可欠であることに留意して、入手経路の開拓に努めながらかつ研究所と調整しながら、積極的に収集する。
1.社会評論(304)
  話題図書の類も含めて、積極的に収集する。
2.社会思想(309)
  あらゆる立場の社会思想を積極的かつ公平に収集する。
3.政治(310)
  a)議会政党の出版物:各党の綱領およびその解説、機関紙誌、重要な時事問題(例:消費税、東欧情勢など)に関する政策・見解を述べた冊子を選択的かつ公平に収集する
b)選挙に関する資料:統計や調査を中心に収集する。
c)議会資料:本会議の議事録、委員会の記録、審議会の記録など、国会の立法過程における資料を中心に収集する。
d)政治家の著作:理論的なものあるいは正確に事実を記録することに努めた回顧録、メモ、書簡集、日記を中心に集める。宣伝色の強いものは避ける。
e)人権に関する図書:本学構成員の人権に関する意識を高めるため、積極的かつ公平に収集する。
4.法律(320)
  法改正に伴う改版が頻繁に行われる点に注意し、かつ旧版の除架を漏れなく行う。
実務書や手続書は、研究・教育や学習に必要なものを、厳選して収集する。
  a)研究書、法令集、条約集、判例集、裁判記録を積極的に収集する。
b)草案、審議記録など、法令類の成立過程に関する資料を選択的に収集する。
c)条例集、通達集を選択的に収集する。
基本書(入門書、概説書)、注釈書、問題摘出・論点解説書、判例研究書・解説書、演習書を中心に、積極的に収集する。
5.経済・財政(330/340)
  a)近代経済学とマルクス経済学の別なく、公平に収集する。
b)統計類を他の分野にも増して、積極的に収集する。
c)利殖に関するものは、原則として収集しない。
6.経営(335/336)
  a)経営者の伝記、特定の企業体を扱った著作:データや事実に基づいたものを収集し、心情的、宣伝的な内容のものは避ける。
  b)社史:
寄贈されたものは、原則として必ず受け入れる。それ以外のものは、企業研究所と調整してどちらか一方で収集するようにする。
収集しない。
7.教育(370)
  文学部教育学研究室・心理学研究室との調整に努める。
a)書名のみでは内容の推測が困難なものが多いが、それらについては主として見計らいによって選び、書評調査によって補う。
b)大学・高等学校・中学校に関するものを主として収集し、初等・幼児教育に関するものは、厳選して収集する。
c)大学に関するものは、文部省、各研究機関、各大学の刊行物を中心に積極的に収集し、なるべく書庫と開架図書室とで重複させる。
d)授業技術に関するものは、厳選して収集する。
e)その他
大学史を寄贈依頼によって積極的に収集する。

実践記録、回想録、時事的な問題(校則など)を扱ったものについては、選択的に収集する。
8.民俗(380)
  理論的な著作と学術的な調査報告を、積極的に収集する。
9.就職
  収集しない。 職業選択上の指針となるものを選択的に収集する。個々の社の宣伝的色彩が強い案内の類は、収集しない。
4門 自然科学
  a)数学、物理学、化学、生物学、地学に関しては、網羅的に収集する。
b)医学、薬学に関しては、原則として収集しない。
c)ハンドブック、データ集、専門辞典などの参考図書は、可能な限り書庫と開架図書室とで重複させる。
5門 科学技術
  コンピュータ関係 → 0門 3.情報科学
a)土木、精密機械、電気、工業化学、管理工学に関しては、網羅的に収集する。
b)現場で使用する実用書は、収集しない。
c)ハンドブック、データ集、専門辞典などの参考図書は、可能な限り書庫と開架図書室とで重複させる。
6門 産業
  3門 社会科学 5.経済・財政、および5門 科学技術の基準を適用する。
7門 芸術
  a)本学には芸術専攻の学部、学科がないため、この分野の蔵書が不十分になりがちなので、特に基本的なものの収集に遺漏がないように留意する。
b)芸術に関する図書が、理論(技法、芸術教育を含む)書、芸術史、芸術家論(評伝)、作品論、作品の5つに大別されることに着目して、以下のような基準で収集する。
1.芸術全般(700)
  芸術哲学や芸術史に関する図書を中心に収集する。
2.美術、写真(710/748)
  定評のある画家・写真家の作品集や評伝を、研究教育用と学習用との間で調整しながら収集する。新刊の個々の写真集については、原則として書評の対象となったもののみを収集する。
  絵画・写真の技法に関する入門書を収集する。
3.漫画(726)
  古典としての評価が定まっていて、史料的価値のあるものに限って収集する。 次のものに限って収集する。
a)漫画史上の傑作として定評のあるもの。
b)一括購入する文庫〔(I.14.a)を参照〕に収録されているもの。
4.印刷(749)
  図書館や書誌学と密接な関連があるので、積極的に収集する。 学生の書物への関心を高めるために、積極的に収集する。
5.工芸(750)
  工芸作品の写真集を中心に、選択的に収集する。
6.音楽、演劇、映画(760/778)
  選択的に収集する。 関心をもつ学生が多いと想像されるので、積極的に収集する。
7.大衆演芸(779)
  史実や調査に基づく研究書を選択的に収集する。 厳選して収集する。
8.スポーツ(780)
  特に新しい種目やルールに注意を払う。
  保健体育専門図書費による収集と重複しないよう、厳選して収集する。 定評がある出版社の多巻ものを数セット備える(更新に留意する)。
9.諸芸、娯楽(790)
  茶道などを中心に、厳選して収集する。
8門 言語
  以下のように、抽象度の高い順に4区分して収集する。文学部専門図書費や語学関係図書費による購入図書との重複に留意する。
1.言語哲学、言語理論(801)
  言語は思想や文学と密接な関連をもち、その哲学や理論に関する図書は極めて重要である。また、この分野には次々に新しい理論が登場するので、その動向に遅れないように注意して、研究者や学生の関心に応じられるような蔵書内容を維持しなければならない。なお、語源に関する図書については、具体的な事実やデータを示しているか、先行の研究成果を引用しているか、著者が専門家であるか等を吟味の上、判断する。
2.個々の言語に関する研究書(810/899)
  対象とする言語を問わず専門的な研究書を積極的に収集する。 英・独・仏・露・西・中国・朝鮮語に関して基本的な研究書を収集する。
3.個々の言語に関する学習書(810/899)
  右欄以外の言語に関するものを収集する。 英・独・仏・露・西・中国・朝鮮語に関して、辞書、読本、文法書、会話集などを収集する。辞書は全蔵書中特に損傷が甚だしいので、絶えず注意して頻繁に買い替えや複本の購入を行う必要があり、特に年度末には新学期に備えて必ず点検する。また、外国人学生にも配慮して収集する。
4.話し方(809)、文章作法(816)
  厳選して収集する。 話し方に関する図書は、数多く出版されている反面、その水準はあまり高いとは言えないため厳選して収集する。
文章作法に関する図書は、学部のカリキュラムにも含まれているなど、学生にとって重要な課題なので、網羅的に収集する。
9門 文学
  7門と同じく、理論(作法、文学教育を含む)書、文学史、作家論(回想録を含む)、作品論、作品の5分野から成ることに着目して、次のような基準で収集する。文学部文学科の各研究室との調整に留意する。
1.全般
  a)文学理論(901):全体としては網羅的に収集する。
  b)作品作法  
  収集しない。 選択して収集する。
  c)世界文学史(902):全体としては網羅的に収集する。
d)世界文学全集(908):標準的なものや編纂方針に特色があるものを収集する。体裁が異なりながら内容が同一なものを購入しないように注意する。
2.児童文学(909 他)
  個人作家の全集などを厳選して収集する。 原則として次のものを収集する。なお、児童文学に関する図書を刊行する出版社は数少ないので、それの出版物の把握に努める。
a)定評ある賞の受賞作品(絵本を含む)
b)児童文学史上の重要な作品(絵本を含む)
c)入門書、概説書、基本的研究書、叢書
3.日本文学(910)
  a)日本文学全体に関する研究及び文学史:全体としては網羅的に収集する。特に、講座類は必ず収集する。
b)作家論、作品論:選択的に収集する。
  c)作品
  i)個人の作品(集)
既に評価が定着している物故した作家の作品に関して、定評ある研究者や作家が関与したテキスト、注釈、現代語訳を収集する。(全集、叢書に収録されていても収集することがある。)
ii)個人全集・選集:積極的に収集する。
iii)多数作家の作品集(叢書):網羅的に収集する。
i)昭和以前の代表的な作家、作品については、文学史年表などを参考に、選択的に収集する。
ii)現在活動している作家については、原則として、以下の書評誌・紙や賞の対象作品に限定して収集する。
ア)書評誌・紙名
・『文学界』など
・新聞(読書人、図書新聞、朝日、毎日、読売、日経、産経)
イ)作品賞名
文学賞などの中から選書委員会で決定したものを収集する。
  iv)その他
  ア)戦記:2門5.を参照。
イ)推理小説、大衆小説、時代小説など
  原則として収集しない。 受賞作品、作品年鑑(年間の代表作を収録したもの)および一括購入する文庫〔I.14.a)を参照〕に収録されているものに限って収集する。
4.外国文学(920/990)
  3.に準ずるが、近年アジア・アフリカ・ラテンアメリカ文学の翻訳、研究書の出版が盛んであることに留意し、特定の言語の文学に偏らないように収集する。