2020.12.18

オンラインだからこそ得られるチャンス
コロナ禍と対峙~学生記者が寄稿

文/法学部3年 山口真歩

  • 中大ニュース
  • きょう・あした

社会に未曽有の状況を引き起こしている新型コロナウイルス。中大生の学生生活にもさまざまな影響が生じています。「HAKUMON Chuo」の学生記者が、悩みや、苦労する中での新たな発見、日々感じていることなど、率直な思いを記しました。

年前は、まさか大学が空っぽになるなんて、全く予期していなかった。

吐く息の白い朝、かじかんだ手でアパート下の収集場に八王子市指定の青いごみ袋を捨て、六法と教科書でやたら重い荷物を背負い、自転車にまたがる。立ち漕ぎをしながら坂道を登ってゆくと、冷たい風で指の感覚が麻痺する。手袋をすればよかったと少し後悔し、やっとのことで坂を登りきる頃には、心臓から熱い血液がバクバクと流れる鼓動を感じる。駐輪場に自転車を止め、青になった横断歩道を学生集団に紛れて渡る。

美しい曲線を描くラバーズヒルを左手に、8号館の大教室へと向かう。今日は8201だったか、8204だったか…。出かける前に確認したはずなのに、再びスマホを開き確かめる。

消えたドキドキ感

学生記者の山口真歩さん

もう、ちらほら学生が着席している。レジュメに目を落としながらパンをかじっている者、友人にノートを見せてもらっている者-。1限はまだ暖房が十分に効いていないのでコートは脱がずに着席し、鞄から教科書を引っ張り出す。チャイムが鳴るか鳴らないかという頃に、教員が教壇に現れ、マイクの準備を始める。今日の第一声は何だろうか、出席は取るのだろうか、試験範囲はいつ発表してくれるのか…。

こうした、学生時代ならではのドキドキ感は、消えてしまった。

今は、授業開始時間になったらWebexやZoomのミーティングルームに入る。または空いた時間に録画動画を視聴する。ボタンを押して始まり、そして終わる。春学期の混乱を経て、学生も教員もオンライン授業やデバイスの使い方に慣れてきた。チャットなら質問をしやすく、移動時間と交通費も節約できる。メリットはそれなりにある。

とはいえ、本来だったら行えるはずのゼミ活動、サークル活動、課外活動、留学…。出会えていたかもしれない友人、先生、仲間…。人と交流する機会が減ってしまったことを残念に感じている学生は多いだろう。暗い話題や悪影響に目を向けがちではあるが、本稿ではオンラインならではの良い点も取り上げたい。

可能性高まった著名人と直接会話の機会

私は最近、対面では可能性は低いが、オンラインならチャンスが格段に高まる、ある事柄に気が付いた。それは著名人や講演者、社会の最前線で活躍する人と直に話す機会である。

先月、私は学生向けのとある講演会にZoomで出席した。複数の講演者はどなたも素晴らしい経歴を持ち、さまざまな業界で活躍されている方々だった。講演終了後に座談会があり、15人ほどのグループに分かれて15分間の質問タイムになった。

このときの話者は、業界で有名な40代の経営者。「質問がある方はどうぞ。何でも答えますよ」。学生2人が質問し、残り約5分となったとき、私はミュートを解除し、思い切って質問した。詳しい内容は控えるが、私の質問に沿って話してくれた言葉に多大な勇気をいただいた。

この例のように、オンラインならば普段は絶対に会えないだろうという人と話すことができる。そのチャンスは従来のような対面型の講演会よりも、格段に高い。その理由は3点ある。

まず、オンラインでは発言した者、質問した者が最優先されるということ。次に、他人の目を気にする必要がない。終了後、退室ボタンを押せば再び自分の世界に戻る事ができる。最後に、時間とお金の心配をする必要がほとんどないということだ。

そして、実際に話したという体験、感動は、自身の考え方や今後の行動の仕方をより良いものに変える力になるだろう。

「前向きに」「何でも楽しむ」

多摩キャンパス6号館からの風景

先日、久々に足を踏み入れた多摩キャンパスは静まり返っていた。セントラルプラザ(図書館と食堂の間)で音楽に合わせて練習していたダンスサークルの姿はなく、人でごった返していたヒルトップ(食堂)は真っ暗で、銀行のATMに並ぶ学生の列はなかった。

以前の大学生活と違うが、こんなとき、思い出す言葉がある。

A pessimist sees the difficulty in every opportunity; an optimist sees the opportunity in every difficulty. -Winston Churchill

今できることは、目の前にある機会を大切にすることだと思う。「オンライン化」という社会の流れは、私たち学生にとって大きなチャンスである。

いつかまた活気あふれる大学で、懐かしい友人たち、先生方に再会できる日を待ち望みながら、きょうもパソコンで授業を聴く。講演会では、少し勇気を出して質問してみる。

こうした学生生活も、見方によっては、とても貴重かもしれない。大切なのは、物事を前向きに捉え、何でも楽しむことなのだと考えている。

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