2022.08.04

『コロナ禍の困難とオンライン留学が繋げたスクールロイヤーへの志』
奨学支援論文賞 最優秀賞に佐々木望恵さん(法2)

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中央大学が実施した「コロナ禍に負けるな!戦う中大生の未来を拓く奨学支援論文賞」の最優秀賞に、法学部2年(受賞当時1年)の佐々木望恵(もえ)さんの論文『コロナ禍の困難とオンライン留学が繋げたスクールロイヤーへの志』が選ばれた。「最優秀という名前の賞をいただいたのは初めてです。驚きましたが、徐々に実感がわきました」と喜びを振り返っている。

「前を向いていることを示したい」

論文中には、進学すること、法律を学ぶことなどに対する佐々木さん自身の真摯な思いが表れた言葉や表現がいくつもある。

 

コロナ禍の中で過ごした高校3年の受験の時期、部活動の最後の大会も中止になり、虚無感の中で受験勉強をしていた。中学を不登校となり、高校受験を控えて家にこもりがちな妹のことも心配で、両親を含めた家族の心は不安定だった。

 

唯一の救いは「自由」を思い描いていた大学に、あと数カ月で入学できるだろうということ。第1志望ではなかった中央大学に進学すると決めた2021年春、自らの意思で浪人の道を選ばなかった当時の胸の内を次のように記している。

 

《不安を抱えた家族に対して、私は前を向いていることを示したいと思ったのです。都合の悪いことの責任をコロナに全て持たせるのは、正しくないと考えます。(中略)私にとっての困難は、自分と家族の状況について心の平穏が保てなかったことです》

 

大学で法律を学びたいと思った理由の根底には、「正しい道を歩んでいきたい」という中学時代からの熱い思いがあった。「正しいことに対する“執着”から、正しいことと、正しくないことの線引きを学びたいと思っていたんです」。当時から憲法に関する本を読むなどしていたという。

夏休みのオンライン留学が“転機”に

学生研究棟「炎の塔」

論文は、高校時代から力を入れて学んでいた英語に関する記述へと続く。法学部の「やる気応援奨学金」制度を活用して夏休みに4週間のオンライン留学をした経験から、秋学期の英語の学修により前向きに取り組めるようになり、先輩との会話の中で、「スクールロイヤー」という言葉を知ったという。

 

妹が家にこもりがちになった理由はわからないままだが、佐々木さんはいじめや不登校について強く問題意識を持つようになっていた。そして、スクールロイヤーについて先輩から話を聞き、インターネットで調べたりするうちに、「将来、自分の中心にしたいことはこれだ」と確信を持つようになる。

 

スクールロイヤーになるのに、現状で教員免許は必要ではない。しかし、学校や生徒の問題を把握し、解決するには、生徒の心理状況や学校現場、教員についての深い理解、専門的な知見も必要だと考えており、教員免許の取得も目指している。そう決意した2021年12月から法曹の道を目指す学生の研究棟「炎の塔」入室に向けて勉強を始め、今年3月に入室試験に合格した。2022年度からは教職課程の科目も履修している。

「やるべきことを見つけられたことがとてもうれしい」

 

法律の学修と教職課程の両立で目まぐるしい日々を送りながらも、「やるべきことを見つけられたことがとてもうれしい」という。

 

「有言不実行は好きではないし、論文の中で目標を掲げたからには手は抜けないと背筋が伸びた」。教職課程には卒業要件ではない科目もあるが、「最優秀賞の受賞は、頑張っていく糧になった」と励みにしている。

 

佐々木さんは、論文を前向きな決意で結んでいる。

 

《この1年間は、まさに点と点を線で「自由に」繋ぐような1年でした。様々な経験はどのような結論になるかは分からない、ということを実感できたのです。(中略)スクールロイヤーという1つの答えを出すことができたのは、コロナ禍の今だからこそ達成できたことだったのだと思います。(中略)今では中央大学に入学できたことがとても嬉しく、強く誇りを持っています。来年度(注・2022年度)は、大学で過ごす時間も増えるでしょう。大学に自分の居場所を見つけられるように、そしてその場所で、大学でようやく見つけることができた自分の夢を叶えるために、精一杯の努力をします》

最優秀賞の佐々木望恵さんの論文と、優秀賞3編などはこちらから読むことができます。

https://www.chuo-u.ac.jp/visitor_alumni/homecomingday/news/2022/03/58658/

佐々木望恵さん

 

ささき・もえ。千葉・市川高校卒、法学部法律学科2年。奨学支援論文賞に応募した理由を尋ねると、「きれいな文章に心ひかれます。もともと文章を書くことが好きでしたから」と答えた。性格は「おっとりしているとよく言われるんですが、本当は誰よりも負けず嫌いです」。中大のサークルでは体操愛好会に所属している。

 

 

 

 

スクールロイヤー

 

教員やスクールカウンセラーらと連携しながら、学校で生じるさまざまな問題について、弁護士の立場から助言を行う。文部科学省は2020年度以降、本格的に相談体制の整備を進めている。

コロナ禍に負けるな! 戦う中大生の未来を拓く奨学支援論文賞

 

第30回中央大学ホームカミングデー特別奨学支援事業として実施された。2020年初めから続くコロナ禍にあって、経済的な困難や修学環境・学生生活の急激な変化に見舞われながらも、懸命に学修などに取り組んでいる現状に関する論文を2021年11月~2022年2月に募集した。中央大学の学部(通信制課程を含む)、大学院、専門職大学院に在籍する学生が対象。課題テーマは「コロナ禍に生きる私、コロナ後における世界の展望と私の未来」(4000字以内)で、174編の応募があった。

 

ホームカミングデー運営委員会で組織した審査委員会による厳正な審査の結果、最優秀賞のほか、優秀賞3編、奨励賞4編、特別賞23編などを決定した。この特別奨学支援事業は、「新型コロナウイルス対策支援奨学金募金」の趣意に沿って実施され、副賞(奨学金)は中央大学学員会(同窓会)から同募金への寄付を財源としている。

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