2024.12.11
準硬式野球部が8月の第76回全日本大学準硬式野球選手権大会で13回目の優勝を飾り、一番の目標に掲げている大会で8年ぶりに頂点に立った。主力プレーヤーとして優勝に貢献した相野七音(なおと)選手(文3、新主将)、岡部匡十(まさと)選手(経済2)の2人に、勝因や一球にかける思い、新チームの目標などを尋ねた。
1回戦の相手が2022年、2023年と同じ全日本の舞台で敗れた因縁の日本大だった。「意地でも勝つ」(相野選手)と気合十分に挑んだ対決で、2人がグラウンドで躍動した。
左翼手の相野選手は四回裏二死二塁のピンチで、自身の前にふらふらっと上がった打球を飛び込んでキャッチし、相手の追加点を阻止。「泥くさいプレーができた」と振り返り、小泉友哉監督も「ピンチを救ってくれた」と称えた。
六回表、今度は岡部選手が二死一、二塁の反撃機で左前適時打を放ち、試合を1ー1のふりだしに戻す。「前の打席でチャンスを逃していた。絶対に(ランナーを)かえそうと思っていた」と岡部選手。塁上からベンチの仲間に向かってガッツポーズを繰り返した。
日大に3-2で競り勝ち、波に乗ったチームは頂点に駆け上がった。相野選手は準決勝の愛知大戦でも、同点の左越え二塁打を放つなど、劣勢のチームをもり立て、活躍が光った。
準硬式野球部は選手32人全員が寮生活で寝食を共にしている。他大学では見られないという全寮制は選手間に強い絆を生み、練習メニューも選手同士で考える。相野選手は「ワンプレー、一球を大切に、試合でのミスはもちろん、練習で出たミスも妥協せず、とことん原因を追究する」と語り、全員が野球に厳しく取り組んでいるという。
そうした姿勢の積み重ねが、今春まで9季連続の東都リーグ制覇というたくましさ、伝統の力を培ってきた。全日本前、恒例の秋田での夏合宿も、実戦に即したノックや連係プレーなど、選手が自主的にメニューを決め、全日本の戦いにつながる内容の練習を意識したという。
中大に入り、プレーヤーとして伸びた点を2人に尋ねると、「走塁。足の速さは(高校時代と)変わらなくても、先の塁を狙う一瞬の判断力が養われた」(相野選手)、「選球眼が向上し、四球を多く選べるようになった」(岡部選手)と教えてくれた。
リーグ新記録となる10季連続優勝を目指した東都秋季リーグは2位(9勝4敗)で惜しくも快挙を逃した。相野選手と岡部選手は「2025年は全日本連覇とともに、『10季連続』の一歩目となるリーグ優勝を無敗で果たしたい」と意気込む。相野選手は「キャプテンとして常にナインのことを考えながら、チーム優先で取り組んでいく」と来季を見据えている。
相野七音選手
あいの・なおと。岩手・花巻東高卒、文学部3年。171センチ、71キロ。右投げ右打ち。左翼手。秋からの新チーム主将。2024年東都秋季リーグ・ベストナイン。
負けず嫌いな性格で、「どれだけ自分が活躍してもチームが負けては何にもならない」と話す。高校時代の監督にかけられた「失敗が一番の成功への道」という言葉を常に胸に留めている。
岡部匡十選手
おかべ・まさと。佐賀商高卒、経済学部2年。175センチ、69キロ。右投げ右打ち。捕手。2024年東都春季リーグの首位打者(打率.409)、ベストナイン。
捕手としては相手打者の心理面を揺さぶる「ささやき戦術」が得意。「投手の良さを引き出すリードに長けている」と、小泉友哉監督の信頼も厚い。
文部科学大臣杯
第76回全日本大学準硬式野球選手権大会
(2024年8月24~28日、佐賀県立森林公園野球場ほか)
〈決勝〉
九州産業大 000 100 000-1
中央大 010 001 00X-2
〈準決勝〉
愛知大 100 000 000-1
中央大 010 033 00X-7
〈準々決勝〉
同志社大 000 000 000-0
中央大 002 000 00X-2
〈2回戦〉
中央大 020 100 001-4
徳島大医学部000 000 100-1
〈1回戦〉
中央大 000 001 101-3
日本大 001 000 001-2
優勝カップを手にする相野七音選手(左)と岡部匡十選手