2023.12.21
学生記者 近藤陽太(経済3) 影原風音(文3) 谷井花蓮(総合政策3) 金岡千聖(商1)髙橋来佳(文1)
2024年1月2、3日の第100回箱根駅伝(東京・大手町ー箱根間、往復10区間、217.1キロ)を前に、中央大学陸上競技部長距離ブロックの藤原正和監督とエントリー16選手のうち15人が12月15日、多摩キャンパスで記者会見を行った。
藤原監督は「一年間、目標に掲げてきた総合優勝をぶらさずに目指したい」と抱負を語り、総合優勝に向けて「選手層を厚くすることと、スピード強化などエースクラスの選手がもう一段、成長できるよう集中して取り組んだ」とこの一年を振り返った。中大は前回の99回大会で総合2位となった。総合3位以内の表彰台の一角を占めたのは77回大会以来。
記者会見は怡土(いと)涼香主務(4年)が進行役を務めた。エントリーされた園木大斗選手(4年)は授業のため欠席した。
藤原正和監督
記者会見は多摩キャンパス「FOREST GATEWAY CHUO」3階ホールで行われ、報道関係者約50人が出席した。
レース展開を問われた藤原監督は「往路3区までは混戦と予想している。4区あたりでアドバンテージを得たい」と見通しを語り、山上りと山下りの5区、6区も「良い走りをしてくれる」「十分に計算が立つ」と、それぞれ信頼する選手を起用する考えを明かした。
一番のポイントとなる区間に7区を挙げた上で、「7区以降が大きな勝負の場になる。7区からヨーイドン(の勝負)になるのではないか」と続けた。さらに「どの区間でストロングポイントをつくれるかが一番重要。混戦を抜け出す配置を考えたい」と述べ、「一番差がつきやすいと思っている7区、8区の人選(配置)が大事だ」と強調した。
目標の優勝に届かなかった10月の出雲駅伝(7位)、11月の全日本大学駅伝対校選手権(4位)に関しては、「(選手たちは)優勝を目指すことがどれだけ大変かをわかってくれたと思う。力がないのではなく、チームは階段を上がっている段階。2つ(の大会)で得たことを箱根で生かしてほしい」と振り返り、チームのさらなる成長に期待感を表した。
湯浅仁主将
出雲と全日本でともに区間2位と好走した湯浅仁主将(4年)は「目標には届かなかったが、コンディションを合わせられなかったり、優勝のプレッシャーだったりと、気持ち的なところが良くない走りにつながったと思っている。(チームに)力がないわけではない」と語り、箱根駅伝に向けて「コンディションを合わせて、優勝だけを考えて一人ひとりが向かっていけるような声かけや、手本となる行動を心がけたい」と前を向いた。
エースの吉居大和選手(4年)は、区間11位だった全日本の後に出場した八王子ロングディスタンス(10000メートル)で自己ベストを更新した。会見では「全日本では思うような走りができなかったが、八王子ロングディスタンスでは手ごたえのある走りができた。(調子は)この時期としては百点の状態にある」と自信を口にした。
もう一人のエース、中野翔太選手(4年)も「1年生の頃からの目標の100回大会優勝という言葉をしっかり意識したい」と決意を語った。
吉居大和選手
中野翔太選手
記者会見で、エントリー15選手がそれぞれに語った意気込みや抱負、走りたい希望区間は次の通り。(選手名の後ろのカッコ内は学部・学年)
湯浅仁主将(経済4)
新チームが始まって、ずっと箱根駅伝優勝を掲げてきた。優勝してよい形で4年間を締めくくりたい。いっぱいテレビに映ることができるので希望区間は1区です。お世話になった人に感謝の気持ちを伝える箱根駅伝にしたいと思っている。
中野翔太選手(法4)
個人、チームともに良い結果で1月3日を終えられるよう頑張りたい。“花の2区”を走りたい。エース区間で結果を出したいという思いがある。最後の箱根をしっかり頑張りたい。
吉居大和選手(法4)
100回大会の優勝を目標にやってきた。優勝して笑って卒業できるよう頑張りたい。希望区間は2区。前回も走ったエース区間を今回も走りたい。区間新記録を狙います。
阿部陽樹(はるき)選手(文3)
個人としてはしっかり区間賞を取り、チームの総合優勝に貢献したい。希望は6区以外の復路区間。優勝をたぐり寄せるような走りをして活躍したい。
浦田優斗選手(経済3)
出雲駅伝(1区に出走し区間13位)では悔しい走りになってしまった。箱根ではチームの総合優勝に貢献できる走りをしたい。希望区間は6区。理由は下りのスピード感が好きだからです。6区を走ったら、前半から攻めの走りをします。
山平怜生(れい)選手(法3)
前回はぎりぎりで10人のメンバーから外れて出走できなかった。今回は出走してチームに貢献したい。希望区間は10区です。長い距離(の練習)をしっかりやってきたので自信がある。優勝のゴールテープを切りたい。
阿部陽樹選手
山平怜生選手
伊東夢翔(ゆめと)選手(経済2)
チームの総合優勝のため自分のやってきたことを出し切りたい。希望は8区です。平地も上り、下りもとくに苦手はない。8区は後半にきつい上り坂があり、そこで自分の持ち味が生かせると思います。
白川陽大(ひなた)選手(文2)
総合優勝に向けて練習に取り組んできた。その成果を出せるよう頑張りたい。希望は8区か9区。この夏からずっと長い距離の練習をしてきて、自信はある。
溜池一太選手(文2)
三冠という目標を掲げながら、出雲駅伝、全日本(大学駅伝対校選手権)で非常に悔しい思いをした。最後の箱根ではしっかり結果を残したい。希望は1区です。前回は区間賞を狙って1区に出走したが区間5位と悔しい思いをしたので、リベンジしたい。
吉居駿恭(しゅんすけ)選手(法2)
チーム目標に貢献できるよう精いっぱい頑張る。(希望区間は)5区、6区の山(の上り、下り)以外、どこでもいい。監督が7区を重要な区間と挙げているので、力になりたいという意味で7区を走りたい気持ちはあります。
吉中祐太選手(文2)
一年間、箱根駅伝優勝を目標に掲げて練習してきた。走りでチームの総合優勝に貢献できるよう頑張りたい。希望は、自分の長所を生かせると思う7区、9区です。
吉中祐太選手
本間颯選手
佐藤蓮選手(法1)
まずは出走を目標に、チームに貢献できるよう頑張りたい。希望は6区です。下りが得意だという思いがあるので、6区を走って自分の長所を生かせたらいいと思っています。
柴田大地選手(文1)
1年生らしく勢いのある走りでチームの総合優勝に貢献したい。希望は1区です。(先頭で襷をつなぐことで)一番、区間賞が分かりやすいですし、区間賞を狙って走れればと思います。
本間颯(はやて)選手(経済1)
チームの総合優勝に貢献できるような走りをします。希望区間は、(吉居)大和さんの前後がいいです。大和さんと走れる最後の箱根なので、大和さんに襷(たすき)をつないだり、渡されたりしたいので、大和さんの前後がいいです。
山﨑草太選手(文1)
チームの総合優勝に貢献できるよう頑張りたい。希望は5区です。自分は上りが得意なので、強みを一番出せる区間だと思うからです。
記者会見に先立ち、中央大学応援団が選手たちにエールを送り激励した
会見場の「FOREST GATEWAY CHUO」3階ホールには多くの報道陣が詰めかけていた。前回の総合2位という実績から中央大学への注目度の高さを感じた。街を歩けば書店に並ぶスポーツ雑誌の表紙に白地に「C」の文字が躍っている。
1996年の第72回大会以来の総合優勝を狙う中央大学は、箱根駅伝に第2回大会から出場し、歴代最多出場と最多優勝を誇る伝統校である。藤原正和監督は以前から節目の100回大会での総合優勝を目標に掲げてきた。三が日を前に、監督と選手たちの意気込みを聞けるということで私の胸は高鳴っていた。
印象的だったのは、チームを率いる藤原監督の「伝統校ではあるが、新しい中大をつくる」という言葉だ。伝統校にはファンらからのプレッシャーが大きくのしかかる。結果が出ないと厳しい声を浴びせられることもあるかもしれない。
しかし、藤原監督は「中央大学だからではなく、今のチームだからできることを」と学生たちを思いやった。チームに温かい空気を感じたのはそのせいだろうか。監督や選手の顔にも時折、笑顔がのぞく。自身も中央大学のランナーを経験した藤原監督ならではの優しさに、私は胸を打たれた。
4年生のまなざしには、最後の駅伝への並々ならぬ決意を感じた。最上級生として100回大会を迎えることをわかって入学し、優勝に向けて練習を重ねてきた世代だ。ただ、最初の一年間をコロナ禍が直撃するなど、当初は思い描いた大学生活ではなかった。一瞬でもマスクを外せば、冷ややかな目を向けられていたときに、陸上競技の練習が不自由を迫られたことは想像に難くない。
湯浅仁主将は「練習をしていても、よく思われない時期があった」と振り返る。毎日、走ることが部活動なのに走れないというもどかしい現実に、私がコロナ禍で感じたよりも何倍も心を痛めたに違いない。だからこそ、総合優勝への思いは強いだろう。
レース展開を問われた藤原監督は「往路は混戦。4区でアドバンテージを得て、復路7区以降が勝負」と話した。前回の復路は先頭を行く駒大を中大が追う展開が続いたが、今回は中大がトップを独走する姿を見たい。登録メンバーは決して他大学に引けを取らない。これまで安定感のある走りを見せてきた上級生に加えて、アメリカでのトレーニングを積んだ本間颯(はやて)選手や柴田大地選手(ともに1年)に代表されるフレッシュな顔ぶれもそろった。
会見では自分の適性を見極めて希望区間を口にする選手が多かったのも印象的だった。力のある選手が多く、藤原監督も選手の区間配置にうれしい悩みを抱えているようだった。
藤原監督が目指すのは「次の100年に向けての最初の優勝」。真紅の歴史を再び動かす準備は万端だ。出雲駅伝、全日本大学駅伝対校選手権とチームは着実に階段を上ってきた。この2つの経験が糧となり、箱根での成果となって表れるだろう。
湯浅主将は「いっぱいテレビに映れるので、1区を走りたい」と笑顔を見せた。しかし、私は全区間で先頭を走り続け、テレビに映り続ける中央大学の姿を期待している。
(左から)記者会見で進行役を務めた怡土涼香主務、吉居大和選手、湯浅仁主将、中野翔太選手。4人とも4年生だ
100。この数字から何を連想するだろうか?
「100点満点」「1世紀」。キリの良い数字に私は何か縁起の良さを感じている。お正月の風物詩といわれる箱根駅伝は2024年で第100回の開催を迎える。記者会見で、大会に向けて意識を高める選手たちの姿を目の当たりにして、箱根駅伝の「総合優勝」が彼らにとって何よりも欲しい“勲章”であると私は強く感じた。
偶然か必然か、「100」をローマ数字で表すと「C」である。私にはこれがCHUOのCにも思えてきている。
駅伝というと、出走した選手に注目が集まるが、1つの区間の出走者が決まるまでに、選手はもちろん、チームとしても幾多の試練を乗り越えていることに改めて気付かされた。また、「チームの成長」をキーワードに、4年生の姿に着目すると、特に主将とエースの姿がチームの意識を高めることに結び付いたのではないかと感じた。
湯浅仁主将について、藤原正和監督は「初めから実力があったわけではない。コツコツと努力してきたことで力をつけてきた」と、4年間の成長を指摘した。私は、努力を積み重ねてきた湯浅主将が、自分のことよりも優勝を強く意識していた点が印象に残った。「(優勝に向けて)一人ひとりに声かけをしたい」と語る姿には頼もしさを覚えた。
「4年生はそれぞれ個性が強く、うまくまとまるだろうか」という藤原監督の心配は、4年生たちが率先してチームメートと腹を割って話すことで杞憂に終わった。「(最終学年で)この子たち(4年生)もやってやろうと思っているんだな」と、藤原監督も変化を感じ取ったという。
多くのカラー(個性)をチームに還元することは、学年を超えて仲間たちに刺激を与え、全体としての強さにつながったのではないか。4年生で100回大会を迎えること、そして総合優勝への思いがチームを強くする原動力となっていたのかもしれない。
チームの二枚看板といっていい4年生のエースが中野翔太、吉居大和の両選手。「自分たちのやり方は間違っていない」と語り、2人は自信をのぞかせた。まずエースとしてお互いが頑張る姿を示すことで、後輩たちの力の底上げにつながっているのだろう。
選手にとって最大の目標である箱根駅伝。伝統校としての期待やプレッシャーも計り知れない。藤原監督は、中大の駅伝での歴史や伝統を踏まえた上で、「それを重荷とせず、次の100年に向けた最初の優勝を果たして、新しい中央大学をつくりたい」と語った。
会見を通じて、優勝に向けて多くのことを積み重ねてきたチームの総力を感じた。箱根路を駆け抜ける赤いCのマークはきっと自信に満ちあふれているに違いない。私もテレビの前で自信をもって応援したい。
記者会見では報道陣からさまざまな質問が寄せられた=2023年12月15日、多摩キャンパス「FOREST GATEWAY CHUO」
第100回という節目の開催を迎える箱根駅伝で「優勝候補」に挙がるほどの力量を持つ陸上競技部長距離ブロックの選手とチームを率いる藤原正和監督の話を聞き、胸が熱くなった。
会見で、湯浅仁主将の競技に対する真摯(しんし)な姿勢がチームに好影響をもたらしていることがわかった。湯浅主将は入学当初は現在のように目立った選手ではなかったという。しかし、この4年間で成長し、主将としてチームをまとめ、引っ張っていく選手となった。
言われた練習をただこなすのではなく、頭を使って「何のための練習か」を考え、実践してきた。その姿を見た周りの選手が刺激を受け、全体の練習の質が向上したと、藤原監督は話した。主将としての頼もしさは、湯浅主将自身が積み重ねた練習に裏付けられた「自信」だと感じる。
湯浅主将だけではなく、チーム全体も自信にあふれているように感じた。「やってきたことを出すだけ」「自分の走りをできるように」「当たり前のことを当たり前にできるようにする」「戦力はそろっている」など、選手たちの言葉からは自信と意気込み、自分たちがやるべきことに集中している様子を感じ取れた。
選手たちが藤原監督に深く信頼を寄せていることも強く感じた。チームや個々の選手に関する記者からのさまざまな質問に、監督がスムーズに答える様子から、普段から選手一人ひとりをよく観察して、それぞれの現状を理解して把握し、選手のことを常に考えていることが十分に伝わってきた。
湯浅主将は「監督からいただいた言葉から競技に対しての視野が広がり、それが(成長への)転換点となった」と話した。エースの吉居大和選手も「良いこともそうでないことも含め、監督のおかげで思った以上の経験ができた」と、この4年間を振り返った。
会見を通じて、選手一人ひとりにそれぞれストーリーがあり、熱い思いを持って箱根に挑んでいるということに感動した。各選手がそれぞれの強みを生かし、チーム一丸となって一つの目標に向かっていく姿に多くの人が魅了されるのだと感じる。
もう一人のエース、中野翔太選手は1年生の頃はけがばかりで思うように練習ができなかったという。それでも挫折することなく、できることを探し、力をつけてきた。3年生の山平怜生(れい)選手は前回の箱根駅伝でぎりぎりで出走者に選ばれなかったという“11番目の選手”だった。「競技生活で一番悔しかった」と振り返り、その思いをバネに1年間練習に取り組んだ。今回はリベンジを期して挑む。
チーム全員が今までやってきたことを全て出し切り、総合優勝という目標に向かって襷(たすき)をつないでいけることを祈っている。
今回も活躍が期待される吉居兄弟。(右から)兄の大和選手、弟の駿恭選手
記念すべき第100回箱根駅伝が幕を開ける。選手が会見場に足を踏み入れたのを目にした私は息をのんだ。中大の「C」マークが入った情熱の赤色のウインドブレーカーに身を包んだ彼らは報道陣を前に緊張した表情を浮かべつつも、しっかりとした足取りだった。まるで一丸となって箱根路を見据えているかのように―。
「総合優勝を目指して」という藤原正和監督の言葉がやはり印象的だった。前回の総合2位という結果を踏まえ、今のチームに必要なものを見つけ、補っていく1年間だった。チームの雰囲気も変化し、プレッシャーに負けることなく、4年生を中心に個々の意識が向上していったという。
スピードと持久力を上げるため質の高いトレーニングを積み重ねてきた選手たちから、どんな状況でも走り続ける自信が垣間見えた気がする。主将である湯浅仁選手は、今年の出雲、全日本大学駅伝対校選手権でのチームとしての悔しい経験をバネに「箱根駅伝では最高のコンディションで出走したい」と熱い思いを語ってくれた。
監督、選手との質疑応答では、報道陣は選手一人ひとりをクローズアップして、彼らの秘めた思いを引き出していった。少しずつ会場の雰囲気に慣れてきたのか選手たちに笑みが見え始めたのを覚えている。
希望区間を尋ねられると、多くの選手が「チームの力になりたい」「チームに貢献したい」と口をそろえたことから、どの区間を任されてもチームのために全力で走りきる決意が伝わってきて、選手たちの気迫に圧倒された。
中でも4年生の吉居大和選手の「地元(愛知県)の子供たちがあこがれる走りをしたい」という言葉に心を動かされた。吉居選手自身、幼いころから大学駅伝や実業団の駅伝を応援していたことがきっかけで、陸上競技の長距離に興味を持つようになったという。少年時代に抱いたこの感情を今の子供たちにも感じてもらおうと常に意識していることが、夢と希望を与えてくれる存在として慕われている理由なのだろうと感じた。
チームを引っ張る4年生はコロナ禍の影響で思うように練習できないことも多かったはずだ。しかし、藤原監督はこの時期は決してマイナス面ばかりでなく、選手たちにとって周囲の声が届きにくかった分、自分の走りに集中して練習に取り組むことができる時期だったとも振り返った。きっと「ピンチをチャンスに」とはこのことをいうのだろう。
会見で、藤原監督から「中大から世界へ」という言葉も聞かれた。選手たちにとって箱根駅伝や学生生活は1つのゴールではなく、未来に向かう大切なステージなのだと知った。これまで培った経験や力を糧に箱根路を走る選手を心から応援するとともに、将来日の丸を背負うような実力のある選手が誕生することを願っている。
12月15日、100回目の箱根駅伝に向けて、中央大学陸上競技部長距離ブロックの記者会見が開かれた。会見中や写真撮影の際に報道関係者のカメラのフラッシュがたかれ、選手たちの表情から緊張感がじわじわと伝わってくる会見だった。
会見で、選手たちからよく聞かれたのは、「チームへの貢献」という言葉だった。彼らの意気込みから、全員がチームのことを考えて、自分にできることを精いっぱいやっていくという気持ちが伝わってきた。多くの大会での経験を通して、個人個人だけでなく、チームとしても成長しているという。
4年の中野翔太選手は、「チームを助け、勢いを与える走りがしたい」と力を込め、2年の吉居駿恭(しゅんすけ)選手は、「チームのために自分のやるべきことをやる」と意気込んだ。中野選手とダブルエースとして期待がかかる吉居大和選手(4年)は、「来年以降のチームに何かを残せる走りがしたい」と語り、最上級生としてチームの将来を見据えた言葉を発した。多くの選手たちが、視野を広く持って陸上競技に取り組んでいることが伝わってきた。
藤原正和監督も、選手たちのまとまりを評価する。湯浅仁主将(4年)の姿を見て、4年生だけでなく、下級生も「先輩に頼ってばかりではいけない」と成長し、まとまりが生まれていったという。会見後、写真撮影のため設けられた時間では、緊張が解けた選手たちの仲の良さもうかがえた。
湯浅主将は、「箱根は必ず優勝する。十分に優勝できるチームです」と語った。今年の駅伝チームは、出雲駅伝と全日本大学駅伝対校選手権を含む「三冠」を目標に掲げた。その出雲の7位、全日本の4位という悔しい結果を原動力に変えて、チームは箱根駅伝総合優勝への思いをよりいっそう強くしたはずだ。目の前に迫った決戦に向け、選手たちは身体的にも精神的にもベストの状態で挑めるよう、万全の調整を行っている。
藤原監督は、「次の100年に向けての最初の優勝を意識して取り組んできた」と語った。駅伝で長い歴史と伝統を持つ中央大学の選手であることは、プレッシャーにもなり得るだろう。しかし、藤原監督は「伝統が選手たちの重荷にならないよう、新しい中央大学を作っていきたい」と力を込めた。100回目の箱根駅伝にはいつもの年以上に大勢の人が注目しているかもしれない。私も全力を尽くしている選手たちを心から応援したいと思う。