2023.12.04
レスリング部の濱田豊喜選手(法2)が全日本学生選手権大会(8月26、27日、神奈川・横須賀アリー ナ)のフリースタイル97キロ級で初優勝した。「体も大きくなり、フィジカル面での成長が一番の勝因でした」と冷静に振り返り、重量級の中でもとりわけスピード感あふれる戦いぶりで「学生王者」の座を射止めた。
優勝の瞬間、気持ちの高ぶりから思わず出たというガッツポーズ
「自分はガッツポーズするようなタイプではないんですが、思わず出ました」と笑みを浮かべる。優勝の瞬間は、気持ちの高ぶりを抑え切れなかったという。
まず、準決勝で顔を合わせた加藤大翔選手(国士舘大)に圧勝して自信をつけた。高校時代も対戦して辛勝した相手だが、鮮やかに投げられた記憶が残っていた。「怖い相手で不安だった」(濱田選手)という難敵に勝ち、決勝に弾みがついた。
その決勝の対戦相手は、今年6月の新人戦で敗れた丸山政陽選手(日体大)。新人戦ではリミットより5キロ軽い約92キロで出場し、力負けしていた。しかし、これが発奮材料と なり、「8月のインカレまでにしっかり体重を増やす」と心に決め、2カ月間、本腰を入れて取り組んだ成果が大舞台で実った。
体づくりの重要性を感じたきっかけはこれ以前にもある。昨年9月、セルビアで行われた世界選手権に、フリースタイル97キロ級の日本王者、石黒峻士選手の練習パートナーとして帯同し、ワールドクラスの外国人選手のパワーに圧倒された。彼らの肉体は「明らかに体脂肪率が低そうで、肌の張りや筋肉の浮き上がり、スピードや瞬発力も全然違った」と驚くばかりだった。
以来、体を重く、大きくすることを課題に据えてきた。食事を変えて量も増やし、レスリングの練習以上に、ベンチプレスやスクワット、背筋を鍛えるベントオーバーローなどの筋力トレーニングに力を注いだ。
濱田選手の持ち味、強みは、重量級では希少なスピードだ。スピードを生かした低い姿勢での片足タックルが得意で、これにさらに磨きをかけ、かつ体脂肪を減らして筋肉をつけていき、外国人選手にも対抗できるような肉体を作っていきたいと考えている。
相手のバックを取る濱田豊喜選手
学生王者となった濱田豊喜選手(左から2人目)
現在、法学部に在籍する2年生。 法学部キャンパスが茗荷谷に移転した今春は引っ越しも経験した。週4日は豊島区内のジムに通い、多摩キャンパス第一体育館のレスリング道場で週1日は汗を流す。
レスリングと向き合う上で大切にしているのは、「前向きに取り組み、楽しくやる」ということ。日々、競技に全力で打ち込む中で、楽しみを見出しているという。
レスリングの魅力について、「動きも早くスピーディーで、レスリングを知らない人が見ても面白いと思う。軽量級の選手を中心に日本選手も世界の舞台で活躍している。重量級を含めて注目して見てくれるとうれしい」と話す。
今後は全日本選手権、全日本選抜選手権の優勝に照準を絞る。究極の目標は世界選手権やオリンピックに出場してのメダル獲得だ。
濱田豊喜選手
はまだ・とよき。東京・日本工業大学駒場高卒、法学部2年。180センチ、98キロ。公式戦前は減量に取り組む。レスリング歴は6歳から。高校・大学でレスリング選手だった父親の影響で、自然と競技に親しんだという。文武両道の学生生活を送りたいと、強豪のレスリング部がある中央大学に進学した。
主な戦績は、2023年全日本学生選手権フリースタイル97キロ級優勝、2023年と2022年のJOCジュニアオリンピックカップ(U20)フリースタイル97キロ級優勝、2021年全国高校選抜フリースタイル92キロ級優勝。
文部科学大臣杯UNIVAS CUP全日本学生レスリング選手権大会
(2023年8月26、27日、神奈川県横須賀市・横須賀アリーナ)
▽フリースタイル97キロ級
決勝 濱田豊喜(中央大)○ (7−4) ● 丸山政陽(日本体育大)
準決勝 濱田豊喜(中央大)○ (10−0) ● 加藤大翔(国士舘大)
2回戦 濱田豊喜(中央大)○ (13−2) ● 菊地一瑳(明治大)
※濱田選手は1回戦不戦勝。成績は日本レスリング協会公式サイトより抜粋
☆レスリング・フリースタイルとグレコローマン
大きな違いは「攻撃が許されている体の範囲」。フリースタイルは体のどの部分への攻撃も許されるが、グレコローマンでは腰から下をつかむことを禁じられている。フリースタイルの魅力は、激しい展開とスピーディーなタックルにあるとされる。