2023.03.27

拳法部が念願の「府立」制覇
全日本学生選手権男子団体で12年ぶり3度目の栄冠

学生記者 芳賀葵(法3)

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拳法部が、2022年12月の第67回全日本学生拳法選手権大会(男子団体)で12年ぶり3度目の優勝を飾った。最優秀選手賞に選ばれた横井竜太主将(法4)は「先輩方が達成できなかった『府立』で優勝し、信じられない思いです」と振り返る。

試合会場のエディオンアリーナ大阪(大阪府立体育会館) の名前から「府立」といわれ、拳法部が一番の目標に掲げている大会。学生日本一を成し遂げた横井主将と、チームの柱の一人として奮闘した倉田要選手(文2)に勝因、今後の目標などを聞いた。

12年ぶりに「府立」のタイトルを獲得した拳法部のメンバー=2022年12月11日、大阪・エディオンアリーナ大阪

チームの「底力」出し切る
練習量3倍「目の色変えて打ち込む」

決勝戦での横井主将の勇姿

準決勝の関西大戦。実力者でチームメイトからの信頼も厚い次鋒の竹原照真選手(経済1)が敗れ、中大が得意とする先手必勝の流れが途切れた。

にわかに暗雲がチームを覆ったが、すぐに三鋒の松村隼佑選手(経済4)が勝ち、流れを引き戻して難敵を撃破。決勝戦は、横井主将が「倉田の先鋒戦が勝敗を分けた」とたとえた通り、倉田選手の活躍もあって先手必勝を貫き、学生日本一を達成した。

先鋒、次鋒、三鋒、中堅、三将、副将、大将という7人で戦う「府立」は、仲間同士がいかに互いを補い合えるかを含めたチームの底力が試されたといえる。府立の表彰セレモニーでは校歌が流れるが、横井主将ら多くの選手が目を赤くしながら斉唱した。

府立の2カ月前の東日本大学トーナメント戦で、明治大に惨敗を喫し、練習量を3倍に増やした。実戦練習を多く取り入れ、その上で各自が自主練習に取り組むなど、「目の色を変えて打ち込んだ。府立には自信満々で臨んだ」(横井主将)という。

前年の府立準決勝でも敗れた明治大が今回は準々決勝で関西学院大に敗北し、直接対決での雪辱を果たせなかったものの、12年ぶりの栄冠をつかんだ。

倉田選手は、横井主将と同じ拳法道場で幼少期からともに練習に取り組み、中大にも横井主将を慕って進学したという。「先輩たちとの最後の試合。優勝はうれしかった」と語り、今後は中大の府立連覇と、個人では日本拳法総合選手権(一般の部)で結果を残すのが目標。横井主将は卒業後も社会人として競技を続けるつもりだ。

 ◇第67回全日本学生拳法選手権大会 成績

(2022年12月11日、大阪・エディオンアリーナ大阪)

▽1回戦   中央大 6-0 大阪公立大

▽2回戦   中央大 6-1 関東学院大

▽準々決勝  中央大 6-0 京都産業大

▽準決勝   中央大 4-3 関西大

▽決勝    中央大 5-2 関西学院大

(学生拳法連盟ホームページより抜粋)

 

☆第67回全日本学生拳法選手権大会

中大拳法部メンバー

先鋒 倉田 要 (文2)  170センチ・100キロ

次鋒 竹原 照真(経済1) 169センチ・70キロ

三鋒 松村 隼佑(経済4) 166センチ・68キロ

中堅 広兼 蓮 (商3)  175センチ・75キロ

三将 松本 鼓大(商1)  180センチ・75キロ

副将 田中 創大(商3)  173センチ・76キロ

大将 横井 竜太(法4)  176センチ・83キロ

※準決勝は、横井選手が副将、田中選手が大将で出場

【編集後記】拳法に打ち込む2人の深い絆
学生記者 芳賀葵(法3)

横井竜太主将と倉田要選手は地元が同じ三重県で、幼少期から通っていた拳法道場も同じだった。仲の良さが取材を通しても垣間見えた。高校生の倉田選手が出場した大会会場に、横井主将が駆け付けて応援したこともあるそうだ。横井主将の母校の選手が対戦相手でも、倉田選手にアドバイスの声をかけていたという。

今の拳法部の強さの秘密を尋ねると、2人は「部員の仲の良さ」と口をそろえた。拳法部にはスポーツ推薦組、一般組の両方の選手が所属している。「大学で拳法を始めた選手と、拳法歴の長い選手で個人差があり、難しい面もあるのでは?」と問いかけると、倉田選手は「サッカーや柔道など他のスポーツの経験者から教わる練習法が拳法にも役立つし、チームに活気を与えてくれている」と答え、横井主将も「スポーツ推薦の選手だけで良いチームはできない。一般生に感謝している」と話した。プライベートや学業で一般生に助けられている面も少なくないという。

取材で特に印象的だったのは、コロナ禍で部員のモチベーションが下がっていた頃、倉田選手が部員に電話をして、「拳法を続けよう」と励まし合ったというエピソードだ。仲間を大切にしていることがよく分かった。

学生最後の大会 観戦の両親に勇姿

横井主将は、「主将として誰よりも強くあること」を意識していると語った。拳法の技量だけでなく、精神的にも自分が一番強いと思うようにしているという。強い主将の存在があったからこそ、今回の全日本学生選手権でも栄冠を勝ち取れたのだと感じた。

また、横井主将は、両親への感謝の言葉を度々口にした。三重の実家から毎回大会を見に来てくれる両親に、学生最後の大会で優勝する姿を見せられたことが、本当にうれしそうだった。

倉田選手は、そんな横井主将の姿を目標としている。幼いころから同じ道場で練習に励んだ2人が、同じ中央大学の拳法部で活躍する姿は輝いて見える。

拳法を通して培った2人の絆を感じた取材だった。

日本拳法(拳法)

面と胴、グローブ、股当てなどの防具を装着し、こぶしと蹴りの打撃技と、投げ技、寝技で戦う武道。体重別の階級はない。ボクシング、キックボクシングなどにも選手を輩出している。

中央大学拳法部はマネジャーを含む男女27人(2022年度)が在籍している。

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