2022.04.01

10年ぶり 後輩に「箱根シード権」のレガシー
「出走する人もしない人も一つの結果に向かって努力したチーム」
駅伝出走の4年生3人に聞く

学生記者 石井伊蕗(法4)

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胸の「C」のマークを誇らしげに力走する姿を伝える映像に見入った。手に汗握るとはこういうことか。胸躍らせた現役学生や、卒業生ら中大関係者も多かったでしょう。

 

第98回箱根駅伝(1月2、3日)で総合6位となった陸上競技部長距離ブロック(駅伝)チームの4年生、選手10人とマネジャー1人は、10年ぶりの箱根シード権というレガシーと襷(たすき)を後輩たちに託して卒業の日を迎えました。チームを作り上げ、まとめるのに大きな役割を果たしたのが最上級生でした。

 

最終学年で箱根に出走した井上大輝選手(当時主将)、手島駿選手、三浦拓朗選手の4年生3人に話を聞くと、まず「たくさんの応援にありがとうと言いたいです」と、家族や支えてくれた全ての人、現役の中大生、卒業生らに感謝していました。3人に駅伝や仲間への思い、大学4年間で培ったこと、将来の目標などを尋ねました。

 

※記事中の学年はすべて2021年度のものです。

 

三浦拓朗選手、手島駿選手、井上大輝選手(左から)に話を聞く学生記者の石井伊蕗さん=2022年2月12日、多摩キャンパス陸上競技場

2区の手島駿選手、3区の三浦拓朗選手はチームの流れ、勢いを崩さないことを一番に意識して臨んだ。

 

15年ぶりの区間記録更新という胸のすくような快走を見せた1区の吉居大和選手から襷を受けた手島選手は「いい流れを切っちゃいけないという責任感。後ろにつなげるという意識がありました」と振り返る。

 

続く三浦選手は、区間12位だった2年時に続く3区への挑戦。「リベンジを果たしたい」と4人抜きの力走を見せたが、「抜いても、いい気にはならずに冷静に順位を考えて走っていました」。

 

3位で襷を受け取った10区の井上選手は、いったん抜かれた駒沢大学の選手を抜き返すシーンがあった。「簡単に譲ったら負けだと思って抜き返したんです」。このとき、寮のテレビで見守っていた部員からも大きな歓声が上がったという。

 

3人は、元日に開催された全日本実業団対抗駅伝競走(ニューイヤー駅伝)での中大OBの活躍にも刺激を受けた。1区の舟津彰馬選手(九電工)と6区の中山顕選手(Honda)がともに区間賞の活躍を見せたからだ。

 

先輩たちの姿が励みになった。「やらないといけないと気持ちが引き締まった」(三浦選手)、「中大にいい流れが来ている」(井上選手)と勇気づけられたという。


みんなありがとう オレたちやったぜ!

「頑張れ!後輩のみんな」

 

卒業する陸上競技部長距離ブロック4年生

法学部=井上大輝

経済学部=谷澤竜弥 森凪也 南後海里

商学部=手島駿 三浦拓朗 森智哉 倉田健太 藤井拓輝 萩野結月(マネジャー) 

文学部=高木航志

仲間に迎えられ、感無量のフィニッシュ
「神様っているんだな」

井上大輝選手(法4)(2022年箱根駅伝当時主将)

 

いのうえ・だいき。兵庫・須磨学園高卒、法学部4年。179センチ、59キロ。4年生で

「最初で最後」の箱根駅伝出走となった今回、アンカーの10区で17位(1時間11分09

秒)。気分転換は寝ることと、おいしいご飯を人と楽しく食べること。

最終10区を駆け抜けた井上大輝選手 ⓒKGRR/Getsuriku

質問(以下Q) 箱根での走りを振り返ってください。総合5位を目標に掲げたチームの成績をどう受け止めていますか

井上大輝選手 6位を獲得できた点は満足ですが、個人の順位に満足できませんでした。最後の3キロで足がつってしまいました。

 

Q 全日本大学駅伝対校選手権(2021年11月)のシード権獲得(8位)はチームの自信になりましたか

井上選手 全日本のシード権獲得は本当に自信になりました。在学中の4年間に掲げた目標通りの結果で初めて走れたので、自信を持って箱根駅伝に臨めたと思います。

 

Q 藤原正和監督から10区を任せると告げられたのはいつですか。どのような指示がありましたか

井上選手 1月1日に往路の選手が寮を出発する直前です。「シード権を獲得できればOK」とのことでした。

 

Q 9区の湯浅仁選手から3位で襷を受け取ったときの心境を教えてください

井上選手 湯浅が「今までありがとう」と言ってくれました。2年間、一番時間を共にした後輩だったので、本当にうれしい気持ちでした。「神様っているんだな」。そう思いました。

 

Q 走り終えたとき、何を思いましたか

井上選手 率直にシードを取れて良かったと思いました。

 

Q 出走中にもっとも印象に残ったこと、記憶していることは何ですか

井上選手 最後、手島(駿選手)と谷澤(竜弥選手)に迎えられてゴールしたこと。4年間一緒にやってきた仲間に笑顔で迎えられて、感無量でした。

「きょう結果を出せる努力を見ていた」
ライバルの言葉が後押し

ⓒKGRR/Getsuriku

Q 当初10区にエントリーされていた森凪也選手と、出走直前にどのような言葉を交わしましたか

井上選手 「俺のライバル。きょう結果を出せる努力をしていたところを俺は見ていた」と言ってもらいました。僕がかなり緊張していたので、ほかにも言ってくれたのですが、この言葉が印象的でした。

 

Q 4年間でつらかったことや、苦しかったことは何ですか

井上選手 結果をもっと出せなかったことです。

 

Q 逆に走るモチベーションとなっていたこと、喜びとなっていたことは何ですか

井上選手 仲間の応援と、家族や友人の支えです。

 

Q 主将として苦労したこと、やりがいや喜びを教えてください

井上選手 大きな大会に出る人も出ない人も一つの結果に向かって努力するチームにすること。最後10区を走ると決まったときは全員が笑顔で送り出してくれました。

 

Q 陸上競技で「これをつかめた」と感じたこと、今後の糧となることはありましたか

井上選手 どんなときでも言い訳せずに努力を続けること。主将を経験して、人のために動くことが自分にも返ってくると学びました。

 

Q 同期の4年生にメッセージ、贈りたい言葉はありますか

井上選手 4年間ありがとう! 引退組は太らないように!(笑) 競技続行組はレベルの高い競り合いをしよう!

中大に入ってよかった
皆でこんなに喜び合えた

Q 後輩に贈るメッセージを教えてください

井上選手 気楽に頑張ってね!

 

Q いま一番感謝している存在は誰ですか

井上選手 支えてくれた人全員です。

 

Q 卒業後の進路と、今後の目標を教えてください

井上選手 大阪ガスで競技を続けます。ニューイヤー駅伝で活躍できるように頑張ります。

 

Q 中大に入学して良かったと感じていますか

井上選手 良かった。最後に皆でこんなに喜び合えたから。

 

Q 陸上(長距離)を始めたのはいつですか。始めた理由、きっかけはありますか

井上選手 中学1年。マラソン大会で一番だったからです。

 

Q ライバルはいますか

井上選手 森凪也です。「もっとかかってこい」と4年生の9月に言われて、本当にやってやろうと思った。最後は僕が走ったので大学は僕の勝ちで良いかな⁉

 

Q 監督やコーチに伝えたい言葉はありますか

井上選手 最後、僕を(10区に)選んでくれたこと、本当に感謝しています。12月は主将の僕を一選手として競技に集中できる環境を作ってくださいました。ありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします!

第98回箱根駅伝 総合成績 (大手町-箱根間 10区間217.1キロ)

 

①青山学院大  10時間43分42秒

②順天堂大   10時間54分33秒

③駒沢大    10時間54分57秒

④東洋大    10時間54分59秒

⑤東京国際大  10時間55分14秒

❻中央大    10時間55分44秒

⑦創価大    10時間56分30秒

⑧国学院大   10時間57分10秒

⑨帝京大    10時間58分06秒

⑩法政大    10時間58分46秒

――上位10校に翌年のシード権――

⑪東海大   10時間59分38秒

⑫神奈川大  11時間00分00秒

⑬早稲田大  11時間00分03秒

⑭明治大   11時間00分28秒

⑮国士舘大  11時間03分06秒

⑯中央学院大 11時間07分33秒

⑰日本体育大 11時間11分11秒

⑱山梨学院大 11時間11分21秒

⑲駿河台大  11時間13分42秒

⑳専修大   11時間15分09秒

(参考記録)

関東学生連合 11時間00分25秒

「応援して良かったと思われる選手になる」
どんなことも地道な積み上げが一番の近道

手島 駿選手(商4)

 

てしま・しゅん。東京・国学院久我山高卒、商学部4年。175センチ、58キロ。エース区間の2区を力走して15位(1時間8分52秒)。3年時は9区7位(1時間10分08秒)。2021年11月の全日本大学駅伝対校選手権ではシード権を獲得するフィニッシュテープを切った。大切な試合には中学時代からのお守を持参していた。

1区の吉居大和選手(左)から襷を託され、走り出す手島駿選手 ⓒKGRR/Getsuriku

 

Q 箱根駅伝の自身の走りを振り返ってください

手島駿選手 最低限の仕事はできたかと思います。タイムでは今の実力を発揮できましたが、最後の1キロで前の大学と差をつけられてしまったことが悔しいところでした。

 

Q 総合5位を目標に掲げたチームの成績をどう受け止めていますか。全日本大学駅伝のシード権獲得(8位)は自信になりましたか

手島選手 総合5位は達成したい目標でした。タフな展開で復路につないでしまい、自分自身の結果に悔しい気持ちです。しかし10年ぶりにシード権を獲得し、一時は3位を狙う位置にいられたことは、来季のチームにとって非常に大きな収穫でした。全日本のシード獲得が「今年は戦える」という自信と、「喜びを共有できる経験を箱根路でも再現したい」と強く思わせてくれました。

 

Q 2区を任せると藤原正和監督から告げられたのはいつですか。監督からはどのような指示がありましたか

手島選手 全日本大学駅伝の2週間後あたりでした。自分のペースを落ち着いて刻み、3区にシード順位前後でつなぐ走りができれば100点だと指示を受けていました。

「トップの景色」 声援の大きさに驚き

Q 1区の吉居大和選手がトップで襷(たすき)を運んできました。そのときの心境は

手島選手 最後の箱根駅伝ですごい景色を見られることに、感謝でいっぱいでした。2区の自分のためにも、少しでも稼いで1位で渡すと、ずっと吉居が言ってくれていたので、緊張というよりも気合が入りました。トップの選手には声援の“熱量”が違うんです。いろいろな声かけをしていただきました。

 

Q 走り終えたとき何を思いましたか

手島選手 想定はしていましたが、順位を下げたことに申し訳ない気持ちでした。

 

Q 出走中に最も印象に残ったこと、記憶していることは何ですか

手島選手 箱根駅伝のトップの景色をみることができたことです。

 

Q 中大での4年間を振り返り、苦しかったこと、つらかったことはありますか

手島選手 1年目は丸々1年間、高校のときよりも結果が出ませんでした。その時間は本当に苦しかったですが、今はその経験があってよかったと思えています。

 

Q 走るモチベーション、喜びとなっていたことは何ですか

手島選手 家族や地元の友達の応援でした。応援してよかったと思ってもらえる選手になれるよう頑張っていました。

 

Q 陸上で「これをつかめた」と感じたこと、今後の糧となることはありましたか

手島選手 自分の性格上、どんなことでも地道に積み上げていくことが一番の近道だということです。

 

Q 同期の4年生部員に贈りたい言葉はありますか

手島選手 4年間、同じ屋根の下で競技をできて、何よりも濃い時間だったと思います。ありがとうございました。

 

Q 後輩部員たちへのメッセージはありますか

手島選手 今年のチーム以上に選手層も厚く、レベルの高いチームになると思うので、目標達成に向けてOBとして応援させていただきます。

陸上に打ち込める環境…両親に感謝
駅伝の楽しさを中学時代に知る

ⓒKGRR/Getsuriku

Q いま一番感謝している存在は誰ですか

手島選手 陸上に打ち込める環境を与えてくれた両親です。

 

Q 卒業後の進路と、今後の目標を教えてください

手島選手 一般企業に就職します。目標は太らないようにランニングを続けることです。

 

Q 中大に入学してよかったと感じていますか

手島選手 寮や競技場など、競技に打ち込む環境が整っていることや、トップレベルの選手だった監督、コーチの指導を受けることができたことがよかったと思いました。

 

Q 陸上(長距離)を始めたのはいつですか。始めた理由は何ですか

手島選手 中学時代にいろいろな部活の生徒を集めて出場した駅伝がきっかけでした。自分の実力への可能性と、駅伝の楽しさを知ることができました。

 

Q 後輩ととくに仲が良いと聞いています。性格を自己分析してください

手島選手 仲の良い後輩とよく自分の部屋で騒いだり、ご飯に行ったりと、(後輩たちと)本当に常に一緒にいたと思います。しかし、だれとでも打ち解けるような性格ではなく、とっつきにくい先輩だと思う後輩も多かったと思います。

 

Q ライバルはいますか

手島選手 井上大輝です。入学当初から競技での実績、人間性などすべてにおいてでした。まず競技に挑む姿勢がストイックで、「全員が頑張れるチームにしたい」という井上の考えがチームに浸透したと思います。

 

Q 監督やコーチに伝えたい言葉はありますか

手島選手 4年間をかけて、スタッフの方々の思うような結果をチームに返すことができたかは分かりませんが、スタッフの方々の指導を受けることができて本当に良かったです。4年間ありがとうございました。

第98回箱根駅伝 中大個人成績

 

区間 選手名(学部・学年) 記録(丸数字は区間順位)

1区 吉居 大和(法2)  1時間00分40秒① (区間新・区間賞)

2区 手島 駿 (商4)  1時間08分52秒⑮

3区 三浦 拓朗(商4)  1時間02分38秒⑦

4区 中野 翔太(法2)  1時間02分17秒⑤

5区 阿部 陽樹(文1)  1時間11分58秒⑥

        往路6位= 5時間26分25秒 

 

6区 若林 陽大(法3)     58分48秒⑤

7区 居田 優太(経済2) 1時間05分49秒⑱

8区 中澤 雄大(経済3) 1時間05分02秒③

9区 湯浅 仁 (経済2) 1時間08分31秒③

10区 井上 大輝(法4)    1時間11分09秒⑰

        復路8位= 5時間29分19秒

        総合6位= 10時間55分44秒

「素直に喜べた」総合6位
実業団で競技続ける「走りで4年間の恩返しを」

三浦拓朗選手(商4)

 

みうら・たくろう。兵庫・西脇工高卒、商学部4年。168センチ、55キロ。3区7位(1時間02分38秒)。2年時は3区12位(1時間03分32秒)、3年時は8区7位(1時間05分08秒)と3年連続で主力を務め、チームを支えた。ゲン担ぎにしていたのは、試合前日にオレンジジュースを飲むこと。

ⓒKGRR/Getsuriku

 

Q 箱根の走りを振り返ってください

三浦拓朗選手 個人の走りでは満足できていません。チームを引っ張っていく立場として、区間賞を目標にしていたので、もう少しチームに貢献できたのではないかと思います。

 

Q 総合5位を目標に掲げたチームの成績をどう受け止めていますか。全日本大学駅伝対校選手権(2021年11月)のシード権獲得(8位)は自信になりましたか

三浦選手 目標は5位でしたが、素直に喜べる結果でした。全日本でシード権を獲得したことで、自分たちが掲げていた目標が1つ達成できて自信がつきました。箱根予選会から全日本までの間でもメンバーが変わっていましたし、「自分がメンバーに入って結果を出したい」という部員が増える良いきっかけになったと思います。

 

Q 3区を任せると藤原正和監督から告げられたのはいつですか。監督からどのような指示がありましたか

三浦選手 箱根予選会のころに伝えられました。「3区を任せられるのはお前だけだ」「自信を持て」と指示ではなく、不安になりやすい自分を支えてくださいました。

 

Q 2区の手島選手から襷を託されたときの心境を教えてください。交わした言葉を覚えていますか

三浦選手 手島からは「ごめん」と言われましたが、1区からのプレッシャーの中、襷を良い位置で持ってきてくれたので、「ありがとう」と伝えました。

「笑って終えたい」の思い、頑張る力に
後輩へ「楽しんで部活動を」

Q 3区を走り終えたとき、何を思いましたか

三浦選手 自分の大学陸上が終わるという実感がそれまでありませんでしたが、襷をつなぎ終えた後にその実感がわいてきました。

 

Q 今回、最も印象に残ったこと、記憶していることは何ですか

三浦選手 アンカーの井上大輝が駒沢大学を抜き返した瞬間です。井上らしい走りが見られて、見ているこっちも力んでしまいました。

 

Q 「3区では2年のときのリベンジを果たしたい」と話していましたが、リベンジは果たせましたか

三浦選手 リベンジをすることはできませんでしたが、今までの箱根や2年前のことを思い出して、今年は笑って終えたいと思い、頑張ることができました。

 

Q 4年間でつらかったこと、苦しかったことは何ですか

三浦選手 2年生のときに結果がなかなか出なかったことです。高校や1年目と違い、勢いだけではやっていけないんだということを実感しました。

 

Q 走るモチベーションや、喜びとなっていたことは何ですか

三浦選手 チームみんなで一つの方向へと行動しているということが楽しく、モチベーションになっていました。

 

Q 朗らかなムードメーカーという印象があります。性格を自己分析してください

三浦選手 みんなが楽しいと自分も楽しいので、周りを気にしながら気配りができるように意識しています。

 

Q ライバルはいますか

三浦選手 明治大学の鈴木聖人選手です。高校時代から競い合ってきたからです。

陸上を始めて10年
「1つのことに打ち込む」大切さ

ⓒKGRR/Getsuriku

Q 陸上で「これをつかめた」と感じたこと、今後の糧となることはありますか

三浦選手 私は短気で目移りしやすいタイプでしたが、陸上を始めて10年が経ちました。「1つのことに打ち込む」ということをつかむことができました。

 

Q 同期の4年生部員へのメッセージ、贈りたい言葉はありますか

三浦選手 本当に4年間ありがとう。この経験を糧に今後も頑張っていきます。

 

Q 後輩部員たちに贈るメッセージを教えてください

三浦選手 後輩たちは(シードを取って)試合が増える分、今まで経験しなかった行動になってくると思います。いろいろなプレッシャーや課題が出てくると思いますが、楽しんで部活動をしてください。

 

Q いま一番感謝している存在は誰ですか

三浦選手 活動を支えてくれた家族に感謝しています。

 

Q 卒業後の進路と、今後の目標を教えてください

三浦選手 卒業後は大塚製薬工場で競技を続けます。日本を代表するような選手になります。

 

Q 中大に入学してよかったと感じていますか

三浦選手 今の自分があるのは、中央大学に入学して活動してきたからです。活動をサポートしていただいた中央大学に感謝しています。

 

Q 藤原監督やコーチに伝えたい言葉はありますか

三浦選手 4年間ありがとうございました。実業団に入り、結果で恩返しできるように頑張ります。

本当にありがとう、そしてお疲れ様

駅伝監督 藤原正和

 

 

2018年春に入学してきてくれた世代をもう社会に送り出さねばならない今、時の流れの早さを感じずにいられません。

 

入学を決めてくれた時、中大は予選会落ちを喫した瀕死の状況でした。何の輝きも無く、ただただ弱かった中大を選び、『俺が立て直すんだ』という志を持ったメンバーが最後まで残ってくれました。苦しいことや立て直しの難しさしか感じなかった4年間だったかもしれませんが、4年目に大きな花を咲かせてくれたのは、この世代の弛まぬ努力とチームへの献身があったからこそです。本当にありがとう、そしてお疲れ様。

 

新チームも始動し、皆と同じように最上級生はもがき、苦しんでいます。でも、それでいいんです。悩んで、もがいて、たどり着いた先にしか本当の答えは見つかりません。急がば回れ。最短距離を行こうとせず、回り道することを大事に、君達らしい人生を歩んでくれることを切に願っています。実業団へ進む選手は更なる活躍を、続けない者たちは気分転換がてら楽しんで走ることを続けてくれたら嬉しいです。そして、また何かあればいつでも帰ってきてください。愚痴をこぼしにきても構いません。皆が元気で居てくれることを切に願っています。

【編集後記】「走ること」「自分自身」「周囲の人」へのまっすぐな姿勢に大きな刺激
「同じ卒業生の私も負けない」
学生記者 石井伊蕗(法4)

 

「こんなポーズどうです?」「いや、おかしいやろ!」「じゃあこうする?」

 

 2月12日、前日来の雪が多摩キャンパス内にちらほらと残る中で、「HAKUMON Chuo」の写真撮影と取材が行われた。身を切るような寒風が吹いていたが、陸上競技部長距離ブロックの4年生3人は撮影中、寒さに負けじと太陽のような笑顔を見せてくれた。

強さの裏に底知れぬ明るさ
「大学生らしい素顔」が印象的

1月2、3日の箱根駅伝。テレビの前で熱いエールを送り、同じ大学に通う選手が力走する姿に心を動かされた中大生はたくさんいただろう。かくいう私もその 一人だ。襷が受け 渡される瞬間、選手が追い抜き、また追い抜かされるシーンは、本当に手に汗を握るものであった。

 

3人の選手について、箱根駅伝を走るアスリートとしての顔しか知らなかったため、撮影で見せる彼らの大学生らしい素顔はとても印象的だった。明るい笑顔でおどける三浦拓朗選手に対し、ときには乗り、ときには突っ込む井上大輝選手、そしてこの2人の“ボケ”に真摯に応じる手島駿選手。撮影と取材の間中、終始和やかな雰囲気であった。

 

 撮影では変顔をしたり、はやりの「キュンですポーズ」をしてくれたりと、“サービス精神”も旺盛だった。周囲を思わず笑顔にしてくれる彼らの明るさが駅伝メンバーを、そして中大の強さを支えているのかもしれない。

3人が語る互いへの熱い思い

撮影後にじっくり話を聞くことができ、3人が互いにリスペクトし合っている様子が垣間見えた。

 

「お互いが自分にとってどのような選手かを一言で表してください」と尋ねると、三浦選手は「自分の一つ前を行く存在」「チームのかなめ」、井上選手は「尊敬している選手」「自分にとって一番のライバル」、手島選手は「裏でチームを支えてくれている」「モチベーションを高めてくれる存在」と、それぞれ他の2人から言葉を送られていた。

 

3人はたった一言では互いを評し切れないと笑いながら、それぞれへの思いを真剣に語ってくれた。お互いを目の前にしても感謝や尊敬の念をストレートにぶつけることができる関係だからこそ、チームが一丸となり、今回の成績を手にすることができたのではないかと感じた。

 

3人を含む4年生は中央大学を巣立ち、4月からは新社会人となる。進む道は違っても、それぞれが各方面で活躍してくれることを祈っている。そして、4年生が卒業した陸上競技部長距離ブロックは新体制となる。卒業する彼らの思いを受け継ぎ、さらに飛躍してほしい。

 

取材を通して、走ることや自分自身、そして周囲の人に対する彼らの真っ直ぐな姿勢を目の当たりにして、大きな刺激を受けた。同じ卒業生の私も、彼らに負けないようにこれから自分の進む道をしっかり歩んでいきたい。

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